見出し画像

権利のための闘争

"権利=法の目標は平和であり、そのための手段は闘争である(中略)権利=法の生命は闘争である。諸国民の闘争、国家権力の闘争、諸身分の闘争、諸個人の闘争である。"1872年発刊の本書は、法も権利も【勝ち取る事で得られる権利感覚】こそが大切だと説く、古典にして優れた法学入門の一冊。

個人的には『表現の自由』をめぐる展示に関する議論及び許可問題、文化庁による補助金不交付などのニュースを見て、本書を思い出し手にとりました。

そんな本書は法哲学者である著者のウィーンでの講演録をまとめたもので『法の目標は平和であり、それに達する手段は闘争である!』から始まり、権利は単なる与えられた利益ではなく、人格の基礎であり、それに対する攻撃は人格自体への侵害である(ので、義務として戦え!いざ立て国民よ!)と奮起を促している事から、私のようなガンダム世代には【ギレン閣下の声音で脳内再生される】のですが。現在においては賛否はあるかと思いますが、それでも流石は当時の人気講演、圧倒される魅力があります。

また、前述の補助金不交付しかり。近年の我が国において起きているニュースを見るに【与えられた(獲得していない)民主主義への不信感】がいたるところで噴出しているように感じられる事から、100年以上前に著者が指摘している『自分の権利があからさまに軽視され蹂躙されるならば(中略)自己の人格までもが脅かされるということがわからないもの』(そのようなタイプの人の特徴は利己主義と物質主義だ!)にはグサリと刺さるものがありました。

法律を学ぼうとする最初の一冊として、法律に関わりなくとも法や権利の意味をあらためて考えたい方にオススメ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?