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「今日は違う」と、通り過ぎることはできなかった。

引き続き、イイダ傘店のオーダー内容について検討。「長く使う」と考えると、ずっと先の使い勝手まで照準に入れてしまい、今の気分だけでは決められなくなってしまう。時間ばかり過ぎてしまうので、思い切って、今の感覚を第一にして選ぶことに。気持ちの明るくなる、白地に草花の柄のものに決めた。なんだか今は、わくわくさせてくれるものに心ひかれるのかもしれない。傘は秋ごろに届くとのこと。そのころには、不要不急でも堂々と出歩けるようになっていてくれればよいのだけれど。

お昼は前日の残りのカレー。夫が塩麹で漬け込んだ鶏肉を使ったもの。夫の中では今、肉を塩麹で漬け込むことがはやっているらしい。豚肉や鶏肉を買ってきては、試行錯誤を重ねている。彼はとにかく、肉や肉を焼くことへの情熱が強い。好きこそものの上手なれなので、ありがたいことだ。塩麹でほんのり味付けされた鶏肉の入ったカレーは、おいしかった。

夕方、必要なものを買いにスーパーへ。帰り道に通りかかった割烹のお店が、テイクアウトを始めていた。ここは、知人の勧めで気になってはいたものの、なかなかタイミングが合わず、人けの少ない店内を横目にいつも通り過ぎていたお店だ。

黒板式の看板に書かれた「持ち帰り、始めました」の文字は、通りからは明らかに判読できない強さと太さで、ある種の義務感をもって近づかないかぎり、その存在に気づくことは難しい。ここ数日のテイクアウト活動によって、今日は財布のひもの引き締めどきかなと思っていた。プラごみもまたたまってしまう。でも、「今日は違う」と、通り過ぎることはできなかった。なぜだろう、ここが世界の誰からも気づかれないお店のように見えてしまったのかもれない。失礼な話ではあるけれど……。

静かにお店に入り、桜えびの炊き込みごはん、だし巻き卵、鯖煮を指差した。注文を受けてから詰める方式の炊き込みご飯を、大将は、盛りに盛って詰めてくれたうえに、豚肉とほうれん草煮をおまけに付けてくれた。ありがたいけれど、その気持ちを想像するとせつない。本当は、お店に食べに行けたらいいのだけど。そして、看板文字のより効果的な強さと太さについても、できれば伝えたい。さすがに現時点では“余計なお世話”すぎることだから、これから、言えるような関係になれることを目標としよう。

夜、YouTubeでポカリスエットのCM「ポカリNEO合唱」の動画を観る。出演している中高生の笑顔と声が、きらきらと目にまぶしい。ウイルス感染が危ぶまれるなか、集まって撮影するという方法から、出演者それぞれが自由に歌う姿を自撮りした動画を集めるという方法に方針転換してつくられたCMなのだという。違う場所にいても、同じ青空の下、声と動画でつながっている。もう戻れない青春のきらめきも相まって、すっかり心をつかまれてしまった。

今このときに、こういうメッセージを発信してくれた企業のことを、ちゃんと覚えておきたい。もちろん、クリエイティブディレクターのことも。そういえば、東日本大震災後に流れた九州新幹線のCMにも、元気づけられたなあ。

緊急事態宣言後、自宅でリモートで受けられるヨガやらピラティスやらのレッスンが生まれ始めている。そろそろ体を動かしたいと思うものの、近隣の散歩ルートは人出が多くなりつつあるので、リモートで解決できないかと調べてみる。いくつか候補が出てきたところで眠くなって、今日は早めに就寝。

(2020年4月14日)

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