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明治から現代まで: 日本のフリーメイソンの興亡史

フリーメイソン(Freemasonry)は、世界中で知られる秘密結社であり、友愛結社である。その歴史は古く、数々の伝説や神話に彩られている。ヨーロッパやアメリカでは、政治や経済界をはじめ、各界に有力な会員を持つ影響力のある組織として知られているが、日本ではどのような存在なのだろうか? 日本におけるフリーメイソンの歴史と現状に迫っていこう。


日本のフリーメイソンの歴史

日本にフリーメイソンが導入されたのは、明治時代の初期である。1866年、横浜に駐留していたイギリス海軍将校らによって、日本初のフリーメイソンのロッジ(集会所)が設立された。これが「横浜ロッジ」と呼ばれる、日本におけるフリーメイソン活動の始まりとなった。

横浜ロッジの設立

横浜ロッジは、イギリス海軍将校のジョン・ユースデンとチャールズ・ウィンドルによって設立された。彼らは、日本の開国に伴い横浜に駐留していた際に、フリーメイソンの精神と価値観を日本に伝えることを決意したのである。

この横浜ロッジは、当初はイギリス人を中心とした外国人会員のみで構成されていたが、後に日本人会員も受け入れるようになった。初代の日本人大師匠(ロッジの指導者)は、西郷隆盛の弟である西郷従道であったとされる。

明治時代の発展

明治時代、日本は西洋化政策を進め、欧米の文化や価値観を取り入れることに積極的であった。この時代背景も相まって、フリーメイソンは日本の知識人や貴族の間で徐々に広まっていった。

明治時代の著名な日本人会員としては、伊藤博文、岩倉具視、大隈重信、渋沢栄一などが挙げられる。彼らは、フリーメイソンの精神である自由・平等・博愛の価値観に共感し、日本の近代化に貢献した人物たちである。

大正時代と昭和時代

大正時代に入ると、日本におけるフリーメイソンはさらに発展を遂げる。この時代、日本は国際社会への進出を進め、国際連盟の設立にも参加した。このような時代背景の中、フリーメイソンの国際的なネットワークが注目され、日本の外交や国際関係にも影響を与えたとされる。

昭和時代になると、戦争の影響もあり、フリーメイソンの活動は一時衰退する。特に、太平洋戦争中には、敵国であるイギリスの組織であるという理由で、日本政府によって活動を禁止された。多くの日本人会員が脱退し、ロッジも閉鎖を余儀なくされた。

戦後のフリーメイソン

戦後、フリーメイソンの活動は徐々に再開された。GHQの占領下、日本の民主化政策の一環として、フリーメイソンの活動は許可されたのである。多くの日本人会員が復帰し、新たなロッジの設立も進められた。

復興と発展

戦後、フリーメイソンは復興期を迎える。アメリカやヨーロッパのロッジからの支援もあり、日本人会員の数は再び増加していった。この時期に設立されたロッジには、「東京ロッジ」「大阪ロッジ」「京都ロッジ」などがある。

また、この時期には、著名な日本人会員も現れた。例えば、吉田茂、鳩山一郎、三木武吉などの政治家や、財界人では松下幸之助、藤山愛一郎などがフリーメイソンに加入したとされる。

現代に至るまで

現代においても、フリーメイソンは日本で活動を続けている。2023年時点で、日本には約20のロッジが存在し、約1000人の日本人会員がいるとされる。日本人会員の職業は多様であり、政治家、実業家、弁護士、医師、大学教授など、社会的に影響力のある人物が含まれている。

日本のフリーメイソンの特徴

日本のフリーメソンリーは、海外のロッジとの交流や国際的なネットワークを重視している。特に、アメリカやヨーロッパのロッジとのつながりが強く、国際会議や交流イベントなども頻繁に行われている。

また、日本のロッジは、慈善活動や社会貢献にも力を入れている。例えば、東日本大震災の際は、世界中のロッジから集まった寄付金を被災地に送った。他にも、教育支援や医療支援、国際交流促進のための活動など、さまざまな形で社会貢献を行っている。

日本のフリーメイソンへの加入方法

日本のフリーメイソンへの加入を希望する場合は、既存の会員からの紹介が必要となる。会員からの推薦を受け、ロッジの審査を経て、入会儀式に参加することになる。入会儀式では、フリーメイソンの精神や歴史、象徴の意味などを学び、入会の誓いを立てる。

加入希望者は、男性かつ成人である必要がある。宗教や人種、職業などによる差別はなく、幅広い背景を持つ人々が加入できる。入会後は、ロッジでの定期的な集会やイベント、慈善活動などに参加し、会員同士の絆を深めていく。

まとめ

日本のフリーメイソンは、明治時代初期に導入されて以来、歴史ある伝統を守りながら、現代社会においても活動を続けている。戦後の復興期を経て、現在は約20のロッジと約1000人の日本人会員がいるとされる。彼らは、国際的なネットワークを活かし、慈善活動や社会貢献にも積極的に取り組んでいる。

日本のフリーメイソンは、会員同士の絆と国際交流を大切にし、社会に貢献する紳士クラブのような存在であると言えるだろう。謎めいたイメージが先行しがちだが、その実体は、歴史と伝統を重んじ、友愛精神と互助の精神を重視する健全な組織である。


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