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世界は経営でできている

大分前に、先輩から勧められて
Kindleでこちらの本を購入しました。

依然としてすべては読み終えて
いないのですが、割と巷で話題に
なっている
という噂も聞くので、
そろそろ紹介してみようと思います。

読む前までは、もっと硬い本なのかと
思っていたのですが、読んでみたら
なんとまぁ、シニカルさにあふれた、
その独特の毒づき方加減
に思わず
引き込まれました。

章立てが、すべて
「○○は経営でできている」
という形で統一されており、
結局のところ人生そのものが
「経営」である!ということを
帰納的に導こうとしている
かの
ような書き方になっています。

事実、下記の通り「おわりに」
「人生は経営でできている」との
タイトルになっているのですね。

はじめに:日常は経営でできている
1 貧乏は経営でできている
2 家庭は経営でできている
3 恋愛は経営でできている
4 勉強は経営でできている
5 虚栄は経営でできている
6 心労は経営でできている
7 就活は経営でできている
8 仕事は経営でできている
9 憤怒は経営でできている
10 健康は経営でできている
11 孤独は経営でできている
12 老後は経営でできている
13 芸術は経営でできている
14 科学は経営でできている
15 歴史は経営でできている
おわりに:人生は経営でできている

同書の目次より

各テーマは、お互いのレベル感が
揃っているとは必ずしも言い難い
ところですが、どの章も読みごたえ
十分ではあります。

詰まるところ、本書の主張は
「はじめに」のところにあるように、
世の中には本格的な「経営」が不足
しており、それが不合理極まりない、
笑えない問題
を増やしていて、
本来の経営概念に立ち返ることの
できる人間を増やさないことには

個人も社会も豊かになれないよ、
というものなんですね。

そして、この主張を裏付けるような
事例を、自称「令和冷笑体エッセイ」
なる味付けで書かれているわけです。
大爆笑を誘うというよりも、あくまで
シニカルさを打ち出し、インテリが
サラッと嫌味を言って「冷笑」を誘う
ような体裁
といえばよいでしょうか。

基底にある考え方は、至ってまともで
あります。

例えば、8章「仕事は経営でできている」
の中にある一文を抜き出しましょう。

本当の仕事は(消費者だけではなく、取引先や上司、社内の別部署など広義の)顧客を生み出し顧客を満足に/幸せにして、その対価として顧客が喜んで報酬を支払ってくれるようにすることだ。

こんな形で、極めて真っ当な「仕事」の
定義
を持ち出しています。

しかし、この「本当の仕事」ではない
無駄な仕事の事例を出してくる際に、

たとえばエクセルを開いて、閉じて、開いて、閉じてという指先ラジオ体操で今日の貴重な一日を終えた人は日本だけでも百万人以上いるだろう。

という具合に、非常にスパイスの効いた
表現
が、これでもかというほどに、
陸続と出てくるのですね。

その「冷笑」的センスは、正直なところ
かなり好き嫌いが分かれるところでは
ありましょう。

それでも、淡々と正論を述べるような
本を読むよりも、ずっと知的好奇心が
刺激され続けながらの読書体験
になる
こと請け合いです。

経営のエッセンスを手軽に学べる、
異色ながらも非常に面白い本
でした。
オススメです。

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