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「一見さんお断り」の戦略

先日、札幌から上京されていた
友人にお誘いいただき、
素晴らしいお店を堪能するチャンスに
恵まれた。

そのお店は、一見さんお断り
友人知人からの予約のみ。
カウンターに4席、小さな個室が一つ
という、定員10名に満たないような
店構え。

店主と女将さんが、二人で食べていければ
十分だから、とあまり商売っ気がない様子。
そして、途中から女将さんはお客さんと
一緒に飲み始めるのが定番だという、
なかなかユニークな店である。

その友人曰く、
先日札幌のミシュラン星付きの店で
天ぷらを食べた翌日に、
ここで食べた天ぷらの方が美味かった、
という位の実力派の店主。

基本的に和食で、お通しの煮凝りから、
ホタルイカとマグロの刺身、
タケノコの煮物、
写真にある焼き白子やソラマメ、
季節の野菜や魚の天ぷら、
どれもこれも絶品。

そして、置いてある日本酒が、
これまためっぽう美味い。
出羽桜の純米吟醸と、
天鷹心の純米大吟醸
我を忘れる程に酒が進んでしまい、
翌日大後悔する羽目になったのだった・・・

そんな素晴らしいお店なのだが、
この「一見さんお断り」システムと
いうのは、余程自信がないと機能
しないはずだとしみじみ思う。

世の中みな、「集客」に躍起になっている
店や人ばかり。
なるべく多くの潜在顧客にリーチしないと、
自分のところに来てもらえる人が増えない。
「確率論」でビジネスを考えているわけだ。

これに対して、「集客」はほとんど
自分のネットワークか、既存客のクチコミ
頼み
というのが「一見さんお断り」の店の
やり方である。
極めて「閉じた」世界での商売。

それでも、既存のお客様が何度も何度も
足を運んでくれ、その「濃い」既存客
これまた「濃い」お連れさんを伴って来て
くれれば、「濃い」ネットワーク
じわじわと広がっていく。

通常の「確率論」の商売は「リーチ」
即ちどれだけ幅広いお客様層にたどり着く
ことができるかを重視するのに対し、
「一見さんお断り」は「フリークエンシー」
即ち何度も何度も頻度高くお客様と接する
ことを重視する戦略だと言えるだろう。

ある店では、常連客がこれ以上この店の
存在を知られたくない!という理由で、
食べログの点数をメチャクチャ低く抑える
ための努力をしているという。

思いっきり「リーチ」が削られてしまうので、
店主が公式に了解してないとまずいだろうと
思われるが、実際了解が取れているのかどうか
までは未確認。
きっと代わりに、その常連客が多くの友人
たちをその店に客として引っ張り込んで
くるようなサポートをしているのだろう。

商売のやり方も色々、人それぞれ。
目指すところによって、つまり目標の違いに
よって、どんな戦略を立て、戦術を用いるか
ガラッと変わってくる。
まずは目標を明らかにするところから
それが基本の「キ」であると再確認。


己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。