詩「迷宮」
踊らない心を乾いた眼でみつめて
ときおり途切れても
結局は止むことのない鬼ごっこに終始する
癒しの光景がよぎっても
永遠に噛み合わない歯車が現実で
不透明な本音がまた密室で彫刻される
愛情によく似た顔をした執着と
半透明な支配に覆われて
脱走を選ばずにいるのは何だというのか
その正体に感づきながら
後退しては接近を繰り返す
拒絶のカードをジョーカーに
緞帳を粛々と降ろしては
落涙なく執り行われるカーテンコール
かくして遊戯は今宵もまた終局には至らず
形を変えて振り出しに戻り
鎮静と高揚の渦のなかで
不器用なステップを踏みつづける
螺旋階段にやられたのは
三半規管ばかりではなし
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?