詩「魅了」
小さな懸念を数珠つなぎにして
大事に抱えてしまった結果
タナトスの侵入をゆるし
不安が暴れる夜
眠りは見事に妨げられ
積んだものを丁寧に破壊したくなる衝動と
暗闇のなかで見つめ合う
惹かれ合う根拠のない因果は
ただのこじつけで
回避という悪癖を助長するだけ
わずかに光る出口に手を伸ばしながら
足を動かさないのは
馴染み深い挙動だと知っている
分かりきったこたえの整列
張り詰めた夜空にひとりきりで輝く
満月が妖しく美しいから
魅入られたまま静止していたい
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