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ヨガやピラティスにおけるBGMについて

ヨガやピラティスのインストラクターになったばかりの人。これからインストラクター、ボディワーカーになっていきたいという人向けの内容です。

振り付けの詳細が決まっているエクササイズとの違い

優れたエアロビクスやダンスのインストラクターは、音楽を自分自身で編集するなどして、振り付けと音楽を絶妙のタイミングで繋げられています。そういった準備をインストラクターがしておくことで、より感情的にも盛り上がりドラマティックなものになるかもしれませんし、より身体の協調性が増したり、動作の可能性が広がるかもしれません。

とは言え、ヨガやピラティスの場合はそうもいかないでしょう。何故なら、ヨガやピラティスは即興的なものでなければならないからです。ハンドレッド(ピラティスの代表的なエクササイズ)を必ず100回(hundred、名称のとおり)おこなうほど、愚かなことはありません。

100回おこなうかもしれないし、おこなわないかもしれない。それは参加者の動きのクオリティに依るわけです。参加者全員を観察して、適時判断する能力がヨガやピラティスなどのムーブメント系のボディワーカーには必要になります。毎回、参加者の状態によって変化していくわけですから、音楽でどんなエクササイズをするのかなど、固定することはできません。

ヨガやピラティスは、音楽で例えれば楽譜通り厳格に演奏する類のものではなく、より即興的な、フリージャズのようなその場その場のものなので随分と音楽の位置づけは違っているのです。

レッスンの中で、この場面では自律神経系を活性化させたいのか。あるいは、落ち着けたいのか。その流れの手綱を握っているのは音楽ではなく、あくまでボディワーカー側でなければなりません。好きなミュージシャンがいるとして、そのアルバムやミックスを安易に流してしまうと、アルバムの中の盛り上がる楽曲と合わないかもしれない。音楽をかけるのであれば、その辺を考慮する必要があります。参加者にリラックスしてもらいたい場面で、テンポの速い盛り上がる楽曲が流れると台無しになるでしょうし、その反対も場違いそのものですからね。

雨音で癒される人もいれば、落ち着かない人もいる

面白い話を尊敬しているカウンセラーの先生が話してくださったことがあるのですが、ある時期、雨音の入ったヒーリングミュージックをその先生はカウンセリング中に流しておられたそうです。その音で癒されたり、変性意識状態になりやすかったり、キミもイメージできると思います。YouTubeなどでも「雨音 癒し 音楽」などで検索するとそれっぽい音楽が聴けますよね。でも、ある日のセッションでクライアントがその音が落ち着かないと言ってきたそうです。「流し台の蛇口を閉め忘れた気がしてしまう」と。なるほど、女性らしい、主婦らしい感性で「捉え方は人それぞれ」とそのエピソードを教えて頂きながら思ったものです。

メジャーな楽曲は避ける

このカウンセラーの先生のエピソードから考えると、ポピュラーな音楽は安易にかけられないということを君なら連想できると思います。ノラ・ジョーンズのアルバムが恋人との良い思い出として残っている人もいれば、反対に失恋した悲しい記憶を思い起こさせてしまうリスクもある訳ですから。

「捉え方は人それぞれ」ということはそういうことです。テレビやラジオ、街中を歩いていて耳にしやすいものは避けた方が無難かもしれません。また、クイックマッサージや整骨院などで流れている音楽と同じような、ありがちなヒーリングミュージックもどうかなという気がします。「あ〜、あのクーポンサイトで利用したマッサージ屋さんで流れてた曲だ。あの後、回数券を売り込まれて、断るのが大変だったな」なんて、思い出されてもマイナスでしかないですからね。

無音という選択

あるエネルギーワークを学んだ際、その先生は「セッションで音楽を流さない」とおっしゃっていました。音楽には、作り手の念(意図のようなもの)が込められているからといったニュアンスで話されていました。僕自身、音楽を流さないことも少なくありません。その環境のコンディション(外の騒音がする、しない)だったり、参加者の状態。また、僕自身のコンディションによって、音楽をかけるか、かけないかを僕は選んでいます。ある程度のキューイングの上手さが必要になるので、インストラクターになりたての人にとっては少しハードルが高くなるかもしれませんが、音楽をかけずにレッスンをするという経験も是非、試して欲しいです。

音楽の選び方

今は気に入ったアーティストの楽曲が見つかったら、そこから「この音楽が好きなら、こういうのはどう?」といった具合に多くのサービスがお薦めをしてきてくれるはずです。一人で静かに自宅でイヤホンなどを通して、探していくといいでしょう。センスの良いカフェなどで良い楽曲を見つけたら、Shazamなどで調べることもできます。音楽も、聴覚、五感の重要な要素の1つに関わるものですから、丁寧に関わって欲しいと思います。正解はない探求ですし、その探求を続ければ続けるほど、レッスンにあなたらしさが反映されていきます。


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