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どんでん返し創作法「3匹のモンスターその3」フランケン編 D⑪

どんでん返しを連れてくる最後のモンスターは、過去の自分の悪事が招く恐怖【フランケンシュタインの怪物】

フランケンシュタインとは?

ブンコ「ドラキュラ、狼男。そこまではいい。でも、フランケンの意味がわかんない」

ぴこ蔵「良心の恐怖フランケンシュタインというのは、実は、怪物を作った博士の名前なのじゃ。モンスター自体には名前はない。これ豆知識」

ブンコ「良心の恐怖ってどーゆーことよ?」

ぴこ蔵「ポイントは主人公が"悪の意志をもって"生み出した怪物というところにある。つまり、因果応報の象徴なわけじゃよ」

ブンコ「主人公が過去に犯してしまった悪事が良心を責めるわけね」

ぴこ蔵「わかってやっておるだけに悪質じゃ」

ブンコ「なんだかつらいモンスターねえ」

ぴこ蔵「テーマは復讐、あるいは贖罪。なかなか気分スッキリとはいかん物語になるぞ!」

主人公が生み出した恐怖(フランケン)

科学者フランケンシュタインが、生命倫理を無視して、自分の研究成果を追求したあげく、死人のボディパーツから作り出した名無しのモンスター。ポイントは主人公が「悪の意志をもって」生み出した怪物だということ。自分の犯してしまった過去の過ちへの怯えが呼び起こす恐怖です。

類型:
このタイプの敵の正体は、主人公が生み落とした存在です。主人公の過去そのものと言ってもいいでしょう。わかりやすく言えば、自分が殺した人間の幽霊みたいなものです。もしくは、主人公と本当の敵は一種の親子関係にあるわけです。

ただし、「意識的に犯した悪事」でなければなりません。自分がはっきりと悪事を行ったことを認識していなければフランケンシュタインとはなり得ません。

役割:
主人公が過去に悪事を働いた場合、フランケンシュタインの目的はおおむね「復讐」です。
恨めしや~、なのです。怪談物には多い設定です。

「ドラキュラ」は完全に相手が悪いのです。「狼男」型は自分が悪いのですが、精神的には他人です。まだ自分が悪いという意識がないだけ気楽です。

ところが「フランケン」型は、完全に自分が悪いのです。悪いと承知で犯した悪事が原因で復讐されるのですから、自分で責任をとるしかありません。

しかも、主人公は過去からは「逃げられない」のです。それが因縁というものでしょう。そんな「フランケンシュタインの怪物」はホラーには最高のキャラクターだと言えます。


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