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ゲームセンタービジュアライズ#4

ゲームセンターが大好きだった。過去形というのは忍びないが、あの薄暗い雰囲気、数々のゲーム音の混在、壁際に配置されている大型筐体のレイアウト。それらは一部だが、それらを含むすべてが大好きだった。薄暗さはゲーム喫茶の体験からだが、その初期、ゲーム喫茶はスペースインベーダーがメインで、その後というかほぼ同時期にはシェリフや与作をプレイした。スペースインベーダーは後にデパートの屋上とかでも遊べたが、様々なゲームをプレイしにあちこちに行っていた。そしてそれがゲームセンターにつながる。その頃はギャラクシアンや#3に書いたムーンクレスタ、ルナレスキューを好んでやった。バルーンボンバーはアップライト筐体だったのでクレイジーバルーンと並んでデパートの屋上に置いてあった。でもモナコGPはスピードレースと並んでゲームセンターに置いてあり、かなり長期間稼働していた。そしてそんな光景を愛していた。

ゲームセンタービジュアライズ#1-#3



青、赤、黄、白、侍

もちろんその頃はパックマンもやったりしていた。それは#2のギャラガのことろにも書いているような、コーヒーブレイクだけではないフォントやキャラクター、音楽などのナムコの高次元調和の心地よさ、パワー餌を取った時の爽快感もあって楽しかった。しかし時々パターンを延々とやっている人とかいて、そういうのは嫌だったし、まったくコンセプトは違うが、ヘッドオンのスピード感も好きだった。そして#3のディープスキャンじゃないが、セガの青、黄、赤、白という世界に浸った。そしてその中で出会ったのが侍だ。ゲームを見ると、いきなり御用提灯に度肝を抜かれた。それは当時のパソコンショップ、後には大型家電量販店のパソコン売り場で展示してあったパソコンのBASICで打ち込んだ時のような、そんなキャラクターグラフィックス、それを思い起こさせた。
ゲームはプレイヤーの侍が敵の雑魚侍に取り囲まれ始まる。必ず四人に取り囲まれるような設定で、侍は上段の構え、中段、下段と使い分けられた。突きもできたし、すべてにおいて侍の刀に触れると敵を倒せるという意味だった。そしてそれとは別だがプレイ感は後に思うにゴールデンアックスへと通ずるものがあった。そして一定数の雑魚侍を倒すとボス侍が出てくる。ボス侍は二度斬る必要があるがそんなには強くない。それよりも上から忍者かなにかが投げてくる手裏剣のようなもの、下から下人のようなものから投げられる投げ輪のようなもので動けなくなったり、待機している雑魚侍が伸ばしてくる刺叉らしきものに手こずった。精神的圧迫があり、実害よりもそれが大きい。そしてやられるとあの有名な台詞、ムネン アトヲ タノムが表示されるのである。上からの手裏剣は上段の構えで弾くことができ、その時のキン!という音がとても好きだった。ゲームスタートの音楽も時代劇風のアイキャッチのようなものだった。ヘッドオン、ディープスキャン、侍が初期のセガ、青、赤、黄、白の刺激的なゲームの思い出だ。その中でも侍は異色だった。

死体降る京

上記の侍と同時期に同じような和のゲームがあった。新日本企画のシューティングゲームでサスケvsコマンダーだった。それは思ったよりカラフルで、思ったより漢字で、思ったよりも死体だった。そしてボスの演出が面白く、そんなに強くもない。しかしボスの攻撃は多彩でグラフィックも楽しめたし、派手な攻撃もあった。そして忍術が潰れてはいるか、漢字混じりで表示されるのもよかった。
始まると高い木の上から攻撃してくるようなイメージで、雑魚は赤忍と緑忍の二種類があり緑忍は編隊を組んでいる。そして撃ち落とすと、死体も落ちてくるのだが、それに当たるとミスとなるので面倒だった。それに雑魚とはいえ、面を追うごとに速くなり、その結果強くなった。攻撃のテンポが速くなったために倒すと多数の死体が落ちてくる、そのタイミングの速さでさらに強く感じる。四面くらいから自機のサスケも二刀流になるのだが、私は四面か五面くらいまでしか到達できなかった。
要所要所には音楽も鳴り、楽しい。そしてコーヒーブレイクではないが、途中に少しだけデモがあり、そういうのも面白い演出だった。パックマンのコーヒーブレイクといい、ちょっとしたキャッチーな演出や、サスケのような世界観の演出など出始めてきたころだった。でもゲームオーバーでサスケが躓くのは何だったんだろう。分からなくもないが、なぜそれが必要だったのか、それは今も思う。少しコミカルで、いい味は出してたから、そんなことをいうのは無粋か。画面の大文字焼と、五重塔らしき背景のアクションシューティング。そういうイメージでとても和だった。私にとってはよくプレイしたゲームで、とてもいい思い出だ。

ワオワオ

インベーダーやギャラクシーウォーズの頃、近くに新しく個人ハンバーガー屋がオープンした。行ってみたら明るい店内にテーブル筐体のそれがあった。シューティングゲームで、なぜか自由の女神が描かれていて、とても興味を引いた。今思うとハンバーガー屋だから自由の女神だったのだろうか。それがニューヨークニューヨーク、ゲームを始めて驚いたのは音楽、それに喋った。そしてそれに惹きつけられた。
私にとってスピーク&レスキューとどちらが早い体験だったかは憶えてないが、スピーク&レスキューは暗いゲームセンターで叫んでいる感じ、だがニューヨークニューヨークはリズムに乗った喋りという感じだった。それはこのゲームにはBGMがあり、それに乗せて喋っている感じなのだ。そのBGMもなんとなく物悲しく、その時の声が、ワオ、ウォウウォウ、ブラボーなどというが、ふと思ったのは、これは敵を迎撃している自機を応援するニューヨーク市民の声なのか。笑。違うか。
画面中心から左側にマンハッタンと自由の女神が描かれていて、右側に台風の目のような、ブラックホールのような、目が出てくる。それを中心にUFOが飛来し、攻撃してくる。その目を打つとよく喋った記憶。そして雑魚UFOより目を狙っていた。雑魚UFOは緑を中心に黄色や赤、白いものもあった、そして目を中心に円を描くようにぐるぐると回りながら攻撃してくる。目を守っていると思っていた。目に弾が当たると次々と色が変わってゆき最終的には破壊できる。それがボーナスというわけではないのだろうが、その仕掛けにやる気が起きるのだ。雑魚の二種類も結構な量の弾を打ってくる。しかも斜めに打ってくる、いや流れてくる。そして面が進むとその雑魚がどんどん強くなる、弾が増え早くなるのだ。そしてボスがなかなかいい、くるぞ、と表示されボスらしきものに注意を促すのだが、そのボスはUFOという文字の敵キャラクターだ。そして倒すと、やられた!と画面にでるのである。なんともほのぼのしてしまう。そういうのには当時は笑って、もっと豪華なボスじゃないのかと少しがっかりしたが、目を倒すことと音楽と声と雑魚でも十分楽しいゲームだった。やっぱり声とBGMは大きい。

色、音の震え

#2のディフェンダーと似たような感じだだが、どこだったかゲームセンターに行くと、テーブル筐体から二本のジョイスティックが出ている台があり、とても興味をそそられた。ディフェンダーほどじゃないが、普通じゃないシステムというのはすぐに分かる。そして興味が沸く。すぐにインストラクションカードをチェックした。それが日本物産のクレージークライマーだった。
先ずそのレバー二本、それに引きつけれられる。そして見た感じ色やグラフィックが素晴らしく、このゲームもアドバタイズ画面にも関わらず声が鳴っていた。着眼点も斬新でビルを上るゲーム、それは不思議ではあるがとても新鮮で楽しそう、そう感じ、そして事実楽しかった。単純にビルを屋上まで登り切ってヘリコプターをつかむというゲームだが、画面の左側にはマップというかビルの全体像があり、現時点でどこにいるかが分かるようになっていた。そういうミニチュア的なグラフィックも大好きだった。
レバーは両手に相当し、使い方は難しくはなく、すぐに慣れ、どんどん登ってゆける。もちろんプレイを重ねれば色々な手の置き方とか持ち方とかも分かってくる。ゲーム中の敵といえば基本的に窓の開閉、窓から顔が出てきて落とされる植木鉢、コップ等、しらけ鳥、キングコングのような奴、鉄アレイと鉄骨、看板くらいだ。しかもしらけ鳥やキングコング、看板はあまり障害にはならない。窓の開閉と植木鉢等が問題で、一番ヤバいのは鉄アレイと鉄骨だ。窓が閉まるところに手があると落ちる、それに閉まっている窓が多いと精神的な圧迫感が増す。植木鉢等はいくらかは耐えられるが連続とか、手が変になっていれば落ちてしまう。鉄アレイや鉄骨なんてあんな重いものが真下に落ちず慣性がついて曲がってくるのだ。まあ窓枠に当たって跳ねているのだろう。確かそういう演出もあった。その両手を使って登るというシステムで様々なことができた。大きく登っていったり変なポーズでヘリをつかんだり、一階に降りようと努力したり。どんどんと登っていったり颯爽と障害物を避けてみたり、レバーが両手に相当するのがとても楽しかった。面追うごとに難しくなってくるが、四面までの一周はクリアはできた。
聞き取りにくかったが音声もなかなか楽しい。ハイスコアの場所にある文字を入れるとクレジットが二つ増えるという裏技があり、あまり知っている人はいなかったが、あまり使わなかった。やっぱり子供だし他の人の目も気になる。ゲームをやりたい人は他にもいるだろうから占有はできないと思っていた。誰もいない夜中や昼間に一度そういうことをしてみたいと思ったりした。

クレージークライマーは初期のゲームセンターでの一つの色だった。あの色が少ないゲームの時代に色がついてきたころ、そしてゲーム性にも色があった。それに感心してハマって楽しめた。それに例えば面を表す植木鉢、それはナムコのそれにも通じるが、その感覚、それが独特だった。ヘリコプターの震える音、そういのもはっきり憶えている。そういうゲームをまたやりたい。いや、クレージークライマーをしたいのかもしれないな。

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