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冬に浦河・谷川牧場までお伺いしてターファイトクラブ出資馬ディスペランツァくん(Evolve-18)と出会って感動した話。



■BTCで育成中の推し馬に会ってきた。

※時間がない方向け
・ターファイトクラブの出資馬見学で谷川牧場へお伺い。
・Evolve-18と初対面。かわいくてかっこよくて感動した。



■新千歳空港から日高道で一路、浦河へ

羽田空港から約1時間半。
新千歳空港に降り立ってから、関東圏では感じられない寒さの質に、ダウンの有難みを感じる。
北海道の冬道をレンタカーで行くのははじめて。少し不安な気持ちを、空港まで送迎に来たレンタカー屋のお兄ちゃんに話しかけることで紛らわそうとした。
「この時期で気を付けることはありますか」
「夜の鹿と警察のネズミ捕りですかね」

幸い、道南の気温は高く、雪や氷は心配ないようだ。車のナビのいう通りに、日高道を通って目的地へ向かった。


車を運転して1時間ほど。
苫小牧のあたりの人工的な風景をこえて、鵡川のあたりからは「馬のいる風景」を見かけるようになる。

門別、日高、日高道を降りて新冠、静内…それまでは文字でしか知らなかった地名を経て、浦河へ至る。
国道236を左折すると、天馬街道と名付けられた北に向かう道へ入る。
2kmほど走ったところに目的地の谷川牧場がある。

予定の時間の5分前について、事務所にご挨拶にと思ったら、代表取締役専務の谷川寿郎さんにお会いできた。
ターファイトクラブからお願いしていた出資馬の見学希望の旨をお伝えすると、「では案内します」と車で誘導いただいた。

さらに北へ6~7km。
競走馬はいろいろな育成スタイルがあるが、1歳の頃から「馴致(じゅんち)」と言われる、競走馬に人が乗れるようにする育成段階があり、それをクリアしていくと育成牧場などで「走る」ことを徹底的に叩き込まれる。大事な躾や、馬と人間の信頼関係を築く時期でもある。
浦河には馬の育成・調教をする「BTC(軽種馬育成調教センター)」があり、そちらに連れていってくれた。


■マジ天馬。


到着してしばらくしたら、
馬房からまだ幼げな、でも精悍な身体つきの競走馬をスタッフさんが連れてきてくれた。

馬房から出てきて来訪者に姿を見せてくれた。マジ天馬。

血統は父・ルーラーシップ、母・ルパンⅡ。
姉のルピナスリード(父・ダイワメジャー)は先日3勝クラスを勝ち上がった短距離のオープン馬。兄のファントムシーフ(父・ハービンジャー)は2歳で2戦2勝で、野呂菊ステークスを肩鞭だけで快勝した。年末のGⅠや来年のクラシックが楽しみな逸材だ。

サシの入った尾のかんじがいい。
すごい天馬感。

「体重は…」
「だいたい480キロくらいですね。成長分もふくめてこれくらいで出走するんじゃないでしょうか」

「お姉ちゃんやお兄ちゃんも活躍していて期待ですね」
「同じ時期のファントムシーフとくらべると、お兄ちゃんはトモ(後肢)がゆるくて。当馬はトモがパンと張ってます」

「いまBTCで坂路やダートトラックで乗り込んでいますが、18-18*くらい。この時期にそれ以上、時計を出す必要はないのですが、十分速い数字も出せそうです」
*1ハロン(約200m)で18秒くらいをめどに走らせること。18-18なら2ハロンを18秒⇒18秒で走るのだが、いわゆる若い馬だと15-15が走れるかが目安になる。


こちらはターファイトクラブの公式の動画で、10月時点の調教風景。
BTCの屋内坂路だが、一番左の当馬はずっと右を向きながら他馬よりも少し大きめの歩幅で進んでいっている。
一般的に、ストライドが大きい馬はロングスパート型で、長い距離が向いていると言われている。

「どんな馬になるかは、いろいろな状況もあるので言い切れないけど、きっと未勝利で終わる馬ではない。期待しています」


■再会を楽しみに

そのあとは少し談笑したり皆さんのご厚意で歩く姿を見せていただいたり、一緒に写真を撮ったり、近づいて馬に触ることもできた。

馬に近づくときは、自分の姿が見えるように正面から。

最初はびっくりしている様子もあったが、最後には少しずつ慣れてくれて、鼻先をなでたり、近くで撮影もさせてくれた。
いきなり来た来訪者に馬体を触らせてくれるというのは、人間に対して信頼関係が生まれているからだと聞いた。
牧場の皆さん、スタッフの皆さんの日々の愛情やご努力を感じる瞬間だ。


とても賢そうな顔をしてる。澄んだ眼にやられた。ドキリ。

小学校の頃にゲームで競馬を知ってから、
年を経るにつれ一度は忘れていたけども、大人になってからもう一度好きになり、Twitterを通じて谷川牧場を知って、ターファイトクラブを知り、一口馬主というものを知って、たまたま初めての出資申込が叶ったのがルパン2021だった。
知識では頭にあった「馬」という存在をアップデートできた。

なんて洗練されていて愛おしくて、人の手がかけられた宝物のような存在なんだろうか。

大人になって北海道に仕事で行くようになって、
「あれ、行けるかも?」ということで、お休みをいただいて今回は訪問させていただいた。
牧場業務でご多忙のところご対応いただいた谷川牧場の皆さん、ターファイトクラブ事務局さんのご調整にも感謝です。

実際に行ったからこその感動があり、さらに馬という存在や競馬文化へより一層の関心も高まった。
例え馬が走っても走らなくても、この日にこう感じたことは忘れないだろうな。

無事に育って、
また競馬場で会えることを期待して、「またね」という言葉で馬房に見送った。


■BTCってすごいね

帰り道は「せっかく来たのだから」と、
BTCの中をご一緒にまわらせていただいた。

直線1,000mにわたる屋内コースやダートトラック、山あいには坂路コース、その他、凱旋門賞の調教で見るようなだだっ広いグラス坂路に1周800mのトラックなど。

私が行ったのは、もう調教も終えてという夕方に近い時間帯なので馬も人もいなかったけど、日々こうした施設で多くの馬が鍛えられて「競走馬」になっていくのだなと感慨深かった。

雨でも利用ができる1kmの直線コース。上がったところには坂路もある。
山あいにある日高育成牧場からは海も見渡せる。




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