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書評 | ももまろ著「透明な感受性のやり場」(わたしの現代新書)


 待望の書籍がついに上梓された。ももまろ先生の『透明な感受性のやり場』(わたしの現代新書)である。

 本稿では、僭越ながら、私が書評を書かせていただくことになった。
 光栄であると同時に、若干の戸惑いを覚えている。というのは博学であるももまろ先生のご著書を、薄学かつ非才な私ごとき者が書評するに値するのだろうか、という疑念を払拭できないからである。

 いったん私は書評を書くことを固辞したのだが、ももまろ先生から直々に「山根先生、書評を書いていただけませんか?」という依頼を受けた。
 尊敬するももまろ先生から直接に書評を書くように依頼されるとは!
 身に余る光栄であり、私には断ることができなかった。

 私は精一杯、これから書評を書くつもりである。しかし、如何せん、ももまろ哲学は深い。私の思わぬ勘違いや誤読が含まれるに違いない。それ故、これから私が書くことは参考程度にお読みいただき、実際に『透明な感受性のやり場』を手にとってお読みいただきたく思う。

ももまろ(著)
「透明な感受性のやり場」
わたしの現代新書

 ももまろ(著)『透明な感受性のやり場』の副題は、「心の色を探して~透明感あふれる冒険に出よう~」である。

 「心の色」というと、中村雅俊の名曲を想起する方もいることだろう。


🎵受話器の向こうから 
聞こえる涙声
君はだれにはぐれた
都会を舞う君は
黄色いツバメのようだね
心を染めないで🎵

🎵そしてララバイ・・・
やさしさを知れば
微笑みあえる🎵


中村雅俊「心の色」より抜粋


 ここで敢えて私が中村雅俊「心の色」を引用したことには理由がある。歌詞をすべて読んでいただければ分かるように、曲名が「心の色」であるにも関わらず、この歌には一度も「心の色」というフレーズが出てこない。
 
 同様に、ももまろ先生の『透明な感受性のやり場』にも、「感受性」というフレーズは1度も現れていないのである。表面的なことではあるが、本文中に1度も登場しないフレーズを、敢えて表題にするところに、ももまろ先生の深いこだわりを私は感ずるのである。

 思い起こしてみると、先生の前著『炭酸水で鼻が濡れた』(わたしの現代新書)の本文中にも、「炭酸水」という言葉は1度も登場しなかった。これは単なる偶然の一致なのだろうか?
 私はここに、ももまろ哲学を読み解く鍵が隠されていると思わざるを得ないのだ。私の推測は的外れであろうか?

ももまろ(著)
「炭酸水で鼻が濡れた」
わたしの現代新書

 本稿は、書評という文章の性質上、『透明な感受性のやり場』の体系的な哲学を述べることができない。なぜならば、書評とは論文ではないし、読書感想文でもない。書評を読んでくださった方が実際に本を手にとり、実際に読んでみるきっかけを与えることが、第一の任務だからである。


 最後になってしまったが、矢継ぎ早に上梓される著作を読めば分かるように、先生の旺盛な好奇心は、その限界を知らないようである。

 名著と呼ばれる作品に共通するように、名著とは読者の成長に合わせて、読み方が変わっていくものである。
 ももまろ先生の文体は、決して難解なものではなく、むしろ透明感あふれる文体である。しかし、一読してすべてを理解されることを拒む何かが含まれている。

 『透明な感受性のやり場』は、一読してすべてを理解できるような本では決してない。読者に二読、三読を要求する。現在の風潮を表す言葉として、「より早く、より多く」というタイパ(タイム・パフォーマンス)という言葉がある。タイパという意味においては、ももまろ先生の著作は、世の中の風潮と逆行するものかもしれない。

 しかし、人間の思考というものは言うまでもなく、一朝一夕に陶冶されるものではない。長い年月をかけて、徐々に形成されるものである。
 『透明な感受性のやり場』は、真に本物を志向する人には必読の書であると私は信ずる。後世に読み継がれていく「古典」の地位を築くことについて、疑いの余地はない。



重版出来❗❗
ももまろ(著)『透明な感受性のやり場』
「わたしの現代新書」



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