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#短編小説
[1分小説] ホラー
「ねぇみっちゃん、怖い話ききたい?」
「えぇ〜、なんで突然ホラーなのぉ?」
みっちゃんが「えぇ〜」と言って口を開く時は、
たいてい話の先を待っている時である。
「サチったら、あたしが怖い話苦手なの知ってるでしょ〜」
会話を切り出したはサチ続ける。
「そういうホラーじゃないから」
サチの話はこうだった。
・
休日、閉店間際の夜9時少し前に、チェーンの喫茶店に入った。街でよく見かける、
短編 | 別れた午後に...
一晩中睦み合ったあと、女がボソリと言った。
「あたしたち、これで終わりにしましょうか」
愛欲に溺れながらも、もうこの恋が終焉に近づきつつあることを、私も察していた。
「そうだね。このまま、いちばん綺麗な状態でピリオドをうつのが良いのかもしれないね」
ベットの上で最後のキスを交わしたあと部屋の外へ出た。サクラの花が咲き誇っていた。
「まぁ、綺麗ね」
「そうだね。本当に綺麗だ」
し
短編 | 智宏と朋子
高校を卒業して、ある地方の大学に進学した。第一志望の大学ではなかったから、自己肯定感なんてもてなかった。
それでも、サークルに入って友人が増えてきて、この大学でも良かったのかな、と5月半ばの頃には思えるようになった。
講義が終わって、なんとなく体を動かしてみたくなってテニスコートに行くと朋子さんがいた。
「あ、智宏くんだ。ちょっと軽く運動したいなって思ったんだけど誰もいなくて。よかったら
小説 | あの日の償い~永久欠番のあなたへ~
(1) 昭和55年5月
やっと夜勤が終わった。本当に疲れた。体が痛い。とりあえず、うちに帰って、いったん寝よう。
そういえば、今日は母の日だったな。ひと眠りしたら、カーネーションを買って久しぶりに実家に顔を見せよう。高いものはプレゼントできないけど、今までたくさん母さんには心配をかけてきたからな。
(2) 昭和62年4月
「すいません、今日は郵便局に行ってきます」
「お前、また貯金か