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恋文・ラブレター

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みんなのフォトギャラリーでイラスト・画像をご利用してくださった方の記事。 そして💬コメント欄には、書ききれない熱い想いをここに綴ろうと思います。ラブ❤️レター💌といっても、同性に対… もっと読む
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#短編小説

人の不幸を喜ぶ人、悲しむ人。

人の不幸を喜ぶ人、悲しむ人。

人には不幸がつきものです。
怪我や病気をしたり、身内がなくなったり、落とし物をしたり。
そんなとき、悩みを人に打ち明けることがあるでしょう。

とある大学生のHくんは、人の不幸が大好物です。
俺、人の不幸を見るとウキウキしちゃうんだよね。
嬉しくて仕方がないんだよ。
人の不幸って蜜の味。
楽しそうにそう語る。

逆に、人の幸せって不愉快。
俺の目の前から消えればいいのに。って思うよ。
不機嫌に語る

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閉店セール

閉店セール

 このたび、3年弱つづけてきたnote商店を閉店する運びとなりました。
 SNSは所詮バーチャル空間。言葉の先にリアルな人がいると分かっていても、人を人として感じることができません。

 なんか虚しさがつのるばかりです。再生に向けて、試行錯誤してきましたが、状況は悪化するばかり。

 連載小説を書いても鳴かず飛ばず。
 書きたいことは書き尽くしたような気もしますし、私などいなくても代わりはほかにた

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小説でもどうぞ、の結果でました。

小説でもどうぞ、の結果でました。

以前書きましたが、11月に「小説でもどうぞ」という公募に一作送りまして。本日結果がでました。「選外佳作」でした。

この公募に作品を送った当時は、高橋源一郎さんのことを知らず、公募に集まった作品を読むことすらしないという、怠慢極まりない態度で臨みました。
その後、後追いで入選されている方々の作品を読んでみてびっくり。
どの作品にもしっかり、オチがありました。(当たり前?)
そして講評を読んでみると

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[1分小説]  きもち

[1分小説] きもち

月曜日の6限目の授業中、佐山 美弥子は、窓の外を見るともなく眺めていた。

『陽が傾くのが早くなったな』

終業のチャイムが鳴るまで、あと3分。

すでに宿題のページを終えた彼女は、ぼんやりと時間が過ぎるのを待つ。

中学生の頃、両親が離婚した。

「ママね、パパとお別れすることにしたの」

両親の壮絶な言い争いを見続けて数ヶ月が経つ頃、母親が口にした言葉である。原因はパパの浮気らしい。

「美弥

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[1分小説]  ホラー

[1分小説] ホラー

「ねぇみっちゃん、怖い話ききたい?」

「えぇ〜、なんで突然ホラーなのぉ?」

みっちゃんが「えぇ〜」と言って口を開く時は、
たいてい話の先を待っている時である。

「サチったら、あたしが怖い話苦手なの知ってるでしょ〜」

会話を切り出したはサチ続ける。

「そういうホラーじゃないから」

サチの話はこうだった。



休日、閉店間際の夜9時少し前に、チェーンの喫茶店に入った。街でよく見かける、

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掌編小説 | 出獄

掌編小説 | 出獄

 はじめて夫に触れたのは、彼の心臓が動きを止めて、およそ、三時間ほどが経ったころだ。
 いつでもガラス越しに、眺め、言葉を交わしていた夫の口もとは緩み、やさしく微笑んでいる。顔に触れてみれば、思いのほか柔らかかった。細い腕は、その印象よりもずっと逞しく、手首から肩にかけて何度か擦っていると、やはり、このひとに抱かれてみたかったという切ない思いが溢れて、涙がこぼれた。
 このひとは長い間洗脳されてい

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短編 | 別れた午後に...

短編 | 別れた午後に...

 一晩中睦み合ったあと、女がボソリと言った。

「あたしたち、これで終わりにしましょうか」

 愛欲に溺れながらも、もうこの恋が終焉に近づきつつあることを、私も察していた。

「そうだね。このまま、いちばん綺麗な状態でピリオドをうつのが良いのかもしれないね」

 ベットの上で最後のキスを交わしたあと部屋の外へ出た。サクラの花が咲き誇っていた。

「まぁ、綺麗ね」
「そうだね。本当に綺麗だ」

 し

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掌編小説 | わたしの石

掌編小説 | わたしの石

 小さな船の冷たい床に寝転がり、空に浮かぶ男の人を見ていた。
 わたしは船に乗せている大きな石が、片方の足を潰してしまっていることも忘れて、スーツを着ているその人を目で追っていた。彼はサラリーマンなのかな、なんてのんきに思っていた。わたしの目に映るのは、青い空、白い雲、そしてサラリーマンだった。

いつだったか、わたしはこの船に乗り込んだ。着の身着のまま、後先を考えずに、この小船に身を隠す

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短編 | 瑠璃色の1%

短編 | 瑠璃色の1%

 その日の勢いで、彼にすべてを曝そうとした。しかし、また、直前になっておじけづいてしまった。

「ごめんなさい。やっぱり無理です」

「そうか。それじゃ仕方がないね」

 そう言うと、彼はベッドからおり、服を着始めた。

「ごめんなさい、本当に…」

 彼は私の目を見て微笑んだ。

 体を重ねる寸前になって、勇気が持てずにそのまま何もなく…というのは今回で3回目だった。

 彼のことを信頼していな

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短編 | 智宏と朋子

短編 | 智宏と朋子

 高校を卒業して、ある地方の大学に進学した。第一志望の大学ではなかったから、自己肯定感なんてもてなかった。
 それでも、サークルに入って友人が増えてきて、この大学でも良かったのかな、と5月半ばの頃には思えるようになった。

 講義が終わって、なんとなく体を動かしてみたくなってテニスコートに行くと朋子さんがいた。

「あ、智宏くんだ。ちょっと軽く運動したいなって思ったんだけど誰もいなくて。よかったら

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小説 | あの日の償い~永久欠番のあなたへ~

小説 | あの日の償い~永久欠番のあなたへ~

(1) 昭和55年5月

 やっと夜勤が終わった。本当に疲れた。体が痛い。とりあえず、うちに帰って、いったん寝よう。

 そういえば、今日は母の日だったな。ひと眠りしたら、カーネーションを買って久しぶりに実家に顔を見せよう。高いものはプレゼントできないけど、今までたくさん母さんには心配をかけてきたからな。

(2) 昭和62年4月

「すいません、今日は郵便局に行ってきます」

「お前、また貯金か

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帰りたい場所… 1859文字#青ブラ文学部

帰りたい場所… 1859文字#青ブラ文学部

「河瀬さん、今日飲みにいきませんか?」

………また来た。

冷たくて冷酷かもしれないけれど、私は声をかけられて直ぐにそう思った。

「今日は、両親と晩御飯を食べる約束をしているんです。」

何となく浮かんだ理由を伝える。勿論、絶対に信じてもらえないというのも分かって言っている。

けれど、心の中では思ってる。

この理由を聞いて、納得して欲しいって…。

「そうなんですか?……じゃあ、仕方ないで

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短編 | 未解決事件

短編 | 未解決事件

「あ、いたたた。首が痛い」

「また、痛くなっちゃったか。早く治るといいね」

「治らないよ。むち打ちなんて。今生きていることさえ奇跡なんだから」

 僕と出会ってから、奈美から何度も同じ話を聞かされている。だが、僕に言える言葉は「早く治るといいね」しかなかった。

「絶対許さない、あのクソ親父」

 奈美はまた今日も怒りを新たにしている。この先に奈美の言うことは予測がついた。

「チャリに乗って

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