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#短編小説
ショートストーリー | お洒落なひと
リンスインシャンプーをした君の髪が揺れる。
「君の香りだね」と僕が言うと
「それはメリット?それともデメリット?」と訊く君はお洒落だ。
金メダルをかじってバッシングを受けた市長のように、ミルクにつけたオレオをかじっている。
「朝からお菓子なんて」と言って笑った僕に
「あら、おかしい?」と言ってにやついた君からは危ない匂い。
「これは君の香りかな?」
僕はきみの頭の匂いを嗅いで、それから耳の後ろの
掌編小説 | リリー
マキは機嫌がいい。それは誰が見ても明らかだった。中途半端に伸びた髪が肩にあたり、はねている。何度ブラシで撫で付けても直せない毛先の癖に、いつもなら苛立ちを見せるマキが、今日は鼻歌を歌っている。
ドレッサーの鏡越しにリリーと目が合うと、マキはくすくすと笑った。
「リリー。なんて顔。そんな冷めた目で見ないでよ」
マキは椅子から立ち上がり、リリーの横に座ると、彼女の髪を撫でた。
「今夜、あなたも一緒に
ワキ毛vsスネ毛論争 | そのコラボレーションは面白いか?
学生時代の話である。ゼミの研究発表会のような催し物があったので、私の部屋に同じゼミの友人が来て、打ち合わせをしたことがあった。「友人」と書いたが、悩み事などをお互いに語り合えるような親密さはなかった。だから、本当は「友人」というよりも「知人」といったほうが正確である。別に仲が悪いというわけではないが、必要な話し合いをしたら、早く一人になりたいな、と思っていた。
とりあえず「こんな感じでいこう
短編1000文字 | Kabushiki外車の音、あるいは、株式会社のおと
私の名は亜希子。28歳、職業AV女優。大学院博士課程を満期終了したが、ドクター論文は書かずに退学した。
外資系金融機関への就職は決まっていたが、右から左へ金を動かすだけの仕事には興味が持てず、入社3日目で退職した。
いつも学業成績はトップだった。特に努力したわけではないが、乾いた砂に注いだ水のように、あらゆる知識を苦もなく吸収することができた。
私は頭で生きているわけじゃない。身体を持つ
太宰治「満願」(新潮文庫「走れメロス」所収、pp.50-52)。
「一味爽涼」(いちみそうりょう)(↓)
https://idiom-encyclopedia.com/itimisouryou/
「簡単服」(かんたんふく)(↓)
https://kotobank.jp/word/%E7%B0%A1%E5%8D%98%E6%9C%8D-470775