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青ブラ文学部・オススメ記事

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オススメの記事の紹介したり、個人企画への応募作品を収録します。 たくさんの方に読んで頂きたいと思った記事のまとめ。
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2024年5月の記事一覧

【ショートショート】君に届かない(761字) #青ブラ文学部

【ショートショート】君に届かない(761字) #青ブラ文学部

 仕事帰り、スーパーに寄った。買い物を済ませて外に出ると日が傾き始めていた。買い物袋を片手に坂道を下りながら、空はどんどん色を変えていく。
 向こうから女の子が歩いてきた。黒のボブヘア。膝丈のスカート。グレーのブレザーで近所の高校の子だとわかる。
 俯きがちにとぼとぼと歩くその子。やれやれとゆっくり歩く私。やがて私たちはすれ違った。
 その時、私はふとあの心もとなさを思い出したのだった。
 あのく

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しらけた中指

しらけた中指

いいなもう一切俺に関わるなよ?

鼻白んでハイハイわかったわかったと返す

繰り返してもこの先はもうないから安心なさってちょうだいな

腐れ縁なんていらない

もう腐っているんだし

くるものは拒まないけど去るものも追わないわ

去るものを見送るくらいなら先にいなくなることにしてるのよ

いらないから番号消していたのにね

わからないのかとため息をついた

自分の所有ぶつ

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*お題『#腐れ縁だから』•#青ブラ文学部

*お題『#腐れ縁だから』•#青ブラ文学部

「夏祭りといえばかき氷だよね〜」

「かき氷の中でブルーハワイ味が一番好きなんだ〜」

頼りない、腐れ縁の二人の距離はこんな
たわいもない会話でしか縮まらない。

口いっぱい吸い込みたくなるくらいに爽やかで
とびきり特別な『ブルーハワイ味』

「明日が来るのが楽しみで…こんな気持ちは
儚くいつか消えちゃっても、知ってほしいのは
今までの私じゃなくて、今の私なんだよ」

途方に暮れるほどまっすぐな

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「エッセイ」腐れ縁even if#青ブラ文学部

「エッセイ」腐れ縁even if#青ブラ文学部

もう、ずっとずっと昔の話。

平井堅のこの歌が流行った頃、私のことを好きだと言ってくれた人が居た。
もう、その時は既に私はダーちゃんと結婚していたから、断ると言うより無視を決め込むしかなかったんだけど…
彼が、何かの宴会の最中に電話を掛けてきて
「ねぇ、本当にこれが最後だから、一曲だけ聴いて」
とカラオケで私に歌ってくれた曲。
携帯の向こうから流れてくる歌声に
「ありがとう、じゃあね」
と言って、

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【青ブラ文学部 / #腐れ縁だから】

【青ブラ文学部 / #腐れ縁だから】

山根あきら様
お久しぶりです。お邪魔いたします。

腐れ縁、腐れ縁。
私と腐れ縁のひとって誰?

う~~んと考えてみて、やっぱ『自分自身』だろうと思いました。
だって死ぬまで縁が切れない。

最近初めて脳科学の本を読んだのですが、
ーーーゲノムって・・・ガチャよなあ・・・・・・
と思いました。読めば読むほど。

去年書いた記事に、
「実際、親ガチャってのはあるんですよ。ええ、ええ。私はッ、実感とし

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腐れ縁

腐れ縁

  アイツとは30年来の「男」友だちだ

特に好きなヤツでもなく
会いたいとも思わない
私の恋人だった人の親友だと言って
近付いて来た
元彼に聞くと「単なるクラスメートだよ」と返事が帰ってきた

何?危ないヤツ?
私は防御態勢に徹した

夜、祖父母の家に戻ると笑い声が外まで聞こえる
まさか?え?何?
祖父母を攻略して私を捕獲する気?
怒髪天の私はヤツに罵声をあげた


いや、あげることが出来なか

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あなたは誰? #青ブラ文学部

あなたは誰? #青ブラ文学部

昔から、縁を切りたくても切れない。
決して、嫌いなわけじゃないんだけど、たまにあなたのことが誰だかわからなくなる時がある。

例えば、漢字1文字だけを見続けていると、記号に見えてくることはないですか?

「字」という文字をずっと見続けていると、私はなんの意味も持たない記号に見えてくる。
初めは、「ウ」という文字と「子」という文字に別れて見えるんだけど、それを通り越して見続けると、なんの意味なのか全

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【掌編小説】ゼロ、イチ、ゼロ #青ブラ文学部 #腐れ縁だから

【掌編小説】ゼロ、イチ、ゼロ #青ブラ文学部 #腐れ縁だから

「コンピュータは数字のゼロとイチの組み合わせで動いてるんだ」と零くんは言っていたけど、わたしにはよく分からない。

窓の外からはミーン、ミンミンミンミー、といつまでも続く蝉の声に混じってきゃはは、と歓声が聞こえた。このマンションに住む子どもたちが鬼ごっこをしているのだ。
わたしは外で遊ぶのが苦手だ。走るのがおそいし、すぐに疲れてしまうし。

だから学校が終わると毎日こうして零くんが何やらパソコンを

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詩 「潮騒の残り香」

詩 「潮騒の残り香」

〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜

水平線の先にある可能性なんて
そんな浮かれた無邪気さに酔いしれる程
初心な感情ってものを
俺は持ち合わせていなかった

アイツの泣いた顔を想い出す
幸せを掴み損なっては
指の間からするりと逃げていった
過ぎ去りし日々は
もう戻ることはない

所詮は腐れ縁だから__と、

切り立った断崖にぶつかる
打ち寄せる波飛沫で
俺が残した足跡なんて
未練なく掻

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くされ縁

くされ縁

「今月、生活費が足りない、2万円貸してくれ」

この言葉が引き金となり、私とあなたに繋がれていた、腐れ縁、鎖のような縁は繋がらないものになった。

あなたと出会ったのは、出会い系。
と言っても、直接パーティ会場で知り合った。

あなたも友達のお付き合い、私も友達のお付き合いで参加。

めでたくカップルになり、その日からお付き合いは始まった。

恋のイロハを教わったのもあなた

最初は何もかもが鮮や

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腐れ縁だから

腐れ縁だから

君と出会って、何度目かの夏が来る。
良いことも、悪いことも。
交わることも、交わらないことも。

僕たちには、それぞれの人生があった。

君は時折、思い出したかのように言う。

どうしようもないよね
そうはぐらかす僕を見て、君は満足気に、そして寂しげに微笑む。

きっと君には全部分かっている。

どうしようもなくても

僕は、君を探しに行く。

見つけたところで

どうしようもなくとも。

青ブラ

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【創作】腐れ縁だから|#青ブラ文学部(約4700字)

【創作】腐れ縁だから|#青ブラ文学部(約4700字)

「なんで、あなたがここにいるの?!」

社食でAランチを頼み、座って食べるための席を探していた。混んでいたので「相席してもいいですか?失礼します」と相手の顔を見たら… 知った顔の男性だった。幼馴染というか元同級生というかなんと呼んだらよいのかわからないが、そういう関係だ。

「それはこっちのセリフだよ。お前、いつからこの会社にいたんだ?全然知らなかったよ。俺はもう食べ終わったから、ここ使っていいぞ

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