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青ブラ文学部・オススメ記事

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オススメの記事の紹介したり、個人企画への応募作品を収録します。 たくさんの方に読んで頂きたいと思った記事のまとめ。
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2024年4月の記事一覧

時計屋-【小さなオルゴール】#青ブラ文学部

時計屋-【小さなオルゴール】#青ブラ文学部

港町。漁港と貿易港を持つ町だった。
その漁港付近には古い時計屋が何軒かある。
町全体の半分近くがあるといっていい。
いずれの店主も老齢だが修理の腕は確かだ。
「絡繰時計なら水川の店に持っていくといい」
老眼鏡をずらした店主が言う。
「ミズカワ?」
「店を出て左に歩く。時計屋がいくつかあるが3軒目の店だ」
ライバルとかではなく、それぞれが得意とする分野があるらしく、修理してほしい時計・内容で、あっち

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【#青ブラ文学部】かつて俳優だった男の話

【#青ブラ文学部】かつて俳優だった男の話

 どうもどうも。
 相席、大丈夫ですか?
 どうもありがとう……あ、私はバーボンをロックで……えぇ、ツマミは適当にみつくろってください。
 どうも……いや、なぜこんなにガランとしていくらでも席が空いている状態なのに、あなたと相席をしたかと言いますとね……こちらを見せたかったんです。
 どうです? 綺麗でしょう。
 一見、手の平サイズの小さい宝箱の置き物と思いますよね……ですが、フタを開けると……ほ

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やせタガールとの日常

やせタガールとの日常

こちらは『 山根あきら 』さんの企画への投稿作品です。

企画立案ありがとうございます。

ルールは以下です。

シメキリ間に合わずでした!
それでも書いたので、タグつき参加お許しください(´・ω・`)

 やせタガール。

開封済じゃ新品として売れないな。ちょっとホコリかぶってたし。説明書に従って足裏のQRコードを読み込む。
 掴んでみると、デフォルメぬいぐるみとは思えないぷにぷに触感に指をくす

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ただ、扉が開くのを待っている(小さなオルゴール)1185文字#青ブラ文学部

ただ、扉が開くのを待っている(小さなオルゴール)1185文字#青ブラ文学部

僕は、いつも待っている。
静かに……
そっと……
ずっと………。

◈◈◈
彼女の邪魔にはなりたくない。

それに、彼女の事を一人で思う時間も嫌いではない自分が居る。
けれど、いつも待ってばかり居る僕の姿は、友人である政時(まさとき)の目に少し余るようだ。

「いつまでこんな半端な関係でいるつもりだ?」

「中途半端って?……彼女との関係の事?」

「他に何があるってんだよ!」

「…………ないね

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【エッセイ】小さなオルゴール〜青ブラ文学部〜

【エッセイ】小さなオルゴール〜青ブラ文学部〜

1/24スケールのドールハウスキットにパーツとして入っているオルゴール。時には曲目も選ばせてくれたりで、どちらを買うか迷った時、その曲目が決め手になったりする。

しかしドールハウスには組み込まない。収まるべき場所は空間のまま、きちんと加工して仕上げ、オルゴールはデスク上へ。

英語では Music box 、でも私は日本語のオルゴールの方が好きだ。独自性が感じられるし、響きがいい。オルガンのイメ

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エッセイ | 写真加工が面白い | 小さなオルゴール・やせたガールの日常[#青ブラ文学部]

エッセイ | 写真加工が面白い | 小さなオルゴール・やせたガールの日常[#青ブラ文学部]

 noteに記事を書くようになってから興味を持ったものに写真加工がある。

 初期の頃はヘッダーになにも貼らずに投稿していた。しかし、「ヘッダーを付けたほうが記事が見つけやすくなります」みたいなことをnoteから指摘されて写真を貼るようになった。

 最初のうちは空の写真を撮っていた。というのは、建物や人がうつりこむと場所が特定されたり、プライバシーの侵害になることを恐れたからだ。また、空の写真な

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〔ショートストーリー〕小さなオルゴール

〔ショートストーリー〕小さなオルゴール

きっかけはYouTubeだった。大学で付き合いだした有香とふたり、いつものように廃墟や心霊スポットの潜入レポートを見ていると、見覚えのある建物が映った。
「あれ?これ近いよ!川沿いにある廃病院じゃん」
「あ、ほんとだ!私、夜になると真っ暗で怖いんだよね、あの辺…」
普段は強気な有香が、心底怯えたように言う。
そのYouTuberは「恐怖度5」とランク付けし、「行くなら2階まで、3階はヤバい」とか、

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[ ステキなサプライズ ]:青ブラ文学部(小さなオルゴール)

[ ステキなサプライズ ]:青ブラ文学部(小さなオルゴール)

↑↑コチラの企画に参加してみました〜
お題がステキですね😊♪

[ ステキなサプライズ ]

 実家からそんなに離れていない場所に、念願の一軒家を建てた。
 持ち家か賃貸か、そんな論争をしている動画をたまに見るが、地方では損得なしに一軒家を建てるのが、ごくごく一般的だ。
 この場所は、元々、雑木林だったところ。
 子どもの頃は、よく忍び込んで、虫をとったり秘密基地を作ったりして遊んでいた。
 そ

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「エッセイ」小さなオルゴール#青ブラ文学部

「エッセイ」小さなオルゴール#青ブラ文学部

あの小さなオルゴールは何処へ行ってしまったのだろう。
回復期病院から療養型病院へ転院しても、ずっと夫に聴かせ続けた「小さなオルゴール」
いつもベッドサイドの小さなクローゼットに乗せていた「小さなオルゴール」
あんなに毎日ネジをギュッギュッギュッって巻いて、植物人間になった夫と一緒に聴いていたのに、何と言う曲だったのかさえも思い出せない。

他の記憶は鮮明なのに、確かに持って帰って来たはずなのに……

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捨てられないんだ『青ブラ文学部』

捨てられないんだ『青ブラ文学部』

普通オルゴールは小物入れなどの中に仕込まれてることが多いと思う
だけどウチにある小さなオルゴールはむき出しのままだ

それは彼女がこの部屋を去った時の忘れ物であり、二人の思い出の品でもある
そのオルゴールは櫛が1本欠けてしまい、鳴らしても間の抜けた音楽にしかならない
なのにずっと棚の一角を占めたまま存在を消したようにそこにある

捨てればいいのにと知人は言う 自分でもそれが正解だと思う
でも出来な

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小さなオルゴール 青ブラ文学部

小さなオルゴール 青ブラ文学部

おばあさんが小さなオルゴールを開けたのは久しぶりでした。
オルゴールは鳴りません。もうずっと前からです。
修理に出すのは嫌でした。
このオルゴールを作ってくれたのは、亡くなったおじいさんでしたから。
修理に出すと、おじいさんのオルゴールではなくなってしまう気がするのです。

オルゴールは宝石箱でもありました。
確かにおばあさんの宝物が入れてありました。それは宝石なんかではありません。

おじいさん

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壊れかけのネジ #小さなオルゴール

壊れかけのネジ #小さなオルゴール

何も聞こえない
小さなオルゴールだけど
僕の心が昔より
大人になったからなのか

ベッドに置かれていた
サンタクロースからの贈り物
いくつもの夢
いくつもの想いを奏でてくれた

思春期に少年から大人に変わった
道を探している 今も分からないままに
雑踏の声 クラクションの音色
押し寄せる現実に
本当の幸せとは何だろうか

必死だった暮らしの後 静まり返る街を背に
星を眺めていた 昔を思い出しながら

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#やせたガールの日常

#やせたガールの日常

私はデブが嫌い

通勤電車の中で隣にデブが来ると速攻で長女にラインする。

「隣にデブ座った😤」

何故か隣にデブが来ると熱い😠
私の1人分のシートにまで入ってきて私の陣地を脅かす❗️
そして何故か臭い❗️
デブほど「我先に」と座りたがる❗️

私はデブが嫌いだから私自身はいつも痩せガール🤣

いや…痩せてるかどうかはわからんがデブとは言われない。

自分がどうして痩せたガールに憧れデブが嫌

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ショートショート_起床

ショートショート_起床

春の夢は、暁を覚えず、いつ頃見るのだろうか。最近、仕事をしている夢をよく見る。明け方に。決まって徹夜している。

昔、袖机の一番下の段には、寝袋が入っていた。深夜業になり、終電に近くなっても仕事にキリがつかなかったら躊躇無く徹夜した。そんなときは、仮眠を少しだけする。床に寝袋を拡げて。そのときは、夢は見ない。

今は時代が変わり。夢は寝床で見ることが多くなった。ちょっとは幸せな会社生活になった、と

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