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【作品解説】影山多栄子 個展 「長月に集う人形たち」

影山多栄子 個展 「長月に集う人形たち」が開幕いたしました。
展示に先駆け、8月29日にはXのスペース配信を開催。
影山さんにご出演いただき、ご自身のこと、作品のことをたっぷり語っていただきました。
本noteには、作品について影山さんにお話いただいた内容をまとめました。
ご来廊前の予習や個展会場でのガイドとしてもご活用いただけましたら幸いです!


葉月当番/長月当番

影山多栄子『葉月当番』

今回の個展名は「長月に集う人形たち」。
作品制作中に「人形たちは月一で集いを開催している」というストーリーが自分の中で生まれました。
集うためには、やはりまとめ役が必要だろう。
ということで、今回の集いの幹事役として『葉月当番』『長月当番』を制作しました。
8月は『葉月当番』、9月は『長月当番』が幹事を担当。月を跨いだ展示なので、途中で幹事役が入れ替わります。
それぞれの月から感じるイメージをもとに、色合いや顔つきを変えています。『葉月当番』は、子どものような、少しあどけない感じ。『長月当番』は、『葉月当番』より大人で、落ち着いた雰囲気です。

影山多栄子『長月当番』

ゆかいなクロミツ(あ)/ゆかいなシロミツ/おさないナガクロマル/おさないナガシロマル

影山多栄子『ゆかいなクロミツ(あ)』。“クロミツ”の“ミツ”は“三つ編み”の“ミツ”だそう。
影山多栄子『ゆかいなシロミツ』

真っ黒い顔のお人形さんを作ってみたいと思い、先に黒い子たちを制作していました。暗いところから、ぱーっと明るく成長していくと、白い子たちになる、という設定で、今回真っ白い顔ver.も制作しました。
黒い子は、愉快で、面白くて、おちゃめな性格という設定。白い子は、作ってみたら優しくて、しっかりした大人っぽい感じになりました。
顔は石粉粘土で制作。目や頬などは、後から描きます。緊張しながら、ひと思いに、一気に描いていきます。

影山多栄子『おさないナガクロマル』
影山多栄子『おさないナガシロマル』

つぶがみさん(赤ぼうし)/つぶがみさん(青ぼうし)

影山多栄子『つぶがみさん(赤ぼうし)』

つぶがみさんシリーズは、ピカレスクの企画展『食べるの神様展』に参加したことがきっかけで生まれました。
ご飯を食べるときにそばにいてくれる神様として制作したのですが、とっても気に入ったので、その後も制作を続けています。
今回は帽子を被った子ですが、お団子や、日本髪の子も制作しています。

影山多栄子『つぶがみさん(青ぼうし)』

『食べるの神様展』
2021年5月に開催した、ピカレスク企画の立体グループ展。
孤食の友、守り神としての“食べるの神様”を、アーティストの皆様にご制作いただきました。当時の影山さんの出展作品はこちら

うさつぶがみ舟(黒)/うさつぶがみ舟(白)

影山多栄子『うさつぶがみ舟(黒)』

 “うさつぶがみ”は、“つぶがみさん”の派生作品。お舟に乗せてみました。

影山多栄子『うさつぶがみ(白)』

こゆきまじり/まだらうさぎ

影山多栄子『こゆきまじり』

“つぶがみさん”と同じで、肩まで粘土になっている作品です。こういった作品は“つぶがみさん”よりも前から作っていました。「ちいさいものを」と思って、“つぶがみさま”が生まれた、という流れです。
胴体内部に、ペレットやステンレスのボールを入れているので、肩まで粘土になっていても倒れません!

影山多栄子『まだらうさぎ』

やかん

影山多栄子『やかん』

向かって右側、襟についている金色のビーズのようなものに注目。これはとっても小さな“やかん”なんです。
街のジオラマを作る時のパーツで、お人形関係のフリーマーケットへ行った際に見つけました。
その小さな“やかん”との出会いが嬉しくて、このお人形を作りました。
あたまのてっぺんの半円は、やかんの取手部分。2本の角のようなものは、注ぎ口です。お洋服もやかんらしく、まあるいフォルムにして、しずく模様を描きました。

フォーク

影山多栄子『フォーク』

この子の洋服にくっついているのは、小さなフォーク。下北沢にあったバブーシュカというお店で見つけ、購入しました。家で何年も温めていたのですが、今回満を時して作品に使用。このフォークが人形になったら…?と想像しながら制作しました。
今回の出展作品の中で、この子が1番遠くを見ているかもしれません。
視線が自分の中に向いている子、遠くへ向いている子…。それぞれの視線にも注目してみてください。

透明あたまの塔

影山多栄子『透明あたまの塔』

てっぺんのガラス部分の正体は、これまた家で温めていたシャンデリアのパーツ。逆さまにして使用しています!

金の目の塔

影山多栄子『金の目の塔』

中にゴムが入っていて、帽子、頭、胴体を動かすことができます。
ガラスの半球の裏に目玉を書いて作った目は、夜の猫のように爛々と輝いています。

淡犬2023(灰)

影山多栄子『淡犬2023(灰)』

かわいいけれど、お顔は少ししゅっとした、淡いわんこです。
だいぶ前からあるシリーズで、折に触れて制作しています。


いかがでしたか?
作品一つひとつのストーリーを知ると、お人形さんたちがより愛おしく感じられませんか?

どの作品も大好きですが、スタッフがぐっときたのは、『やかん』!
頭の装飾、ふっくらとしたフォルム、色合い、表情、たたずまい、全体のバランス…。魅力的なところばかりです。

さらに、「小さなやかんを見つけたことが嬉しくて、作品にしてみました!」という、誕生のきっかけにも驚きました。このように、何かとの出会いから作品が生まれることはよくあるそうで、「身の回りにあるあらゆるものが、愛おしく見えそうですね!」と言ったら、影山さんは「そうですね!世界が薔薇色に見えます!」とおっしゃっていました。
実際、私も『やかん』に出会ったことで、“やかん”そのものまで可愛らしく思えました。不思議です。

影山さんが小さなやかんにキュンとしたように、私たちにも、それぞれにキュンポイントを持っているはず。
身の回りにある“キュン”、そして、影山さんの個展会場にある“キュン”を、探してみてください♪

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【基本営業日時】
*営業 水 - 日・祝 11:00 - 18:00
*定休 毎週月火
*会場 Picaresque Gallery
*住所 東京都渋谷区代々木4-54-7
*電話 070-5273-9561

※2023年9月は、下記日程で18時以降も営業いたします♪
[時間]
18:00~22:00
※4日のみ 19:00~22:00

[日程]
4日(月),5日(火),13日(水),
17日(日),18日(月),19日(火)
20日(水),24日(日),27日(水)

■各展示の詳細
HP「お知らせ」よりご覧ください!
https://picaresquejpn.com/category/information/

■開催予定の展示は
HP「【随時更新】展示スケジュール」よりご覧ください!https://picaresquejpn.com/exhibition-calendar/

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影山多栄子 個展「長月に集う人形たち」

〈会期〉
2023年8月30日(水) – 9月10日(日)

〈詳細〉
https://picaresquejpn.com/taekokageyama_exhibition_2023/

〈影山多栄子 公式SNS〉
Instagram https://www.instagram.com/kageyamataeko/

X (旧 Twitter) https://twitter.com/kageyamataeko

POTOFU https://potofu.me/kagetaeko


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