患者にとって”真に必要なこと”。3つのステップで見つけ出そう。
こんにちは。てっちゃんこと白石です。
問診シリーズもあっという間に4回目となりました。
これまでに、ステップ1-3では、「入室してからご挨拶し、症状の全体像を掴む」という段階まで解説してきましたが、今回はいよいよステップ4!
ここからは各論に入っていくので、「いわゆる問診っぽい話」をしていきたいと思います。
「じゃあ今までの話は問診じゃなかったのかよ」
という皆さんの心の声がここまで届いてきそうですが、むしろ前回までの記事の方が”問診の本質”を突くような話でもあります。
これまでの3回の記事を読んでいない方はまずそちらをご覧ください!
さて、今回からはより臨床に直結する問診スキルのお話となっていくわけですが、「具体的な問診スキル」と聞くと多くの方は以下のような内容をイメージするのではないでしょうか?
これらの中で圧倒的に優先順位が高いのは「お悩み」です。
ここがキチンと把握していないと的外れな治療になりかねません。
例えば、
患者さん本人は「座って食事ができるようになりたい」と悩んでいる患者さんにも対し、”膝の治療を行う”というアプローチは言うまでもなく的外れなのは分かりますよね。
ではもう一つの例を挙げるとどうでしょう。
この状況を聞いた皆さんはどう考えますか?
「なるほど、では杖なしで歩けるように歩行訓練を進めていきましょう」
となるでしょうか。
テツコさんのの訴えとしては間違いありませんが、歩く訓練よりも
”まずは階段昇降が出来るようになること”を達成しないと始まらないですよね。
2つの例から言えることは「訴えていること=必要なこと」とは限らないということです。
そこで今回は、患者さんにとって”真に必要なこと”を見つけ出すために必要なことを3ステップで考えてみたいとお思います。
1.主訴を掘り下げる
先ほどの例でもう一度主訴を紹介すると、
「杖なしで近くのスーパーまで歩けるようになりたい」
ということでしたね。
これに対し、『なぜ?』を繰り返し訴えとなる理由を掘り下げていきます。
そうすることで患者さんの”心の声”を聞きだすことにもつながってきます。
今回の例で言えば
「杖なしで近くのスーパーまで歩けるようになりたい」
という訴えに対し、
「”なぜ”杖なしで近くのスーパーまで行きたいのですか?」
といった問いかけをします。
すると、
「だって夫がスーパーに行くと余計なものを買ってきちゃうんだもの」
といった回答が返ってきました。
これをさらに深ぼっていくと、
「買い物は主婦である私の役目だからね」
という意見も出てきました。
最初の訴えとは大きく変わっていることが分かりますね。
買い物を夫に行かせたくない、これがテツコさんにとっての”心の声”であることが見えてきました。
そう考えた時に、
”買い物”という行為はテツコさんにとって主婦としての家庭での役割の一つであるという認識を持っている可能性が予想できます。
夫に買い物をお願いすること、それはすなわち”主婦”としての家庭での役割を失ってしまうような感覚に陥ってしまうのかもしれないですね。
ただし、
この掘り下げはあくまで一側面にしか過ぎないので、主訴を全て網羅できているわけではありません。
2.必要なことの候補を洗い出す
次のステップはこちら。
⑴で掘り下げた部分はかなり本質的ではあったものの、一側面にしか過ぎませんでした。
このステップでは、必要な情報全てを洗い出していくことになります。
分かりやすくするために先ほどの例で考察していきます。
「杖なしで近くのスーパーまで歩けるようになりたい」
という主訴に対し、先ほどのステップでかなり掘り下げることが出来たものの、まだまだ漏れなく聞き出すことは出来ていません。
ステップ2ではそれらをできる限りリストアップし、一つずつクリアにしてきましょう。
どんなものが挙げられるかというと、
まだまだありますが、上記のように聞き漏れている部分をリスト化し、それぞれを掘り下げていくことを繰り返します。
そうすると、
こういった回答が次々に出てきました。
「あれ、最初に訴えていた話とはかなり様相が変わってきたぞ…」と感じたのではないでしょうか。
”杖で近所のスーパーまで歩くことができるようになること”を目標にすることが果たして正解なのでしょうか。
3.真に必要なことを見つける
最終ステップでは、鍼灸師が考える”真に必要なこと”をリスト化したものを患者さんに確認しながら擦り合わせていくことになります。
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