8/17 東京

東京に引っ越して、色々なコツが掴めないまま3年も経ってしまいました。

僕の地元は石川さゆりが夜行列車に乗ってわざわざ向かうことでお馴染みの、雪は降るわ寒いわ何もないわの三重苦に包まれた、死に場所の代名詞みたいな所にあります。(歌詞にも「北のはずれ」と出てくる。はずれて)

僕の実家も、裏庭に植えたチューリップを野生のカモシカに踏んづけられてしまうような期待を裏切らない好立地にあって、母親のことをおっかさんと呼びながら毎日鼻水垂らしてイノシシと鬼ごっこをしていました。吉幾三の「テレビもねェ、ラジオもねェ」でさえもあながち冗談ではなく、つい5年前にセブンイレブンが初上陸したときは、平日にも関わらず開店前から長蛇の列が出来ていました。


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2か月ほど前に、己の無知を開き直った日記(6/23無知)を書きました。その中で、皆よく刃牙の家とか比喩に出すけどそんなの知らねーから!と負け惜しみを書き連ねてるうちに、結局なんで刃牙の家があんなに落書きされてるか気になって仕方がなくなってしまいました。(性格が悪いから?)

マンガに興味が出てきたものの、根性なしなのでろくに働かず、お金もほとんど持っていない僕は、名前だけ聞いたことあるような作品を中古で少しずつ購入し、読んでて続きが気になったらまた買いに行く、というような具合でマンガを始めることにしました。

いざ読み始めてみると案外続きは気になるもので、外に出てブックオフを見つけては入り、1冊100円(もはや0円)の漫画を買い、続きを読み漁る、というループを2か月ほど繰り返しました。あっという間に自宅は大量の漫画で溢れかえり、本棚もないので文字通り足の踏み場が無くなりました。ひょっとしたらマンガって面白いのかもしれない。


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東京と青森における最大の違いは、ブックオフの数にあると睨んでいます。

青森では両親に頼み込んで車を出してもらい、山を越えてやっとの思いでたどり着けるのがブックオフです。ただ、その店舗は聞いてた話と違ってマンガを一切置いていませんでした。若き日の布施少年が勇気を出してその旨を店員に聞くと、「ここはマンガを置かないブックオフです」と強い口調が返ってきたのを覚えています。人数決めのジャンケンとか大富豪じゃないんだから、ブックオフにそんなローカルルールを設けるな。

東京に来てからはそんな挫折も無く、地図を開けばひと駅間隔にあるのがブックオフです。

ここ最近は、ブックオフから隣のブックオフまでのんびり散歩をするのが楽しみになっています。東京で目をキラキラさせながら、両手に大量のマンガをぶら下げて歩くてんびんのような男を見つけたらそれはもうかなり高い確率で僕だと思います。絶対に話しかけないでください。


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画像1

東京には注意書きが多いです。地元の公園でこういった注意書きは見た事ありません。

小学生の頃に高低差の異常に大きいシーソーのような危険遊具で遊んでいたら、2メートルの高さから急落下して金玉を痛打したことがあります。金玉を腫らして号泣する子供の看板を置いておけば防げた事故です。

画像2

これがドルチェ&ガッバーナですか?


画像3

青森県にはトイレがありません。基本的には犬と同じで、片付ければどこでしてもOKです。


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ブックオフは店舗ごとにラインナップが違って、入る度にソシャゲのガチャを回すようなワクワク感があります。

足で稼いで訪れたブックオフは、ゆうに2桁を超えました。傾向として、郊外に行けば行くほど古いマンガやレアなマンガが売っています。店ごとにそれぞれの個性があることにも気づき(例えば飯田橋店はBLEACHを異常に贔屓している、など)、最近では新しい店舗との出会いが、僕の人生で唯一の「光」になっています。そろそろ就活を始める時期なのですが、履歴書にこれを書く欄はありますか?


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画像4

自分の画像フォルダの一番下に、高校時代の通学路の写真がありました。(2015.08.01)

確か、夏期講習の帰り道で、あまりにも気持ちがいいもんで自転車からわざわざ降りて撮った一枚だったと記憶します。

「本当に何も無いんだぞ」と名刺代わりに出すような1枚で、無加工にも関わらずジブリ映画みたいに空が青いです。


東京で生まれ育った人とかは、こんなクソでかい木とかダイナミックな雑草とか、一生見ることないのかな。


だとしたら、ちょっとだけ可哀想だと思う。



おしまい

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