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【Phidias Trio vol.8 “Journey, Wander…”】作品紹介: ペア・ノアゴーLibro per Nobuko - Sonata « The Secret Melody » for Viola

2023年7月1日にPhidias Trio の定期公演が行われます。
今回Phidias Trioは、ロシアの作曲家ガリーナ・ウストヴォリスカヤ、デンマークの作曲家ペア・ノアゴー、そして黒田崇宏さんの委嘱新作のプログラムを演奏します。

公演に向けて演奏作品について紹介をさせていただきます。
今回は、ペア・ノアゴー Per Nørgård のヴィオラソロ作品、Sonata « The Secret Melody » についてです。

Libro per Nobuko - Sonata « The Secret Melody » for Viola (1992)

  1. The SECRET (PROLOGUE)

  2. ROAMING

  3. SINGING

  4. PLAYING

  5. THE MELODY (EPILOGUE)

作曲家自身による作品解説を一部引用します。

この作品は、LA MELODIA SEGRETA (THE SECRET MELODY) と呼ばれる、5楽章からなるソナタです。
タイトルはベトナムの天体物理学者、チン・スアン・トゥアンの著書から借用したものです。神秘的で不可解な宇宙の秩序について、彼はこのように書いています。「自然は私たちに、永遠に秘密のままである旋律によって形づくられた音楽の音符を送ってきています。」

ソナタの5つの楽章は、隠された旋律を囲んでいます。明確な旋律の形がかなりの頻度で現れますが、それはすぐに別の優れた旋律の一部であることが明らかになります。この迷宮のような方法で、短いプロローグとエピローグで囲まれた3つの中間楽章は、メロディー (旋律群) の永遠のかくれんぼの中で、さまざまなムード (さまよう、歌う、遊ぶ) を展開します。

私たちが音楽の美しさに心を動かされるとき、また、自然の造形美に心を奪われるとき、そこには秩序や規則性に基づいた根拠があるのかもしれません。
この作品は、3つの主となる楽曲を序章と終章で取り囲むという構成になっています。
「PROLOGUE」では、猛烈な勢いで音が上行/下行し、その運動を繰り返しながら沈静化してきます。「ROAMING」では、旋律は見え隠れしながら、拠り所のない様子で彷徨います。「SINGING」では、音同士は密接に重なり合って、澄んだ響きやうなりを生じさせ、「PLAYING」では、透明感のある倍音奏法の中で素朴な旋律が浮かび上がります。「EPILOGUE」では、隠されていた旋律が印象的に歌われますが、謎めいた余韻を残し消えていきます。この作品は、ヴァイオリン 版・ヴィオラ版の両方出版されていますが、今回は、より柔らかく深い響きのするヴィオラ版を演奏します。(Phidias Trio)

公演詳細

https://phidias-vol8.peatix.com/

Phidias Trio vol.8 “Journey, Wander…”

2023年7月1日(土)
15:00開演(14:30開場)
KMアートホール (渋谷区幡ヶ谷1-23-20 京王新線幡ヶ谷駅より徒歩6分)
一般3,000円 / 学生2,000円

プログラム
ペア・ノアゴー:
Grooving for Piano (1967-68)
Within the Fairy Ring - and Outside for Clarinet (1999)
Libro per Nobuko - Sonata « The Secret Melody » for Viola (1992)

ガリーナ・ウストヴォリスカヤ:
Trio for Clarinet, Violin and Piano (1949)

黒田崇宏:
journey, wander; haziness, fogginess for violin, bass clarinet and piano (2023 委嘱新作)


独自の音楽語法や哲学を追い求め、作曲家たちは終わりのない旅に出る。
北欧の先達や中央ヨーロッパの前衛の潮流を受け継ぎつつも、それを新たな技法や神秘的な世界観に昇華させたノアゴー。師ショスタコーヴィチの影響を打ち破り、強靭な個性をむき出しにするウストヴォリスカヤ。極端なまでの静謐な音響から、独特な時間感覚を編み出していく黒田崇宏。
書かれた時代も背景も異なる3人の音楽が、フィディアス・トリオの視点を通して交差する。

出演
Phidias Trio (フィディアス・トリオ)
ヴァイオリン・ヴィオラ 松岡麻衣子
クラリネット 岩瀬龍太
ピアノ 川村恵里佳

2017年に結成。これまでの主催公演では、現代の優れたクラリネット三重奏の作品を取り上げるとともに、 オーストリア、アルゼンチン、ブラジル、チリ、トルコ、韓国、日本の若手作曲家の新作を初演し、 好評を博す。また、ハニャン現代音楽祭(韓国・ソウル)や、日本作曲家協議会主催「日本の作曲 家2021」等、数々のプロジェクトに招聘されている。2021年12月に出演した日本現代音楽協会 主催「ペガサス・コンサート vol.3」の公演の模様は、NHK-FM「現代の音楽」にて、2週に渡って放送された。
https://phidias-trio.com


お問合せ
phidias.trio@gmail.com

主催:Phidias Trio



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