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業務の見える化→日々の業務予定を組み替え、薬剤管理指導件数の数値目標を達成!

小林記念病院(愛知県碧南市)は、愛知県中部に位置する一般139床、療養57床の全196床の中規模病院です。「人々の人生をより豊かにします」という経営理念のもと、地域医療を支えていらっしゃいます。
同病院の薬剤科は、患者さん一人一人と向き合い、安全な薬物療法を提供するというミッションのもと、医療の安全を支えるべく日々業務に取り組まれています。
 
同薬剤科は、薬剤師の働きやすさややりがいを大切にする一方で、薬剤管理指導件数の目標達成ができないなどの問題を抱えていました。そんな中、pharmakeの業務改善支援サービス「KIROKU」を導入し、業務手順の見直しに着手した結果、人員や一人当たりの業務時間を増やすことなく目標達成を実現したと言います。
 
そこで今回は、同病院の診療技術部長かつ健康管理センター副センター長の加藤豊範先生と、薬剤科長の渡邉雄貴先生に、「KIROKU」導入の経緯や活用方法などについてお話を伺いました。


はじめに「KIROKU」導入の経緯を教えてください。

加藤先生:当院は昨年まで慢性的に薬剤師不足の状況でした。具体的には、調剤業務や医薬品管理業務に加え、薬剤管理指導業務や4病棟・全196床の病棟薬剤業務など、通常6〜7名で回すような仕事を4名でこなしていたんです。今年から渡邉主任(当時)と若手の薬剤師の2名が入職し6名体制となり、調剤業務などを行うのに余裕が出てきたのを機に、薬剤指導管理件数や病棟薬剤業務を増やしていきたいと考えました。同時に、業務をより効率的にこなすためにも、生産性を高める必要があると感じていました。

そんな折、業務の現状把握ができるpharmakeさんのサービスを知りました。最初は半信半疑で問い合わせをし、説明を聞いたところ、業務の見える化をすることで生産性の向上につながりそうだと感じ、導入を決めました。

診療技術部長かつ健康管理センター副センター長の加藤豊範先生

実際にpharmakeのサービス「KIROKU」を利用されてみて、いかがですか?

渡邉先生: 驚いた、というのが率直な感想です。現状分析から具体的な改善提案まで、まさかここまでの結果が得られるとは思ってもみなかったからです。
 
私は4月に入職し、8月に薬剤科長に就任しましたが、就任時に病院から私に与えられたミッションの一つは「薬剤管理指導件数の目標達成」です。実は入職後からずっと気になっていたのですが、月あたりの薬剤管理指導件数の目標を一度も達成できていない若手の薬剤師がいたんですね。薬剤科長就任後、本人と話をしたのですが、「指導には行きたいけれど、日常業務が忙しすぎて手が回らない」と吐露していました。実際、仕事はちゃんとやっており、この件について具体的な解決策を見つけられずにいました。
 
その後、8月からpharmakeさんのサービスが導入され、早速薬剤科の業務の見える化を行いました。分析の結果、目標未達の薬剤師は、他の薬剤師に比べて「定期処方調剤業務時間が長い」ことが判明したんです。

この結果は予想通りだったのですか?

渡邉先生:意外でした。正直なところ、個人の能力に問題なく、普段の様子からも特に遅いとは感じていなかったため、そのような結果が出るとは考えていなかったんです。
 
思いがけないことではありましたが、分析結果として出ているので、それを踏まえてそれぞれの科員で業務の進め方にどのような違いがあるのか、データを元に振り返りを行いました。すると、調剤に時間がかかっている薬剤師は、薬剤科全体での業務の予定の組み方に問題があり、非効率が生じていることがわかりました。

具体的にはどのような点が非効率だったのでしょうか?

渡邉先生:当該の薬剤師は、木曜日の午後に担当病棟の定期調剤を行う業務順序となっていました。医師の処方時間の影響などで、金曜日に持ち越すことはあるんですが、木曜日と金曜日で定期調剤にかかる時間が違っていたんです。これはおかしいと理由を調べたところ、金曜日は他の薬剤師も処方箋データ処理を行う予定となっているため、データの遅延が生じ、結果的に調剤の遅延を引き起こしていた、ということが判明しました。

問題点が浮き彫りになったわけですね。その後、対応はされたのですか?

渡邉先生:10月からその薬剤師の日々の業務予定を見直し、他の処方箋処理との重複をなくしました。その結果、業務時間が短縮し、その分を薬剤管理指導業務に時間を充てることができました。最終的には入職して初めて目標を達成することができたんです!

薬剤科長の渡邉雄貴先生

それはうれしいですね! 実際にはどれくらいの効果がみられたのでしょうか?

渡邉先生:はい、薬剤管理指導にかけられる業務時間はシステム導入前に比べて20%増加しています。業務全体の時間を増やすことなく、日々の業務予定の組み替えだけで対応できました。

今思うと、pharmakeさんのサービスを導入する前は、いつ、誰が、どこで、何をしているかが肌感覚でしか把握できていませんでした。その結果、忙しい業務や時間帯に人手が足りないといったことが生じていました。こうした状況を改善するために、新たな人手を採用したいところですが、当院のような地方の中小病院は採用も難しい現状があります。そのため、限られた予算内でできることを検討していたのですが、業務を見える化し、日々の予定を見直すだけで、こんなにも効率化できるのかと驚きました。

使用する上での負担感などはいかがですか?

渡邉先生:業務時間のデータ入力については、科員がそれぞれ入力しなければならないため、入力の負担はあります。そのため、入力する意義を伝えるなど、続けられるよう工夫をしています。
分析については、月に一度、pharmakeさんから送られてくる分析レポートを元に、効果検証や改善施策の検討などの打ち合わせを行っています。
私たちの場合、8月の分析結果を9月に頂いたので、9月末には当該の薬剤師と分析結果を共有しながら話をし、10月から業務手順を変更しました。指導に上がっている様子はレポートをもらう前から実感していましたし、11月にレポートを頂き、定量データからもしっかり薬剤管理指導業務時間が増えていることを確認できました。

その後、何か変化はございましたでしょうか?

渡邉先生:薬剤師が産休に入るなど、組織の人数が常勤換算で4名体制に戻ったのですが、薬剤管理指導件数は変わらず達成できています。
 
pharmakeさんの毎月の分析レポートで、どの業務に何時間工数がかかっているのか、薬剤師がどのようなペースや負荷で働いているのか表示されるので、そのデータを元に気になる部分があれば薬剤師とコミュニケーションを取るようにしています。また薬剤師同士がそれぞれの役割を果たし、補い合って病棟の目標を達成しているということも見えているので、病棟業務ではなく調剤業務を担ってくれているような薬剤師に対しても、行動評価をすることでモチベーションを下げないようマネジメントしています。

pharmakeのサービスを今後どのように活用していきたいですか?

渡邉先生:更に活用の幅を広げ、各業務の工数可視化やシステム化できる業務はないかという視点で見て、さらに病棟業務の拡充に向けて改善していく予定です。薬剤師がより働きやすい環境を作り、その結果より良い医療の提供を実現していきたい、そう考えています。

最後に一言おねがいします

渡邉先生:一人一人の業務量は日々変動することが予想されるので、薬剤師との1on1ミーティングなどでもpharmakeさんのサービスを活用し、問題や課題を組織全体で解決を図れるようにしていきたいと思っています。

加藤先生:pharmakeさんからいただく客観的なデータを見ながら、俯瞰的に問題や課題を捉え、科全体の生産性、組織力の向上につなげていきたいですね。

本日はありがとうございました。

小林記念病院 薬剤科のみなさん

■株式会社pharmakeについて

株式会社pharmakeは「病院薬剤師の新しい世界を創る」ことをビジョンに掲げるスタートアップ企業です。「病院薬剤師の持続可能な働き方を「共創」する社会」の実現を目指しています。自己犠牲的な長時間労働の基に成り立つ医療を変え、より多くの病院薬剤師が職能を発揮することで、医療の質の向上に寄与する。そんな世界の実現に向けて、日々活動を続けております。

 

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