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薬局の行く末。ビジネスモデル破綻への一歩

『薬局は完成されたビジネスモデル』と界隈で表現されることがある。すごく語弊のある言い方をするが、病院やクリニックの前に出すだけで、勝手に集客してくれる上に調剤報酬という所謂“技術料”という粗利がとれる商売ともいえる。

炎上覚悟での発言も含めるが、薬局薬剤師というのは現場が思うほど属人性が高くない(なかった)。言い替えると流動的な雇用形態をとることができるのだ。

・集客をしてくれる人気な病院、クリニックを見つける
(➡院外処方を出してくれるかの交渉を行う)
・薬局を出す
・薬剤師を必要分あてがう

これで利益がとれる仕組みづくりの完成だ。

更には、国の制度が元になっている安定した収益を生み出す仕組み、そしてその市場の大きさも、医療大国日本とならば言わずもがなである。下記に参考程度に現在発行されている処方箋枚数についてのデータを例示する。

外来で処方箋を受け取った患者さんのうち、院外の薬局で調剤を受けた割合を「処方箋受取率」といいます。
医薬分業は、厚生省(当時)が37のモデル国立病院に対して完全分業(院外処方箋受取率70%以上)を指示した1997年以降、急速に進み、2003年に初めて全国の処方箋受付率が50%を超えました。
2020年には処方箋受取率は75%を突破し、処方箋発行枚数は8億枚を超えています。

日本薬剤師会“医薬分業とは-進む完全分業化-”

2020年時点で8億枚発行され、処方箋受け取り率も約75%もの値を推移している。ちなみに、処方箋1枚につき薬局が得られる利益は、診療科目や店舗の規模、取り組みにもよるが大よそ1500円~3500円である。

だがしかし、今やこのビジネスモデルも破綻へと歩みを進められているように感じる。拡大しすぎて飽和状態というのもあるが、さらに一つの大きな理由が『オンライン診療/オンライン服薬指導』の開始だ。

コロナ禍を境に急速に成長を遂げたオンライン上のマーケット。進行速度は業種によって様々であるが薬局とて例外ではない。

令和2年4月10日に出された『新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて(所謂0410対応)』なども、例外的ではあるが電話等を活用した診療や調剤・配達の対応がなされた。

厚生労働省『オンライン診療について』参照

診察内容や検査によっては、現地(病院やクリニック)に赴かなければいかない例も多数存在するが、経過観察が軸となっている診療などは今後オンライン上で完結するのではないかとも容易に想像できる。

以前のように、病院やクリニックの近くに出せば儲かるというのは、とうに限界が生じているようにも思われる。生き残る術は、絶大な人気を誇る(集客力の高い)病院やクリニックか2診以上の科目を応需できる場を陣取るか、オンライン診療、はたまた今回は題材として触れていない在宅医療を中心とした薬局か。

未来を見通す力なんてのは持ち合わせていないが、うまく市場に乗り切ることが出来なければ淘汰されるのもそう遠くない未来なのかもしれない。


あぁ今日も薬剤師を辞めたい。

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