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「デザイナーは深く考えてこそ!」クアドラ・デザインチームのメンバーが語る。仕事のこと、プライベートの過ごし方

これを読めば、ピラミッドフィルム クアドラ(以下:クアドラ)で働くメンバーの素顔がわかる!? クアドラで働くメンバーが代わりがわりに登場して、仕事にプライベートにトークを繰り広げるメンバー紹介企画。

第4回に登場するのは、デザインチームに所属する3名です。ベテランデザイナーとしてクアドラにジョインした入社2年目の鈴木俊史、未経験で飛び込んで入社3年目を迎える工藤千明、新卒入社で今春3年目に突入した今稜輔による座談会。デザイナーとして日々どう過ごしているかについて、話を聞きました。


メンバー紹介

左から、工藤千明、今稜輔、鈴木俊史

鈴木俊史(すずきとしふみ)
アートディレクター
入社2年目だが、グラフィックデザイン歴10年以上、Webデザイン歴4年以上を経てからの入社。デザインチームの管理職として活躍する。

工藤千明(くどうちあき)
デザイナー
デザイン未経験からのクアドラ入社。入社3年目、現在はプロフェッショナルのデザイナーとして業務に参画中。

今稜輔(こんりょうすけ)
アシスタントデザイナー
工業系の大学でデザインを専攻。クリエイティブな仕事がしたい気持ちを胸に秘めて成長した結果、クアドラに魅力を感じ、2022年入社。

いつからデザイナー志望だった!?

━━最初に、入社前のことを教えてください。

鈴木_僕は子どもの頃からずっと絵を描くのが好きで(笑)。大学附属の高校に通っていたのですが、卒業後は専門学校に進学して本格的にデザインの勉強を始めました。自分はアーティストタイプではなかったのと、グラフィックデザインをやりたい気持ちが大きくなり、卒業後はデザイナーとして働き出します。グラフィックデザインとWeb制作と経験を重ねた後、クアドラへ転職しました。

工藤_私は2024年で入社3年目、デザイナー未経験での採用でした。以前は、パーティー企画業務や飲食店のホール業務、カフェの接客業務、不動産の営業、ネイリストなど、いろいろな職種を転々としていました。その中で、営業資料の作成でレイアウトを検討したり、ネイルのデザインを考えたりと、広くデザインへの興味が大きくなったので本腰を入れて取り組みたいな、と。デザイン系のオンラインスクールを受講して、基礎的な内容を学びながら転職活動を行い、クアドラへの入社となりました。

今_新卒入社の3年目になります。高校時代、文房具や椅子、机などプロダクトデザインへの興味が出てきて、工業系大学のデザイン学科に進学。その学科はデザイン全般を学べる環境で、電子工作のプログラミングや地域活性化事業なども履修できました。一時建築士を目指した時期がありました…が、建築士は断念(笑)。試行錯誤の中で巡り合ったのがWebデザインで、働く環境としてクアドラを希望しました。

クアドラで携わった案件について

━━クアドラでは、どのような仕事をしてきましたか?

鈴木_2023年9月29日(金)に、マツモトキヨシの旗艦店「SHIBUYA DOGENZAKA FLAG」で公開した「KATE MULTIVERSE HOLE(ケイトマルチバースホール)」というメイクシミュレーター(体験装置)を担当しました。化粧品メーカー・カネボウ化粧品のメイクアップブランド「KATE(ケイト)」のデジタルクリエイティブ案件です。主に僕は、装置の世界観とともにUIを含めた筐体デザイン全般を手がけました。僕が筐体からデザインに携わるのが初めてで、自ら担当を申し出たのです。

━━案件の概要を教えてください。

鈴木_ユーザーのメイク提案を行う体験型筐体コンテンツです。ユーザーが筐体の穴を覗き込むと、顔データがスキャンされ、AI技術で「顔のパーツ比率」×「肌の色」を分析します。分析結果から、今いる世界線ではまだ試したことがない、3つの別世界線のメイクをした自分が現れます。そして、その中から挑戦したいメイクを1つ選ぶと、レコメンドアイテムとして提案してくれます。

店舗での体験の様子

鈴木_クライアントや関係者には詳細な資料や3Dデータなどを用意しましたが…、それだけでは伝わらないですよね? 本案件が「世界にないもの」だったので、余計に。

━━想像しづらい…。

鈴木_はい。筐体案件はリアルなモックを作り、実際に体験してもらって初めて伝わるものです。この時もそうで、しっかりとモックを用意したことで、クライアントや関係者に最終イメージを伝えることができました。

こうして筐体デザインの現場を痛感できたことや、世の中にないものを作る試行錯誤をしながら成果物の提供まで携われたことが、僕にとって大きな経験値となりました。

━━次に工藤さんと今さんは、それぞれ「TALKING CITY」に携わっています。

工藤_「TALKING CITY」は、2023年10月28日(土)、29日(日)の2日間、千葉県柏市・柏の葉(かしわのは)で開催された「柏の葉イノベーションフェス2023」というイベント用のコンテンツで、柏の葉スマートシティ開発に関わる三井不動産による案件です。柏の葉は、公・民・学の連携で先進的な街づくりを行う地域(柏の葉スマートシティ)で、これからの街についてもっと知って、好きになってもらうための施策です。クアドラがWebサイト、ARコンテンツの制作などを手がけています。

イベント参加者は、該当スポットを見つけスマートフォンでQRコードを読み込むと、ARコンテンツが起動されて、街中の対象物(住民の吹き込んだ声)が柏の葉の魅力やヒミツについてしゃべり出します。柏の葉の住民や柏の葉で働く80名以上の人々には、街のモノになりきって音声を吹き込んでもらいました。それらを合計81カ所、例えばベンチやバス停などをARスポットとして設置しました。

イベント会場での体験の様子

━━2人がそれぞれ関わった役割は?

工藤_私がWebサイトのデザインを担当しました。コンセプトを忠実に再現できているか、社内からとりわけ鋭いフィードバックがありました。本案件では、ポップでかわいらしい動きやパーツの1つひとつに意味を込めたデザインを追求し、地道に整備しました。

「TALKING CITY」Webサイト

今_僕がAR担当で、スマホをかざした際のフォトフレーム部分のデザインを手がけました。入社以来Webサイト案件が続いていたので、初めてのAR案件だと思い、担当を志願しました。柏の葉に住む子どもたちに伝わるデザインをと、親子で一緒に使って操作しやすく、親しみやすくすることを目指しました。

「TALKING CITY」AR画面

今_もう1点難しかったのが、スケジュールの都合でARを先行開発する必要があったことです。従来なら、企画全体の方向性や、3Dキャラクターの雰囲気、テイストが決まった段階で着手するところ、それらが固まる前段階から先にAR側の開発を進める必要性が出てしまったため、方向性を想像しながらの模索がとても難しかったですね。

デザインとどう向き合っている?

━━デザイナーとして「デザイン」をどう考えていますか? デザインはアートとは違います。クライアントのオーダーメイドをかなえる側面がありますよね。今度は工藤さんから。

工藤_クライアントの要望がはっきりしている案件もあれば、ふんわりしているケースもあります。どちらにしても、依頼側とのイメージのすり合わせを大切にします。なるべく複数で、幅広い提案をしたい。クライアントには具体的に思い浮かべられるサンプルイメージを出して、お互いの認識のズレを調整したいです。

今_まずはひたすら考えます。特に依頼主の強みや特長を把握して、競合他社との違いが何かを明らかにします。その違いが、他社とは違うクライアントらしい表現の発掘になると思うからです。

鈴木_最初に聞いてもらった方がしゃべりやすかったのに…(汗)。

一同_ハハハ(笑)。

鈴木_やはり「どれほど深く考えたか?」ですね。「深く」が大前提で、成果物のクオリティを左右すると思っています。当然、コンバージョンへの意識も持つべきです。クライアントの同業他社の実例は、よく調べて臨みます。事前準備のリサーチは欠かせません。

その上で、あくまで僕の考えですが「自分が好きだな」と思える部分を作れるかどうかだとも思っています。決して自分の好みを押し通したいという意味ではありませんが、「自分が好き」と感じられる箇所を少しでもデザインに反映できると、周りにも勧めやすくなるので。

━━デザインと自分との折り合いのつけ方、ですね。 

工藤_私は、現場に近い立場で動くことが多いので、依頼内容を誤解せず汲み取る意識を強く重視します。例えば、クライアントがストレートに求めるもの、かつ世の中に出てきていないもの、もしくは他と被らないものを提案できれば理想かな、とか。いつも自分の好みや感情が先行しない判断をしたい、と思っています。

今_基本姿勢として、クライアントの納得感を十分に引き出すことに専念したいです。例えば、クライアントが自社製品やサービスに注ぐ思いはとても深いです。その思いを僕が信じて、しっかりと受け止めて、全力で要望に応えたいので。真摯に取り組んでいれば、成果物のどこかに、クライアントが望む状態でかつ自分らしさも自然と入り込んでくる気がします。

プライベートの過ごし方

━━休日の過ごし方など、プライベートの話も聞きたいです。

今_僕はとにかく寝る、ですね。週末は金曜夜の12時に寝て、土曜の夕方17時まで寝る。1度、昼食のために軽く起きることがあっても、再び寝ます。それ以外の趣味はございません(笑)。休日は平日に絶対できないことをしたいので、好きなだけ寝る。割と有意義な過ごし方だと思うんですよ。

工藤_うんうん(笑)。

今_寝て起きてを繰り返すと、睡眠が浅くなって、夢を見やすい状態になります。そこで、夢で見た絵柄というか、浮かんできた面白いイメージがあれば、メモ帳に残しています。ちょっとずつストックが溜まる楽しさがあって、いつか何か今後に活かせたら…(希望)。

夢から浮かんだイメージのメモ。
(まだ皆さんにお見せできるクオリティではないのでぼかしを入れています…(笑)。by今)

鈴木_僕は植物を育てることにハマっています。たまたまYouTubeで植物を育てている動画が目に入って、その映像に出ていたベランダ中に並ぶ植物がめっちゃ格好良くて(笑)。調べると、ビカクシダ(コウモリラン)と呼ばれる、葉が鹿の角のように成長する植物だと知り、徐々に興味が湧いて、やがて本格化! 今はビカクシダに加えて、サボテン、アガベ、ユーフォルビア、サンスベリアなど、20株くらい育てています。

工藤_着実に増えていますね(笑)。

鈴木_ビザールプランツ(珍奇植物)の造形に心が惹かれます。1つとして同じ形のものがない。育て方次第で、成長の過程が変わるし、形もいろいろ。毎日の変化を楽しんでいます。

工藤_私はスポーツが好きで、以前は馬術をしていました。最近こそ馬に乗っていませんが、当時乗っていた馬たちには、今もおやつを持参して会いに行っています。もう少しお金がたまったら、いつか競技に出たいです。

工藤_ここ1年はゴルフにハマっています。もう楽しくて(笑)、暇があれば練習です。なかなかラウンドでは練習の成果が出ず、今はつらい時期でもありますが…、やっぱり休日が待ち遠しいです!

デザイナーとAIとの関係は?

━━最後はAIについて。今後ますます、現場にAIが入り込んでくると予想されます。

鈴木_話題になり始めぐらいの時に、画像生成AIのMidjourney(ミッドジャーニー)で、プロンプト(生成したい内容)で試してみると、率直に面白い。AIの文脈でよく“人間の仕事が奪われる”と言われますよね? でも、僕の触った感覚では「デザインツールの1つ」という解釈です。デザインカンプを生成AIで作る現場は増えていますし、実際、生成画像の複数パターンを作るスピード感を比べたら人間は、AIには敵わない(笑)。ツールの1つとして「使いどころ」が問われていると思っています。

工藤_私もAIは協業パートナーやツールの1つという感覚で受け止めています。プロンプトを設定する際の脳の使い方が、日頃のデザイン業務とは違う部分があるかな、とは感じつつ。生成AIで何かイメージを起こす、3Dデータを作るみたいなことをしても、クライアントの意向を反映したり、成果物の精度を高める過程には人間の細やかな手が不可欠だと思いますし。

今_最後の最後なので、もう言い尽くされている気が(笑)。

僕も2人と同様で、ツールの1つにAIがあるという捉え方です。もう少しAIにポジティブな言い方をすると、生成AIでないと作れないことはあると思っています。僕が画像生成AIを試した時、宇宙で宇宙飛行士が馬に乗っている、みたいなイメージが出てきたんです。一瞬「こんなイメージをどこで使うんだ?」と思いましたが、常識的には出てこない組み合わせのイメージをさらっと出してくれると、凝り固まった発想の幅を広げてくれるぞ、とも感じました。

━━最後までありがとうございます!

取材・文:遠藤義浩

(この記事の内容は2024年4月30日時点での情報です)

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