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No.136 1992年~ NIE家族で学ぶ「ファミリーフォーカス」に関心をもち研究に取り組む

 1992年5月18日~31日まで、日本新聞協会の米国NIE視察団に日本の教師として初めて同行させて頂きました。サンフランシスコの「国際NIEの日」「米国NIE大会」に参加し、その後ロサンゼルスの私立小学校とメンフィスの公立高等学校の2校のNIE授業を参観する機会に恵まれました。
 「国際NIEの日」に参加していて、ノルウェー新聞協会のヤン・ステイン氏が昼食会のスピーチでファミリーフォーカスについて述べられていたので、後に特別に時間をとっていただき、ノルウェーの実状についてお話を伺いました。(冒頭の写真)
米国新聞発行者協会で進めている、親子で新聞を読むファミリーフォーカスに影響を受けながらも、ノルウェー独自のプログラムを開発しているようです。学校に親と子を集め、子どもに読みたい新聞を選ばせ、親子で読み進めることを指導して各家庭で進めています。そのことを通して「家族の大切さ」「家族の在り方」も考えさせているようです。ファミリーフォーカスの有効性について心理学者の説明があるということでしたが、日本のNIEも教育学者や心理学者からの反応がそろそろあってもいい時期ではないかと思いました。
私はこのステイン氏の話を聞いて、ファミリーフォーカスこそNIEの最も適した方法ではないかと考えました。学校でNIEを進めるのはその学校や教師の意向によって左右されることになります。日本の新聞宅配率はとても高いので新聞は家庭に配られ折角新聞をとっているのであれば大人が読むだけでなく家族で学びの場をつくればと思いました。新聞を通して家族のコミュニケーションがとれる可能性もあります。
私は聖心でこのファミリーフォーカスを進めましたが、我が家でも取り組みました。
 
記事の現場を訪ねる
新聞記事を読んでその現場を訪ねたいと思うことはよくあります。ここでは、家族で学ぶファミリーフォーカスの1つの在り方として、小学生の娘と一緒に記事の現場を訪ねる記録を紹介します。

等々力渓谷を訪ねる 06.8.4実施
 毎日新聞06.7.12夕刊掲載「歩きたい 赤瀬川原平の散歩の言い訳 第14回等々力渓谷」より
 東京都世田谷区にある等々力渓谷。すぐとなりの大田区に住んでいますが、初めて訪ねました。東急大井町線等々力駅を降りて、少し歩くともうそこは渓谷です。娘もびっくり。娘は少しこわごわ渓谷に沿って歩いていました。黒アゲハが行きはお迎え、帰りはお見送りしてくれました。都会の中の静けさを娘と一緒に実感しました。等々力不動尊も見学し、そこにある茶店でラムネとイチゴ氷を味わいました。しっかり五感を働かせて自然を満喫しました。

富士山の初冠雪を見て、スケッチする 06.10.8実施
 朝日新聞06.10.8朝刊掲載「富士山に初冠雪」より
 「甲府地方気象台は7日、富士山の初冠雪を観測した」という記事を読みました。我が家は多摩川の近くにあります。多摩川に行くと富士山が見られます。早速娘と富士山の初冠雪を見に行きました。夕方のため夕焼けに染まった富士山も見ることができました。最近娘と多摩川の風景をスケッチしているので、初冠雪の富士山もスケッチしてみました。多摩川をスケッチしていると、いろいろな風景に出会えます。

小便小僧の装いを見に行く 07.1.8実施
 朝日新聞06.10.23朝刊東京版掲載「小便小僧の装い 欠かさずパチリ」より
 「季節や時の話題にちなんだ衣装で乗降客の目を楽しませている、JR浜松町駅(港区)のホームの名物『小便小僧』。毎月の衣装の変遷を12年間撮影し続けている人がいる。」こんな記事に注目し、お正月にはどんな衣装を身に付けているのか、娘と一緒に浜松町駅のホームまで見に行きました。小便小僧の衣装は「20年前からは同区の手芸グループ『あじさい』が引き継ぎ、毎月26日ごろ、着せ替え作業をしている。」ようです。今年のお正月には、紋付はかまの衣装で、いのししと門松が横に置いてありました。
  この日は他に、渋谷駅のハチ公の銅像横に置かれた、東急東横線の昔走っていた緑の車体も見に行きました。車内には展示もあります。また、多摩川駅の近くの多摩川台公園にある、亀甲山(かめのこやま)古墳、多摩川台古墳群と展示室にも行きました。2つの場所は以前新聞記事に掲載された場所です(いつの記事か不明ですが)。

川崎大師の風鈴市に行く 07.7.20実施
 朝日新聞07.7.3夕刊掲載「いざ 夏市へ 川崎大師 風鈴市」より
 「『高知・くじら風鈴』『沖縄・ビードロ風鈴』『18金の風鈴』『銀の風鈴』……。初詣の名所・川崎大師の境内に、梅雨空が空けるころ、全国47都道府県から800種2万5千個の個性豊かな風鈴が勢ぞろいする。」という記事が目に止まり、終業式が終わった娘と一緒に川崎大師に出かけました。全国各地の風鈴に娘も興味を持ち、デジタルカメラで写真を撮っていました。特に興味をもったのは、山口県のふぐの風鈴でした。早速家に帰りベランダにつけるとすてきな音色が聞こえてきました。
 この日の川崎大師の境内ではお猿さんの芸も見ることができました。記事の情報にはなかったもので娘も大喜び。口を押えて笑っていたのがとても印象に残りました。

東急多摩川線の「現代アート」を見に行く 07.11.23実施
 朝日新聞07.11.6朝刊東京版掲載「現代アート、駅彩る 東急多摩川線」より
 「太田区内を走る東急多摩川線(多摩川ー蒲田)の7駅すべてを、オブジェや現代美術などで彩る『多摩川アートラインプロジェクト』が11日まで開かれている。」
 我が家の最寄駅は東急多摩川線にあります。娘もよく使う路線です。期間は過ぎましたがいくつかの作品が残されていたので、娘と一緒に見てみました。武蔵新田駅のホームにある作品のベンチに腰かけてみました。

江ノ島電鉄途中下車の旅 08.1.7実施
 朝日新聞07.10.30夕刊be evening「日本一のローカル線を途中下車」より
 「車窓の眺めが楽しく『乗って良し』、沿線にみどころ多く『降りて良し』、かわいい車両を『撮って良し』。三拍子そろって人気の江ノ電。鎌倉駅から乗り込んだ。」
 冬休み最後の1月8日、娘と一緒に江ノ電途中下車の旅に出ました。鎌倉-藤沢間を結ぶ江ノ電。私たちは藤沢駅から乗りました。藤沢駅で一日乗車券と湘南名物「鯵乃押寿司」を買って電車に乗り込みました。
藤沢→石上→柳小路→鵠沼→湘南海岸公園→江ノ島→腰越→鎌倉高校前
ここまでは車窓からの景色を楽しみました。江ノ島には今度ゆっくり行くことにしました。
  鎌倉高校前で途中下車しました。この駅の目の前には太平洋が広がっています。思わず景色にくぎ付けです。景色に一段落すると、駅のベンチに座り藤沢駅で買った「鯵乃押寿司」を娘と一緒にぺろりと平らげてしまいました。味覚を十分味わいました。その後無人駅の改札を通り、駅前の七里ガ浜に水遊びに行きました。娘はズボンをたくし上げて波とたわむれていました。水の冷たさと波の音、浜の臭いをしっかりと感じていました。駅に戻る途中、娘は江ノ島電鉄の写真を撮っていました。 
 鎌倉高校前→七里ガ浜→稲村ヶ崎→極楽寺→長谷
 長谷駅で降りて高徳院の大仏を見に行きました。娘は大仏を見るのは初めてでした。大仏の中にも入り、手で触って感触を確かめていました。 
 長谷→由比ヶ浜→和田塚→鎌倉
 このあたりは民家すれすれの所を電車が通ります。車窓からすぐ玄関が見られます。娘もそんな景色を見ようと運転士さんのすぐ後ろから景色をしっかり見ていました。
今回の江ノ島電鉄途中下車の旅も、しっかり五感を働かせた記事の現場を訪ねる試みでした。

東京での雪体験 08.2.3実施
 朝日新聞08.2.4朝刊「凍結注意 大雪、都会の『足』乱れる 鉄道・マラソン・ラグビー・競馬…」へ
 「低気圧の影響で3日、太平洋の広い地域で雪が降り、関東地方では東京都心で最大3㌢、横浜市で7㌢と平野部でも積雪が観測された。」「雪だるまをつくる子どもたち=3日、東京都墨田区で」というキャプションが付いた写真が掲載されていました。
 今回は記事が掲載される前に体験し、どのような記事であったかを見てみました。東京では珍しい大雪の日に多摩川の河川敷でプラスチックのそりに乗り土手を滑ったり、雪だるまを作ったりしました。驚いたことは、東京ではめったにないこんな大雪の日に遊んでいる子どもの姿がほとんど見られなかったことです。次の日の新聞に「雪だるまをつくる子どもたち」というキャプションがついていた写真が掲載されたのもなんとなく分かる気がしました。

雪国での雪体験 08.2.23~24実施
 東京での雪体験から雪国での体験に発展させてみました。2月23日(土)に豪雪地帯の新潟県津南を娘と一緒に訪ねました。長野新幹線で長野まで行き、そこから飯山線で2時間。そこは東京での雪とは比べものにならない別世界でした。
 長野駅10:02発の飯山線に乗りました。この時は雪も降っていませんでした。雪景色もほとんどありませんでしたが、徐々に雪も降り出し電車から雪景色を体験できました。
11:57津南駅に着きました。ものすごい雪が降っていました。
 津南駅の近くで娘は雪遊びに夢中でした。道路の雪を溶かす消雪パイプを娘は初めて見て興味をもっていました。
 雪のすごさと寒さのために長い間外にいることができませんでした。駅の近くの食堂に入り、600円のチャーシューメンを2つたのみ暖まりました。その後、荷物を食堂で預かっていただき、もう一度外で雪遊びをしました。
14:00津南発の飯山線に乗り、長野駅には16:10に着きました。
 長野駅に着いたときは雪がかなり降っていて、午前中とは全く違う雪の風景でした。この日は軽井沢で一泊しました。往きの長野新幹線からの軽井沢は雪がほとんどありませんでしたが、帰りには雪が降っていていくらか積もっていました。宿泊した日の夜にかなり雪が積もり軽井沢でも雪の体験ができました。 
 家族での宿泊旅行はよく行きますが、娘と二人だけの宿泊での旅行は初めてでした。雪国での娘の体験を通して親子でのコミュニケーションがゆっくりとれました。

 五感を活用してのファミリーフォーカスは無限の可能性があります。
 
参考
学びの未来研究所 ファミリーフォーカス
https://www.manabinomirailab.com/nie-2

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