見出し画像

No.157 1996年11月 韓国の小学校教師の李貞均先生と出会う

 1996年11月、韓国言論研究院に招かれ、ソウルで開かれたMIE(メディア・イン・エデュケーション)研修で、「日本のメディア教育」というタイトルで話をさせていただきました。日曜日の午前中、韓国の熱心な先生方と3時間休みなく、コミュニケーションをとることができました。
 翌日、ソウル近郊高陽(ゴヤン)の城底(ソンチョ)初等学校1年生の教室で、NIEの学習に触れることができました。担任の李貞均先生は、韓国のNIEを引っ張る存在でした。
 子どもたちは、家庭で購読している新聞を持ち寄って、ビンゴで新聞に親しみました。そのビンゴには、「9.新聞で見た外国の記事を1つ書きなさい」「11.新聞で国名を3つ探してみましょう」というような指示が書いてあり、子どもたちは、一人一部新聞を持ち、ビンゴに書き込んでいました。
  また、テレビ、テープレコーダー、新聞を使い、映像と音と活字の違いについても学んでいました。ビンゴでのNIEの実践は日本にもあります。世界のいろいろな国で学べるNIEの学習材を共同で開発したらおもしろいなと思いました。

城底(ソンチョ)初等学校1年生の教室でのNIE

 校長先生、李先生と一緒に、学校近くの焼き肉屋さんで昼食をとりながら、教育やNIEのことを語ることができました。
 私が初めて韓国を訪ねたのは1989年です。その時、軍事境界線にある板門店に行き、一つの民族が分断されている姿を目の前で見ました。近くて遠い国とされてきた韓国の先生と数年後にNIEという共通の場でコミュニケーションできたことに喜びを感じました。そして、李先生と、2002年の韓日ワールドカップ共催に向けて、韓国と日本で一緒に学びあい、NIEプログラムを作成しましょうと行って別れました。
その時の訪問の様子をエッセーNo.149「1996年~ 朝日新聞編集委員の松村崇夫氏との出会いと活動」に松村氏が取材された紙面を掲載しています。

「朝日新聞」1996年12月23日朝刊より

 1996年にお会いしてその後、次のような日韓交流に発展しました。私と李先生の個人的な交流、私と韓国新聞活用教育学会との交流、李先生と日本NIE研究会との交流、李先生と日本NIE学会との交流、日本NIE研究会と韓国新聞活用教育学会との交流など多様な交流の姿が展開されました(後にエッセーでご紹介致します)。
 
 私が訪韓しての交流は以下のようでした。
①1996年11月 韓国視察
学校 高陽(ゴヤン) 公立城底(ソンチョ)初等学校
新聞 ソウル 中央日報 
 ソウル 韓国言論研究院
②1999年3月 韓国視察
学校 ソウル 公立広壮(ガンジャン)初等学校
③2000年3月 韓国視察
学校 ソウル 私立金星(クンセイ)初等学校
高陽(ゴヤン)公立知道(チード)初等学校   
仁川(インチョン)公立西串(ソーコット)中学校
家庭 城南(ソンナム) 鄭(チョン)さん 
④2001年3月 韓国視察
学校 ソウル 公立九宣(クーダン)初等学校
高陽(ゴヤン)公立白馬(ペンマ)中学校
家庭 高陽(ゴヤン) 李(イ)さん
⑤2002年6月 韓国視察(日韓ワールドカップ)
学校 坡州(パジュ)公立汶山(ムンサン)初等学校 私が授業をしました(通訳付)。
図書館 ソウル 陽川(ヤンチョン)図書館
⑥2003年9月 韓国視察
学校 高陽(ゴヤン)公立松浦(ソンポ)初等学校
家庭 ソウル 南(ナム)さん
図書館 ソウル 陽川(ヤンチョン)図書館
⑦2004年3月 韓国視察
学校 ソウル 私立景城(キョンソン)高等学校
家庭 ソウル 琴(クン)さん
図書館 ソウル 陽川(ヤンチョン)図書館
⑧2006年9月 韓国視察
学校 ソウル 私立大光(デークァン)初等学校
家庭 ソウル 崔(チェ)さん
   ソウル 丁(チョン)さん
図書館 ソウル 陽川(ヤンチョン)図書館
⑨2007年3月 韓国視察
学校 ソウル 私立明知(ミョンジ)外国語高等学校
家庭 ソウル 金(キム)さん
図書館 ソウル 子ども図書館
⑩011年11月 韓国視察
学校 金浦(キンポ)公立月串(ワルゴッ)初等学校 私が授業をしました(通訳付)。 
図書館 ソウル 陽川(ヤンチョン)図書館 
⑪2012年10月 韓国視察
学校 金浦(キンポ)公立月串(ワルゴッ)初等学校 私が授業をしました(通訳付)。
家庭 朱(ジュ)さん
 
 1996年11月に李先生と初めてお会いした時に次のような夢がありました。「韓日のNIE国際交流に発展できればいいな。そして、他のアジアの国々のNIEとの交流を模索していき実現できればいいな。いつか、子ども、親、先生、新聞界などが一緒になった国際的なNIEの交流が生まれることを希望しています。」この夢はまだ実現できないし、かなり難しいことだと思っています。でも夢はあきらめず希望をもっていきたいと考えています。
 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?