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路地裏ってどんな場所?

路地裏

もしかしたら存在すら気づかない領域

あるいは
まるで運命であるかのように引き寄せられる領域

そこは特別な場所

人によってはある意味
聖地かもしれない


記憶の扉をノックしてみた

もう30年近く経つので
随分誇りまみれになっている記憶


バスを降り
電車へ乗り換えるための道中に
スナックやバー、居酒屋がひしめく
いわゆる飲み屋街がある

その飲み屋街の入り口からすぐの右手に
大概見落としてしまいそうな脇道がある

車がやっと通れるくらいの道幅で50mも続いていない小さな道

道の中ほどに5階建ての風俗店ビルがあり

その左隣にある建物のガラス越しに中の様子がうかがえる店舗はある

コの字のカウンターの両側にボックス席があって
広さは10坪程度

お世辞にもおしゃれな店舗ではない

古びた暖簾をくぐり
中に入ると

「いらっしゃい!」と威勢のよい声が響く

とりあえずカウンターの空いている席に座る

カウンターの中には湯気がたちこめるおでんや調理器具などなど
大将と思われるおっちゃんと忙しく鉄板で調理をしている若いお兄さん

客層はサラリーマンや職業不明の常連さんらしきおじさま、おばさま

掃除をしているのだろうかと思ってしまう薄汚れた壁には
10年以上はそのままであろう手書きのお品書きが
セロテープでとめてある

大半のメニューは300円程度
生中も300円だったっけ

ホールには2名のおねえさまがおり
忙しそうに動き回っている

「すみませ~ん」

とりあえず生中とおでんを注文する
おでんの具はいつも同じものを頼む
卵、厚揚げ、大根

1人で訪れることもあったが
八割以上同い年の後輩と週3は行っていたような、なかったような

いつも通り乾杯からはじまる

日常化した残業後のすきっ腹にビールはしみる
一口目の喉ごしは格別だ

そこから上司の悪口で盛り上がるパターン
違う話もしていたはずだが
全く覚えていない


空腹を満たすには
おでんだけでは足りるわけがない

何にするか後輩とお品書きを物色中
カウンター内の鉄板で調理が始まる
へらを使って手際よくできあがったうまそうな1品

後にレギュラー入りするニラ玉である

いざ注文しようとしたその時

職業不明のおっちゃんがでかい声で注文した

「イカ玉、イカ抜きで!」

不覚にも
後輩と目を合わせ
「それ卵焼きやんけ」と突っ込んでしまったが

毎度のことなのだろう
店員さんは「はいよっ!」と
何事もなかったかのように調理を始める

おっちゃんはいつも同じ席に座る常連さんだった


もう一人
いや
もう一匹
何も注文しない常連さんを忘れない

カウンター内の片隅に時折顔を出すかわいいやつ

つぶらな瞳で辺りをうかがう彼のことを
我々はチュウ太郎と名付けた
ちなみに雄か雌かは確認していない

いつしかその名を勝手に店の名前にしていた

そして合言葉は生まれた

「チュウ太郎、千円コースで行っとく?」
「行こか!」

ところで私は何が言いたかったのだろう?





なんのはなしですか


最後までお読みいただき、ありがとうございました😊

表題画像はノラ猫ポチさんにお借りしました
いつもありがとうございます

では、良い1日を✨




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