色覚異常の彼の世界は

たまたまネットで見た画像

私はふと 「この数字読める?」なんて夫に聞いてみた

画像には大きく89と書かれていたけれど
彼は首を傾げながら 「26」 と言った

「!!」

思えば10年間
お揃いの緑のセーターをグレーだと言ったり
肉が焼けてないのに食べようとしたり
不思議に思うことは多々あった

そういえば

「曇りの日って、空が暗すぎて本当に落ち込む」

なんて言っていたな

私はそんな風に思うよりも
低気圧頭痛にやられていたりしたから
なんかわかる気がする、なんて適当に共感していたが

今回検査をして自分に合ったメガネをかけた夫は
私が見たことのない表情をして店内を右往左往

少し時間が経ったあと、申し訳なさそうに私を見た

「メイクとか髪色とか、わからなくてごめんね」

いや、 それは全然いいんだ

そうじゃなくてさ。

店員さんがは彼に高画質の花火の写真を見せた

「なにこれ、色んな色がある。 すごい!本当?」

彼にとっての花火
全部白色だったらしい

10年間いつも一緒に
色んな場所に行って、色んな景色を見てきた

桜も紅葉も 私は私が見ているように
彼にも同じ景色が見えていると思っていたのに。

急に切なくなり メガネ屋で涙をこらえた

メガネは一週間程度で完成するらしい。

これから新しい世界がはじまるね。

お試しメガネを外した彼はまたこちらを見たけれど

私の目が赤いことには気づかずに

「無限の可能性を感じるな!」と笑った ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ


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