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持久力を向上するために緩い走りも重要【Polarizedトレーニング】

「持久力を向上したい!」
「スタミナつけたい!」
っていうアスリートは競技を問わずほぼ全員でしょ。

どうも、アスレティックパフォーマンスコーチのタケダイグウジです。

先日「X」にこんなこと書いたらまぁまぁな反響がありまして。

昔から格闘家、特にボクサーのロードワークは当たり前のようにおこなわれており、マイク・タイソンやメイウェザーが早朝から走ったりロープスキップしているのを見たことある方も多いでしょう。

では、ホントにそういうワークが持久力向上に有効なのか?

ということを「持久トレーニング強度の配分」に着目して、適切かつ最適なトレーニング方法について書いていきます。

あっ、実は格闘家とか関係ないのでサッカー選手とかバスケットボール選手にもバリバリ当てはまります。


Polarizedトレーニングとは?

持久力向上のための最適な強度の配分として「Polarizedトレーニング」というアプローチが近年提唱されています。とはいえ、僕が知ったのが6,7年前なだけで15年以上前から持久系競技の中では普通に使われていたそうです。

どういうことかというと持久トレーニングの強度を大きく
「低・中・高」の3つに分けて

主に「低」強度と「高」強度のトレーニング量・頻度を多くして、真ん中の「中」強度でのトレーニングは少なくするorおこなわないというアプローチです。
各強度におけるトレーニング量の分配として:

  • 低強度:75-85%

  • 中強度:5-10%

  • 高強度:15-20%

という形が最適であるというのが「Polarizedトレーニング」のコンセプトです。

polarizeてそもそもどういう意味なんかとGoogle先生に聞いたら「二極化」、「両極化」と2つの性質や方向性に極端に偏ることだそうです。

つまり、低強度と高強度という両極端な強度におけるトレーニング量や頻度を多くして、中強度のトレーニング量や頻度は著しく抑えるという戦略が「Polarizedトレーニング」ということになります。

日本語やと「両極端トレーニング」といったところでしょうか。

僕は低強度80%の高強度20%くらいで設定します。

割合と強度イメージはこんな感じ。

頻度の割合
強度のイメージ

低強度:血中乳酸<2mmol/L いわゆるLT以下
高強度:血中乳酸≧4mmol/L OBLA以上

ですが、乳酸測るのは中々大変なので、上の画像の心拍数で

低強度:最大心拍数の65〜75%
高強度:最大心拍数の90%以上

で考えてプログラムデザインしてください。高強度のHIITに関しては強度設定に別の数値使いますが、今回はわかりやすくざっくりとこんな感じで。

格闘技における、いわゆる「ロードワーク」的な走りは強度的に低強度でLSD(Long Slow Distance)に当たり、まぁ心拍数も70%前後ならダラダラ走る感じですね。

とはいえ選手によっては心拍数がある程度上がっても楽だなと感じることもあります。特にサッカーやバスケ選手。そういう時はRPEという自覚的運動強度が2,3くらいの時の心拍数を測っておいてそこの数値付近でトレーニングを御願いしています。


Polarizedトレーニングて効果あるんかい?

そもそも、そんな両極端なトレーニング、特にダラダラ有酸素多くして効果あるんかい?

という疑問もあるでしょうが、持久系競技ではキチンとデータ出てまして、2つほど紹介致します。

先ずはコチラ

6週間の自転車選手のトレーニングで、
Polarizedトレーニングと低・中強度トレーニングで分けておこない、結果は下記の通りで

LT強度、最大強度でのトレーニング効果の伸び率がPolarizedモデルの方が高かったです。

このトレーニングは高強度をおこなわなかったのでなんとなくイメージ出来ますが、様々な強度とトレーニング内容でおこなった効果がコチラ

様々な持久系競技アスリートで9週間おこないました。結果は下記の通りで

VO2max(最大酸素摂取量)の伸び率はPolarizedモデルが一番高く、次にHIIT(高強度)モデルが伸びてます。
なので、高強度も入れつつ我慢してボリューム減らした方が結果的に持久トレーニング効果が高いという結果に。

Polarziedトレーニングを実践する時に何に気をつける?

なんとなくこのアプローチが持久力向上には最適だろうということがわかります。

だからロードワークの意義もあるよね。

ということは理解出来てきて、実践するときの注意点て何でしょうか。

ロードバイクやスイムの様に競技練習自体が持久能力向上においてあるならそのまま運用すれば良いです。

ですが、サッカーやバスケの様な試合時間も長く間欠的に走り回る競技アスリートだと、楽なペースがホントに楽すぎることがあります。

『低』強度自体かなり楽なペースですので中強度にならない様に、我慢しておこなうことが重要です。ウォーミングアップやクールダウン程度でもOKなレベルです。

後、そもそも非持久系競技のアスリートの場合はそのまま実践するのは難しいです。

なぜならそもそも技術練習に割かれる時間が長いし、補強で筋トレもしたい。ですので、プラスαでHIITの様な高強度トレーニングを入れるくらいの意識でちょうど良いです。

実際にPolarizedトレーニングどうやって運用する?

僕が選手達に伝えていることはこんな感じ

・競技練習で時間を割かれる競技は自分でおこなう(1セッション30分以上)
※GPS付きの活動量計着けて強度管理しながら
・ミニゲームやスパーリングの強度が高い場合はHIIT等の高強度練習のボリュームを落とす(格闘技の試合前は別)
・HIITは週2回程度が理想
・エアロバイク、ロウイングマシン、スイム等、地面へのエキセントリックなインパクトがないメニューも積極的にとりいれる
・HIITも強度設定がしやすいパワーMAX(WATTBIKE)等の殺〇エアロバイクやトレッドミルも積極的に活用する

因みに趣味レベルで競技をしている方は、そもそも高強度トレーニングは精神的、肉体的におこなうことが困難なので中強度トレーニングで充分に持久能力は向上しますのでPolarizedトレーニング無視してもOK。

結論

ロードワークはアリ
ただし、ダラダラ走るのが吉

今日は疲れてるからゆっくり泳ごうかなもアリ

僕のチームの選手達には追い込むことしかやらないから、ダラダラ持久トレは各自やっておいてね💖

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