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武田光司フェザー級初戦への取り組み

どうも、アスレティックパフォーマンスコーチのタケダイグウジです。

今回は去る3/23に開催されたRIZIN Landmark神戸大会に参戦し、勝利した武田光司選手についてサラッと書いていきます。

今回やたらとフューチャーされていた『フェザー級転向どうなんだい?』ということをコーチとしてどうサポートしてきたのか。

階級変更についてはムサエフ戦に向けて中村倫也と話しているときに勝とうが負けようが落とすと聞いていたので、結果的にKO負けしたのでダメージ抜けたら始めましょうという感じでした。
UFCでもツァルキヤンとか170cmちょいでやっている選手もいますが、彼はリーチが185cmと長くフェザー元チャンプのヴォルクさんも超手長星人。リーチ短いレスラーはやっぱり苦労するので賢明な判断だなと。

光司は元々体脂肪率が高かったので、まずはそこから対処していけば特に問題なく落としていけるはずだと思ってましたが、性格的に逃げ場を作っておいたほうが良いなと思ったので、僕の知り合いのスポーツ栄養士さんに栄養面は基本的に一任して、プラスαと試合1週前からは僕が直接サポートするということにしました。

減量スケジュール

YouTubeのRIZIN confessionsに体重のスケジュールが出てましたが、僕の指示で今回は少しペースを早くしておこなっていこうと。

初めての階級でスケジュール通りに落ちない可能性が高いですし、焦って水抜き量が増えたら試合当日リカバリーが上手くいかない可能性が出てきます。

光司に限らず選手達って、『70kgで計量当日に5kg落としてたから、66kgでもそれくらい大丈夫ですよ。』的なことを平気で言いますが、割合が変わってくるのでそこは余裕を持たせておきましょう。

減量に関しては普通に食べる内容の変容から始まり、量の調整、そして脂質を減らすのは勿論、糖質を摂取するタイミング、量、種類等々、キチンとスポーツ栄養士さんのアドバイスを実行しながら、途中から「一人暮らしの冬は鍋が結局楽だよ。」というアドバイスをそのままおこなってほぼ毎日鍋していたのは偉かったです。大好きなアイスも我慢して(´;ω;`)ウッ…

細かい減量幅や方針についてはこちらに書いてますのでどうぞ


ファイトキャンプ中において

彼の性格的に普段の練習も凄く頑張るというのがありましたが、今回は体重を落とす作業が入っていたので、普段よりもボリュームを減らしつつ、週の中で何の練習にフォーカスをおくのかを決めて強度調整をおこなっていました。休むことに不安を感じることも多々あったでしょうが、とにかくコンディション調整を頭において、ファイトキャンプを過ごしていました。

僕のパートでは、いわゆる筋トレ系のトレーニングはほぼおこなわず、そもそも自信があるであろう持久能力を高めるHIITばかりおこなってました。相手のタイプ的にフィジカルでは圧倒出来るだろうから体重落としても動き続けられる感覚と正しい動きの構築にフォーカスを当ててました。

ファイトウィークから計量当日

試合の週頭の段階で72kgは切っておりほぼ予定通り、後は少し栄養を取りつつ、身体の中のものを出して、水抜きしやすい身体の浸透圧にもっていかれれば問題ないなと思って計量当日の朝へ。

計量当日水抜き
朝6時前くらいから動きだし

70.3㎏ 開始
ホテルのフィットネスエリアにて着込んで発汗ジェル塗りたくって、ストレッチ&有酸素運動。40分くらいで汗が凄く動きも問題ないので調子良さそうでした。
69.3㎏ と、ここで既に1kg落ちてました。半身浴開始
68.1kg 1Rで1.2kgとめちゃくちゃ落ちてる。この最初で1以上落ちてたら安心しておこなえます。
67.4kg  2R終わり
66.9kg 3R 
66.4kg 4R と凄く順調に落ちてきてる。少し泣きごと言い出してきたが、受け答えやレスポンスも普通で、まだまだ元気
66kg 最後の400gはキツかったと思いますが、1度も停滞することなく完遂いたしました。

この辺りの落とす量は半身浴の時間+温度⇔蒸しの時間を調節しながら、へばり過ぎない様にサポートしてます。僕のチームの選手達はこの辺りを共有しているので、選手達でおこなうときも同じ様にしてもらいます。

余談ですが、2月に僕が中村倫也のサポートでアメリカに滞在中、河名マストが前日に試合で計量に向けて水抜きをしていて、最後の数百㌘が全く落ちなくなったと水抜きサポートしていたチームの選手から電話かかってきました。

状況聞き、指示出して落としきりましたが、やはり余裕だと思ってても何が起きるか分からないので、油断大敵だなと思いました。翌日の倫也でも100%上手くいったかといえばそうではないですし。

話を光司に戻します。

これ、辛そうに思われるかもしれませんが、半身浴後に銀紙+バスタオルで蒸してる状態です。僕の中では当たり前の行為ですが、日本のファイター達にもここ2年くらいでスタンダードになってきてるのかな。

因みに画像加工してわざと黒くしてましたよww

武田光司初の腹筋カット
まだまだ脂肪のカット出来ますね。中村倫也とは体脂肪率3%くらい差がありそうです。

リカバリー

体重作るというプロとして最低限の仕事をし、次はリカバリーです。数百試合担当してますが、ここが1番気を使います。その日の微妙な体調変化でドリンクが合わないということが多々あり、嘔吐して再度ドリンク作って飲んだりとあります。その点光司は胃腸が強く、直ぐに2L飲み干して、そこから2ndドリンク、ジェル、ゼリー、フルーツ、とバカバカ食べても全く問題なく食べてました。昼に参鶏湯食べて、そこからうどん、夕方から土鍋ご飯が美味しそうなところにいって炊き込みご飯と白米を4杯ずつくらい食べて、寝る前に更に定食食べて、アイスまで食べてました。

正直、ここまで食べられる選手中々いないので、僕が設定した糖の摂取量もゆうにクリアーしており、腹も下してなかったので安心して試合当日へ。

試合当日

朝からホテルのバフェをしこたま食べて、76kgまで戻ってましたwww

73kgまで戻れば問題ないなと思ってましたが、予想よりはるかに多くて逆に重さを感じるか不安でしたが感覚的に問題なさそうとのことでそのまま気にすることなく会場へ。

アップも激しく打ち込みのキレも良かったので、やってきたことを出したら普通に圧倒しそうだな、なんて思ってたら。。。。

https://youtu.be/C78uDZYspSg?si=0PvjYQ61RapTVQaa

序盤萩原選手がアーチュレッタのところで何を仕込んでいるんだろうなというのを露呈させる作戦だったので中々組みにいかなったんです。ドウェイン・ラドウィックの元でTJディラショーとスイッチステップ学んでたアーチュレッタなら〇〇の動きを教えているかもね、とラドウィックLOVEな僕が入れ知恵したのですが、結局一切仕掛けしてこなかったですね。

ご存知の通り、金的もらってからは下半身に力入らず、やってきたステップや位置取りもけっこう飛んでましたが何とか漬物石で被せて勝ちました。

見ているファンからしたら、ストレスフルな構図だったかもしれないですが、バック取ってからの展開は脚の締めつけが出来ないと関節技仕掛けられないので試合を続けたというリスクを取った以上超絶堅実な戦いに終始してしまってましたが光司はプロとして素晴らしかったです。

試合後はプロキャリアで初めてという嘔吐を数回し、その後病院へいき検査を受け、戻ってからも血尿が朝まで止まらなかったので察していただけたら幸いです。(金〇は潰れてなかったそうで良かった)

試合から10日ほど経ってますが、打ち込み、ムーブメント、筋トレ等は再開しているのでまた夏までには更にフェザーへアジャストした武田光司として闘ってくれるでしょう。


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