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【動物病院向け】もっと効率よく!繁忙期前に、見直しておきたい動物病院の整理整頓!

こんにちは!ペピイセミナー公式LINEとnoteの運用をしている
デザイナーの「おのり」です!

今回はフリーランスの愛玩動物看護師であり動物病院6Sコンサルタントでもある苅谷直子先生に整理収納技法である「6S(ロクエス)」について記事を執筆していただきました!


執筆者のご紹介

【本編】もっと効率よく!繁忙期前に、見直しておきたい動物病院の整理整頓!

みなさん、こんにちは。
フリーランスの愛玩動物看護師、動物病院6Sコンサルタントの苅谷です。

『6S(ロクエス)』という整理収納の技法を取り入れ、動物看護師の経験を活かして動物病院の業務を効率化するコンサルティングを行っています。


6Sとは

人医療において、ヒューマンエラーを減らし、医療安全を向上させるとして徐々に浸透しつつある『5S』。『5S』とは、整理・整頓・清掃・清潔・習慣の5つの頭文字Sを表す言葉です。
『6S』はこの5Sに動物病院の人材育成(Staff スタッフ)と医療安全(Safety セーフティ)を加えた造語です。


さて、日増しに暖かくなるのは嬉しい事ですが、もうすぐ春の予防シーズンがやってきますねー。
そうです、桜を見る暇もない程にクタクタな日々(笑)がやって来るのです。
皆さん準備はバッチリ出来ていますかー?
DMも出して、予防薬の注文もOK。
さぁ、後は動物たちを迎え入れるのみ!…とその前に、

今回は繁忙期を迎える前に、見直しておきたい動物病院の整理整頓術についてご紹介いたします。

これを意識しておくと、作業効率も上がり、なおかつ働くスタッフの身体も楽になりますよ。


動物病院のスタッフは常に物の“隙間”で働いている?

冬の間、予防薬関係のキットや医薬品のほとんどはあまり使われていませんよね。
使わないので足元や隅の空いたスペースに適当に置かれています。
こういった物を「とりあえず置き」というのですが、動物病院にはこの「とりあえず置き」があちらこちらで見られ、開業から年数が経つほど日常業務における作業スペースは狭くなる一方です。
動物病院のスタッフは常に物の“隙間”で働いているのです。


不便なのに気づかない当たり前の光景

私は動物病院の片付けで現場訪問に伺う事も多いのですが、「どうしてこんな小さなスペースでちまちま血液検査をしているのだろう、どうしてわざわざ狭いスペースで屈んで物を取るのだろう」と常々感じています。

第三者から見れば違和感だらけの光景なのですが、働いているご本人らは、入社した時からこうだったから“当たり前の光景すぎて何も感じていない”そうなのです。

“当たり前の光景だった”動物病院の一例

【皮下点滴用の輸液剤が保管してある保管庫】

この保管庫自体は普通の代物ですが、配置に深刻な問題があります。
もう少し全体像を見てみましょう。

【問題のある保管庫の配置】

どこに問題があるか分かりますか?
汚い・・・事は、一旦置いておいて(笑)

この収納の一番の問題点は“高さ”です。
ちょうど膝と同じライン、床上30㎝くらいですね。


この保管庫から輸液剤を取り出す看護師さんの姿がこちらです。

【収納に問題のある保管庫から、輸液剤を取り出す動物看護師】


中腰で覗き込むような体勢、それに視界も暗くてなんだか見づらそうですね。
入口の通路幅は約70㎝ですが、人間1人が物を持って通るには75㎝以上必要です。屈んで点滴を探し、それを持って半回転して戻ってくるのですから、非常に窮屈ですよね。
更に苦行のような作業はまだ続きます。
この保管庫の扉は、開き戸!しかも左開き!!余計に空間が狭くなっています。
この状態が“当たり前”として毎日この作業(苦行?)を繰り返しています。

客観的に見ると「なんだか効率悪いな」と思いますよね?

でも、皆さんも知らず知らずのうちに、このような苦行を日々繰り返しているかもしれません。気付いていないだけで・・・。



使用頻度の高いモノの置き場所って?

【6S的 基本の収納ゾーニング(垂直)】

1日1回以上使用する輸液剤は、使用頻度から考えると、『ゴールデンゾーン』が適切な配置となります。


ゴールデンゾーンとは

目線高~腰高の高さで、人間が最も少ない作業負担で行えるゾーンの事です。



【適切なゾーニングへの変更プラン】

【実際のビフォーアフター】

置き換えたAfterがこちらです。

このように目線高に置き換える事で、窮屈な位置で屈む必要がなくなります。
後日、使用感を確認したところ屈まない事で身体的負担が軽減されたそうで、喜んでおられました。
慢性的な腰の痛みもあったそうです。
さらに輸液剤の準備時間も以前より格段に速くなり、保管庫の中が見やすいので、「在庫切れが減った」と仰っていました。

ちなみに作業を1分短縮すると約100円の経費削減に相当すると言われています。ほんの少し位置を変更するだけで、時間も経費も体力も節約できるのであれば効果としては十分ですよね。

これから、新しい機械などが増えた際は、置き場所だけでなく使用頻度と高さも一緒に考えられるようになるといいですね。

今回ご紹介した「ゴールデンゾーン」屈まず、脇を開けずに作業できるかどうかがポイントです。
小さな事ですが、日常的に何百回と繰り返せば、皆さんの貴重な能力も無駄に消費され、“残業へのチリツモ”になってしまいます。

みなさんの “労働時間と疲労感を減らす工夫” も繁忙期前に準備してみてはいかがでしょうか。

動物と飼い主様の笑顔の為には、まず“自分自身が笑顔でいられる事”が必要不可欠ですからね♪



最後までご覧いただきありがとうございます!
使用頻度の高いモノの位置を変えるだけで、体にかかる負担や時間効率が良くなるなど、多くの良い結果を生むということが学べました。
ゴールデンゾーンなどはお家でも使えそうなので実践してみようと思います!
苅谷先生の記事はこれからも公開予定ですのでお楽しみください。


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