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憲法と平和を考える

改憲せよ、という声が上がっている。
私は「今は不可」だと思う。なぜか。

紛争が無い=平和と仮定したなら、健全な政府が存在する事が大前提。外務省が指定する避難退避勧告の国を見れば、例外なく無政府状態か、それに準ずる内戦状態の国なのだ。アナキストは認めたく無いだろうが。

そして政府の箱になるのが憲法。
国として政府の権限を決め、縛る。

国の強権を発動するために憲法を改正せよ、などと言う意見は立憲主義を理解していない。【国民が】政府を縛るのが憲法だろう。

かつてヒトラーが全権委任法で憲法を破壊した事で、ファシズムの惨劇が行われた。情けないかな支持したのは民衆だ。いまの我が国はどうだ?

流されてはいけない。

政府のいう事など真に受けてはいけないのだ。飽くまでも我々がどんな国にしたいかを主体に改憲の議論をするべきなのだ。日本が80年近く戦争に参加しなかったのは憲法によるところが大きい。敗戦国だから新憲法に武装解除と傀儡がの意図があったのは明確。だが日本側の修正案はほぼ受け入れられている。

そして講和と日米安保条約が同時に結ばれた。9条と米国傀儡はセットだ。日本は米国の傀儡になる事で国防費の負担をせず経済復興し、その後米国の意図で再軍備と自立が画策される。日本は憲法を根拠に「専守防衛」に特化し、域外への派兵を拒絶し続けた。

絶妙なバランス感覚だと思う。(PKOの前例は?というツッコミは歓迎)

NATOはどうだ?

ヨーロッパの不戦の誓いは冷戦の崩壊で成就したかに見えた。だが米ネオコンの意図によってロシアへの包囲網がさらに強化された。そこには強大な米軍に寄りかかるヨーロッパの姿。この姿は今の日本では?

日本は主権を剥奪された状態で憲法を作った。だからこそ理想主義の憲法になった。軍備の不完全さは宗主国のアメリカにとって都合がよく、自国の防衛のために日本基地を占領し続けた。日本のためでは無い事に注意が必要だ。

そんな経緯だから、日本は存在自体が脅威になりうる米軍を上手く利用すればよろしい。日本はこのモラトリアムの中で最低限の自衛に備える事が出来たと思う。しかし近い将来、米国は日本の拠点を必要としなくなるかもしれない。では、どうするか。

専守防衛の能力をさらに高める。

特にミサイル防衛はわが国の技術にマッチしている。無人誘導、ステルス、レールガン等の技術。純国産が理想だが装備が間に合わない。まずは英国のSky Sabreなどを導入し、共同開発してはどうだろう。音速かつ極小のミサイルも迎撃できる。

原子力サイクル(破綻しているが)の中で溜め込んだ大量のプルトニウムと、ミサイル実装に転用できるロケット技術も、隣国は脅威だろう。実験データは同盟国が持っているのだし。

しかし、そんな事よりも。

隣国は脅威に対して軍拡をする。ヨーロッパは逆のスタンスを取った。初期には石炭資源などの利害を共有し、敵と共存をした。なんとナチスの居たドイツを仲間に引き入れ、共同体としたのだ。

隣国は我らをどう見ているか。

「敵では無い」と思わせる方策を取るために、不戦を誓う平和憲法は重要なツールになる。拳を振り上げている国と協調するのは、なかなかに難しいのだ。(一方で完全に仲間になると米国にとって敵になるので、バランスが難しい)

いまや自衛隊は世界に誇る「軍」であるにも関わらず、他国を攻撃しないと宣言している稀有な存在だ。これは平和の構築ためのカードになりうる。
外交では詭弁が武器だ。

さて、米国、中国、ロシア、さらにその影響下にあるアジア/中東/アフリカ諸国。共有するものを見つける必要があるだろう。

関係構築には時間がかかる。
いまは憲法を触らない方が有利と思う。

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