令和6年4月3日の昼飯
本日、食したカップラーメンはこちら!
明星
中華三昧
中国料理赤坂榮林
「トマト酸辣湯麺」
爽やかな酸味と辛み
だぁぁぁぁぁぁ!
早速! いただきます!
以前食べたものと同じと思ったのだが……
違った……
『トマト』がついとるやないかい!
そう、以前食べたものは、「酸辣湯麺」!
パッケージもほぼ一緒なのだが、トマトがついていないのだ。
いや、確かによくよく観察してみるとトマトの姿が容器のプリントに見て取れる。
というか……コレだけしか変更してないの?
せっかくだから、もうちょっと変えてもよかったのでは?
いや、おそらく、このパッケージが完成形なのだろう。
それはもう、手を加えることがないほどに!
って、いや、まだまだなんかすることあるやろwww
ということで、今日は「完成」つながりのお話を。
次の朝、タカトは飛び起きるとすぐさま工房に駆けこんで、権蔵に命令された道具作りを始めた。
一つ一つ丁寧に道具を作っていくタカト。
昨日とは打って変わって、今度は権蔵に言われたとおり精魂込めて作り上げているようだった。
出来上がった道具は一目で昨日の物とは出来栄えが違うことが権蔵にはよく分かった。
権蔵は自分の作業をしながら、それとなくタカトの様子を見つめていた。
――コイツ……やればできじゃないか……
だが、タカトの作業は遅々として進まない。
道具の細部にまでこだわって作りこんでいるため、昨日のようなスピードが全く出ないのだ。
まあ、確かにそれもあるのだが理由は他にもあった。
というのも、今日の工房内はやけに騒がしいのである。
道具づくりやら歌の稽古などなにかと忙しいタカトを気遣ってか、今日もビン子はタカトの横で素材の切り出しなどを手伝っていた。
しかし、手伝っているのはビン子だけではなかったのだ。
そう、ちび真音子とアイナたちもまた、タカトを手伝っていたのである。
タカトの作業が終われば新しい歌を教えてもらえる約束だ。
ならば、自分たちが手伝ってサッサと終わらせればいいんじゃない。
それいいねぇ! お姉ちゃん!
ってな感じで、この二人も権蔵の工房に押しかけてタカトの手伝いを無理やり買って出ていたのであった。
「タカトさん、早く終わって歌の練習、一杯しようね♪」
「お兄ちゃん! 真音子もちゃんと手伝うからね~♪」
日ごろ、権蔵の工房は槌の打つ音しかしない静かな場所だ。
それがどうだ……
今日に限って言えば、やけにワイワイがやがやと騒がしい。
「アイナちゃん! あれとって!」
「タカトさん、これ?」
「ちゃうちゃう! それチャウチャウ」
「お兄ちゃん! ならこれ?」
「ちゃうちゃう! チャウチャウちゃう! チャウシーのチャウ縞だよ!」
ちなみに、チャウシーとは小型のヤマネコであるジャングル・キャットとイエネコを人間が掛け合わせた雑種の事だよ。まるで半魔みたいだね。って、ちゃうか!
そして、チャウ縞とはインドのチャウル地方から来た 琥珀織りに似た薄地の絹織物の事なんだよ~ もう、頭よくなっチャウ~♪
「もう チャウチャウばっかり、ビン子! 困っちゃう~」
「ぢゃかましぃぃぃぃ!」
突然、権蔵が叫んだ!
「どいつもこいつもちゃうちゃうチャウチャウうるさいんじゃぁぁぁ」
こんなんで集中できるか!
権蔵の怒声が工房内に響き渡った。
一瞬、工房内に静寂につつまれた。
だが、数秒もしないうちに、まるで何事もなかったかのように元の騒がしい状態に戻ってしまったのだ。
そんな騒がしい中、半ば諦めた権蔵は仕方なく一人、槌を打ち続けた。
カッコーン!
――全く、どいつもこいつも騒がしい!
カッコーン!
――だが!
カッコーン!
――だが……
奴隷である自分は、奴隷として一人で死ぬと思っていた。
いや、それが普通でそれ以外に考える余地などなかったのだ。
カッコーン!
――だが……しかし……
今ここにあるのは心地よい温かさ。
まるで家族のような温かさである。
決して自分には手が届かないと思っていたそんな心地よさがいま、権蔵を包んでいたのだ。
カッコーン!
――だが……しかし……こういうのも悪くないのかもしれんな……
すでに時刻は夕刻。
日の差し込まない工房内では時間の感覚が鈍ってしまう。
そんな暗い工房の中でも権蔵は長年のカンで大体の時刻を掴んでいた。
「タカト! 今日の作業はしまいじゃ!」
その権蔵の言葉に作業を続けていたタカトの手がピタリと止まった。
「えっ! 今日はもういいの?」
「あぁいいぞ!」
「やったあぁ!」
手伝いをしていたビン子たちの表情もパッと明るくなった。
椅子を跳ね飛ばし元気よく立ち上がったタカト。
「よっしゃぁぁぁぁ! 今から歌の猛特訓じゃぁぁぁぁぁい!」
「イエッサー! プロデューサータカトさん!」
「いえっさー! プロデューサーお兄ちゃん!」
「はいはい…… バカデューサーさん……」
4人組は工房を飛び出して、広場のはずれに向かいだす。
タカトたちが歌の稽古を始めた広場のはずれでは、へんちくりんなステージができあがりつつあった。
このいびつに傾くステージは、ちょっと叩けば今すぐにでも壊れそうなぐらい揺れていた。
そう、これはガイヤとマッシュ、オレテガの三人によって作り上げられていたのだった。
揺れるステージの上でガイヤが大声を上げた。
「おい! マッシュ! ここを洗剤のザムで磨いてくれや!」
「了解しゅ!」
地面の上に転がる洗剤のザムをステージの上から降りることなくのぞき込み、手を伸ばしてとろうとするマッシュ。
しかし、あとちょっとで届きそうで届かない。
うーん!
必死に手を伸ばすが、やっぱり!どっこい届かない。
うーん!
マッシュの顔がどんどんと赤くなっていく。
「オホホホ……なにしてるの? マッシュ?」
そんなマッシュを面白そうにオレテガのぞき込んだ。
だが、ステージの脇でケツを突きあげるマッシュが面白かったのだろう。
オレテガは、急にノリノリで応援し始めた。
「マッシュ! あと少しよ! あと少し! オホホホ!」
オレテガの声援にガイヤも何かを察したようで、自分の作業を放り出してすぐさまマッシュの元に駆けつけてきた。
ステージの脇であと少しで落ちそうで落ちないマッシュ。
そんなマッシュの後ろでオレテガとガイヤがそわそわしている。
マッシュを押すべきか?
押さざるべきか?
イヤイヤこれは、マッシュが自分で落ちるのを待つのがおもしろい!
という事で、ガイヤもオレテガ同様にノリノリで応援し始めた。
「マッシュ! もう少しや!」
洗剤のザムに手を伸ばすマッシュは、ステージから落ちまいと必死に片方の手の爪をひっかける。
うーん!
手をさらに伸ばす!
しかし、届かない!
「とれん! とれんザム!」
マッシュが勢いよく腕を三倍速で振りだした。
ブンブン!
マッシュの後ろで、さらにニヤニヤとするオレテガとガイヤ。
あと少しで、顔面から落ちそうなのに、なかなか落ちない……
屁でも一発出ればその反動で落っこちること確実なのに!
「オホホホホ! マッシュ! 今こそあの技を!」
「そうや! 高濃度圧縮粒子を全面開放するんや!」
う~ん!
焦れる二人!
あと少し!
ホント! あと少しやねん!
ということで、オレテガのおちょぼ口とガイヤの大きな顔面が突き上げられたマッシュのケツにそっと近づき息を吹きかけ始めた。
フーフー
そんなガイヤたちの声援にマッシュが何か気が付いた。
――高濃度圧縮粒子?
しかも、先ほどからやけにケツがスースーするではないか。
――そうしゅか!
これはこいつらの策略!
――なら! 策略予報士としてとる策は!
「いや! もう‼ とらん!ザム!」
ブりゅりゅりゅりゅ……
拡
散
N
G 粒 子 砲 発 出!
「……高濃度粒子ではなくて、NG粒子がでてしもたっしゅ……」
どうやらマッシュのケツからNG粒子、それは、ここに正式名称を書くことすらNGである粒子が放出されたようである。
じわっとマッシュのズボンに黒いしみが広がっていく。
それどころか、裾からはNG粒子の茶色い一筋のビームが垂れ落ちていくではないか。
「オ―――NO!」
ガイヤとオルティガが悲鳴上げた。
共鳴する二つのダブルオー!
さきほどまで二人は至近距離でマッシュのケツに息を吹きかけていたのだ。
しかも、さらに強く息を吹きかけようと大きく深呼吸をしたところ。
そんな二人の顔面にNG粒子砲の香りが直撃したのだ。
全システムシャットダウン!
シグナルオールレッド!
反応しません!
泣き叫ぶオペレーター!
今まさに、オレテガとガイヤが苦悶の表情を浮かべながらステージの上へとひっくり返っていった。
ドシン!
大きな音と振動とともに二人の体が傾くステージの上に沈んだ。
ピクつく二人は動かない。いや、もう、動けない……
その様子を見たマッシュはにやりと笑う。
そしてすかさず頭を起こすと、すぐさまステージに四つん這いになり力強くマットをたたいた!
パン!
ツー!
スリー!
カン! カン! カン!
「ダブルケーオー! 俺のかちぃぃぃぃぃしゅ!」
そんな様子を、ステージの脇で歌の特訓をしながらタカトは白けた目で見ていた。
――マジでこいつらステージを完成させる気はあるんか?
そんなタカトの想いとは裏腹に、揺れるステージは度重なる衝撃に限界を迎えた。
ついに大きな音を立てて崩れ落ちる。
がしゃーん!
散らばったがれきの下でキメれン組の三人が目をクルクルとまわしていた。
タカトは思う。
――こいつら……マジで使えん……
第565話 ちゃうちゃうチャウチャウちゃうチャウシーより
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