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【遊戯王】ヴェールに包まれた謎の存在「韓亜版」について

みなさんは「韓亜版」と呼ばれるカードがあることをご存知ですか?

非常に流通量が少なく、ネット上で検索してもあまり情報が存在しないため、知ろうとしても知れない、そもそも認知すら出来ないという非常に謎に包まれた存在です。
今回はネット上に散見した情報や私自身の収集歴をもとに韓亜版について深掘りしていきます。


韓亜版とは

そもそも「韓亜版」というのは俗称であり、実態としてはアジア版の中にカテゴライズされます。
一般にアジア版とされるのは以下の3つです。

一 第2期〜第4期
   Legend of Blue Eyes White Dragon 
           ~ Enemy of Justice
    英語表記 通称「旧アジア版」
    Made in Japan
    「三」が発売されるまでは
    「アジア版」「亜版」と呼ばれていた
二 第6期
   Crimson Crisis
   Spellcaster's Command
   Raging Battle
    英語表記 通称「韓亜版」
    Made in Korea
    当初は「アジア版」「亜版」「特亜版」
    「英亜版」とさまざまな呼び方が
三 第8期〜
   Primal Origin 〜 最新弾(一部弾は例外)
    日本語表記 通称「アジア版」「日亜版」
    Made in Korea
    「一」は「旧アジア版」と呼ばれるように

韓亜版は言語表記に旧アジア版と同じである「〇〇-AE×××」が使用されていたため、発売当初は当時の旧アジア版と同様の呼称である「アジア版」「亜版」と呼ばれていました。
ただ、蓋を開けてみると旧アジア版とは異なる韓国生産であり、紙質も異なるものであったため、これは明確に旧アジア版とは異なるものであると区別をつけるために「韓亜版」と呼ばれるようになりました。
これと同様に「三」の日本語表記のアジア版のことを「日亜版」と呼ぶこともあります。

ちなみにKONAMIも「一」のアジア版(旧アジア版)のことを"Asia English"と定義していて、当時のヴァリュアブルブックでもアジア版として紹介されるなど公式の呼び名として明確に日版とは異なるものとして区別していることがわかります。
それに対して韓亜版は同じAEという言語表記を用いているにも関わらず、公式的には"Asia English"には含まれないそうで…。どうして…。

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韓亜版の特徴

韓亜版の特徴は以下の4点です。

・英語表記で裏面もTCGと一緒(=ぱっと見はTCGと変わらない)
・収録内容とレアリティはOCGと一緒(封入率も一緒なのかは不明)
・パックの大きさや封入枚数はOCGと一緒
・BOXの大きさも恐らくOCGと一緒 ※未確定情報

韓亜版はOCGがそっくりそのままTCG仕様になって発売されたものと考えるとわかりやすい気がします。

OCGで光っているカードはTCGでもだいたい光っているため、英語表記の最高レアリティでデッキを組もうとしている人にとって韓亜版でないといけない…という場面はほぼほぼありませんでした。
それでも例外というものは存在していて、TCGでレアリティ格下げとなったカードは韓亜版でないと光らなかったため、そういったカードは当時から需要が高かったように思います。

韓亜版でないと光らなかった代表格といえば「BF-暁のシロッコ」です。
(なお、1年半後 Turbo Pack:Booster Four にてTCGでも同じスーパーレアが登場したため、天下は長く続きませんでした。)

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また、韓亜版は生産時期が半年に満たないという非常に短命で終わったシリーズであり、以下の3商品しか発売されていません。儚い…。

・Crimson Crisis
  2009年4月16日発売
  型番はCRMS-AE
・Structure Deck : Spellcaster's Command
  2009年6月11日発売
  型番はSD16-AE
・Raging Battle
  2009年8月6日発売
  型番はRGBT-AE

各商品について詳しく見ていきましょう。


Crimson Crisis

2009年4月16日発売、型番はCRMS-AE

Yu-Gi-Oh! 5D's OCG CRIMSON CRISIS [クリムゾン・クライシス] ASIA ENGLISH 1st EDITION

韓亜版の記念すべき第一弾。BF初収録のパックであり、問題児DDBも収録。
韓亜版の中で一番多く生産されたのか、ボックス・シングルともに国内でも取引歴が(相対的に)多く残っている。

大阪・遊戯屋さん

そして日本には未開封BOXを所持されている方がいらっしゃる…
遊戯王界の最重要文化財です…。
※掲載許可をいただいています。

未開封パックを持っている人もいるとか

収録リストについては以下をご参照ください。

Yu-Gi-Oh! Wiki


Structure Deck : Spellcaster's Command

2009年6月11日発売、型番はSD16-AE

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韓亜版唯一のストラクチャーデッキ
国内で若干の取引履歴が残るものの、流通はほぼ皆無。
恐らくシングルカードの入手が一番難しい。

こちらも日本に未開封を所持している猛者がいる様子


2022年8月30日 追記

どうやらSD16には未開封が2種類あるらしいということが発覚しました。

たしかにこの時期の日亜版(日本製造、台湾販売)にも同じような警告表示があるので、韓亜版が台湾で売られていれば必然…ではあるもののネット上では知る由も無かった発見なので一人興奮してしまいました!


2022年8月31日 追記

そしてさらなる情報が…

あれもしかしてSD16の未開封いっぱいある…?

裏面の警告表示は印刷ではなく、シールとのこと。
そういった意味では特に仕様の差はなく、単純に後からシールを貼ったか貼ってないかの違いのようです。
シールの貼り方も雑さがあっていいですね(変態)
※掲載許可をいただいています。


収録リストについては以下をご参照ください。

Yu-Gi-Oh! Wiki


Raging Battle

2009年8月6日発売、型番はRGBT-AE

画像5

画像を見てちょっと違和感を感じた人もいるはず。
そう、韓亜版のページは存在するものの発売日等の情報は日本語版(日亜版)のものとまったく一緒。突如としてKONAMIのやる気がなくなってしまったのか…。
これを最後に韓亜版は廃版となりました。

RGBTについては地縛神やパワーツールドラゴンといった人気カードだけでなく、深海のディーヴァや黒い旋風といった非常に強力なカードが収録されています。
ただ、生産量自体が少ないのか、CRMSと比べると流通量は少ないように感じます。そのため、韓亜版のシングルカード中でも取引金額が高くなる傾向にあります。

こちらは残念ながら未開封BOXや未開封パックの所持者が現れていません…。この世に存在しているのでしょうか。

収録リストについては以下をご参照ください。

Yu-Gi-Oh! Wiki


韓亜版のレアリティについて

前述の通り、韓亜版のレアリティについてはOCGに準拠しているため、以下のレアリティが存在しています。

・ホログラフィックレア(全2種)
・アルティメットレア(全10種)
・ウルトラレア(全11種)
・スーパーレア(全20種)
・レア(字レア)(全36種)
・ノーマルレア(全8種)
・ノーマル(全124種)
計211種 / 199カード
 ※CRMS:86種 / 80カード
    SD16:39種 / 39カード
    RGBT:86種 / 80カード

基本的にはどのレアリティも流通量が少なく、入手が非常に困難であることに変わりはありませんが、その中でも特にホログラフィックレアは群を抜いて希少な幻のカードになります。
持っている人は片手で数えるほどしかいないと思われたのですが…

※掲載許可をいただいています。

なんと日本にも幻のカードを2枚お持ちの方が…歴史的瞬間です。誇張なしに。遊戯王にもお金で買えないカードはいくつか存在していますが、パック産のカードでそれに当てはまるのはこの2枚だけだと思います…。本当にとんでもない方がいるもんだ!!!


なぜ韓亜版は生まれたのか

前述の通り、韓亜版の生産時期は半年に満たず、非常に短命でした。
にも関わらずなぜ韓亜版という存在は生まれたのでしょうか?
正確なソースは一切ありませんが、ここでは私なりの考察をしたいと思います。

結論から申し上げると

UpperDeck事件による煽り

と私は考えています。

遊戯王の海外版についてはKONAMIがUpperDeck社へ委託をして、販売を行なっていました。ただ、UpperDeck社の数々の悪行により、KONAMIはUpperDeckへの業務委託を2008年12月11日をもって解消しています。
UpperDeckが販路を持っていたのはTCG圏であり、OCG圏(アジア一帯)についてはKONAMIの管轄であったため、OCGへの影響は大きくないようにも思いますが、事件を受けて遊戯王全体の事業戦略の見直しを図らねばならなかったのは事実だと思います。
事業戦略を見直す中で、事件の渦中であるTCG圏の立て直しは急務となりますが、同時にOCG圏での売り上げ拡充を図るためにアジア版の復活を目指したのではないかと考えています。


なぜ韓亜版は短命だったのか

上記の背景をもとに2009年4月にCrimson Crisisが発売されました。
ただ、韓亜版については流通量が非常に少ないということが当時から言われていて、売り上げ拡充を目指すという先の考察とは矛盾が生じます。
それは、なぜなのか。

韓亜版は市場調査として出された商品なのではないか?

と私は考えています。

そもそも韓亜版は韓国生産になりますが、韓国語版も発売がされているため、韓亜版に力を入れるということは韓国語版の生産ラインを潰してしまうことに繋がります。
また、アジア版は第4期で一度発売を中止した商品です。中止したには理由があるはずで、気まぐれで復活させるわけにはいきません。
そういった点も踏まえて市場調査の目的でごく少数の韓亜版が生産されたのではないでしょうか。
そして調査の結果は、、、、、。


最後に

韓亜版についてはまだまだわからないことがいっぱいあります。
いまだにヴェールがかかったままの存在です。
もし、ここに記載のない情報をお持ちの方がいらっしゃれば、ご助言いただけますと幸いです。

このnoteによって韓亜版の存在に、韓亜版の魅力に気がつく方が一人でも増えますように。

最終更新:2022年8月30日


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