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Take-31:映画『すずめの戸締まり(2022)』は面白かったのか?──“終わらせる物語”とは?

【この映画のキャッチコピー】
『行ってきます。』

【作品の舞台】
 主人公、岩戸鈴芽いわとすずめが住む門波町となみちょうのモデルとなったのは宮崎県日南市。すずめと扉を探す草太が初めて出会ったのが油津港周辺。

映画『すずめの戸締まり』のワンシーン
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 すずめが最初の戸締まりをした場所は大分県にある旧豊後森機関庫がモデル。

映画『すずめの戸締まり』のワンシーン
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 また、草太を追いかけてすずめが入り込んだ温泉街のモデルが大分県由布市湯布院町にある湯平温泉。

大分県の湯平温泉
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映画『すずめの戸締まり』のワンシーン
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 四国に渡るためフェリーに乗り込んだのが佐賀県にある佐賀関港。

佐賀県佐賀関港
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 フェリーで愛媛県に渡りJR八幡浜駅から電車に乗り関川駅に降り立ちます。こうしてみるとやはりアニメにしては珍しく、大規模なロードムービーですねw

 ルミが働くスナックのある「九宮筋商店街」 
は兵庫県神戸市にある東山商店街・二宮商店街がモデル。新神戸駅から新幹線に乗り込んだすずめと草太は、今度は東京駅から御茶ノ水駅、そして千代田区、皇居の下にある牛ヶ淵が舞台となります。

映画『すずめの戸締まり』のワンシーン
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【上映時間】121分

映画『すずめの戸締まり』のワンシーン
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 皆様、よき映画ライフをお過ごしでしょうか?
 N市の野良猫、ペイザンヌでございます。

 こちら『すずめの戸締まり』は4/5、金曜ロードショーにて地上波初放映されたみたいなので今回取り上げてみました。
 
 ペイザンヌは劇場にて初日に観ましたが、あまり手放しには「褒め意見」が書けそうになかったので少し寝かせて感想を書いたのを覚えております。

 とはいえ十分楽しめたんですよ。休日に映画でも見るかな〜って感じならこれほど良い映画もないってなもんです。

 だからこそ逆に重い部分がち〜と余計に感じたかもな……てのは少しあったかもです。なんというか、所謂“テーマテーマしてる部分”というか。

 観てる間、自分の中の感情の流れが細田守監督の『竜とそばかすの姫(2021)』を観ていた時と、寸分違わぬ、全く同じ流れだったな、と鑑賞直後に思っておりました。

映画『龍とそばかすの姫』のワンシーン
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 こちらも前半がすっげぇイイ!……のに……後半が「裏切ってくれない」といいますか。前半の気持ちいいあっけらかんさが、後半やや重くなってきます。

 こうくるとこう終わるよな……と観客がどうしても途中で気付いちゃう──そこも似てました。

 あとはその場面を、ひたすら待つだけ。
     
 公開当時、後半が退屈って意見をよく見かけたのですが、ここは少し自分も同意見で、その辺りが大きいと思いましたね。もう一点「あっ」という裏切りがほしいです。

 前半のロードムービーぽいのは好きですね!
 草太が「壊れた椅子」にされちゃうのもどこか童話っぽいし、あの辺は純粋にワクワクしてました♪

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 ただ作ってる側が「理解してもらえるかな?」と不安になってしまうのか、説明と言葉が少し多すぎな気もします。

「好きよ好き好きっ!」て言われると、わかったよ、わかったよとなり「逆にホントに好きなんかな?」──と、頭を傾げることもあるじゃないすか?

 全部言わなくてもわかるよと。
 もちっとだけ観客を信じてほしかった気もしないではないんスよね😅

映画『すずめの戸締まり』のワンシーン
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「終わらせる物語」もあっていい──公開前、監督がインタビューで応えていたその一言が凄く気になり、それがペイザンヌにとっては最初の鑑賞意欲、観たいと思った動機でした。ただ、鑑賞後、自分が頭で描いてたものとは少しズレがあったなというのが本音です。良い悪いでなく「あ、そっちの方なのね」というズレです。
 ボクはどちらかというと、人生の節目になるような「少年時代や少女時代」「恋」「夢」または「後悔」「甘え」などといった、そういうものを自分自身の手によって「終わらせる」──そういったものを勝手に頭の中で期待してた部分がありましたので。はい、単に思い込みですw
  おそらく自分がその時、そんな節目だったのでそういうものを欲してたんだと思います。

映画『すずめの戸締まり』のワンシーン
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 東日本大震災の被災者の方たちにエールを送りたい純粋さは凄く感じたけれど「現地で体験してないのに綺麗にまとめないで」という少し辛辣な意見も当時ネットで取り上げられてたんですよね。そこまで言わんでもええやんとも思いましたが「綺麗すぎる」という点は少しわからんでもない……かなと?

 とはいえ個人的にいいなと思うのは、決してその「災害うんぬん」というポイントではなく、我がねぐら、長崎もどんどん人が減っておりますので他人事でなく、過疎化していく町──「場所を終わらせる」ことがうまく描かれていた点なんですよね。一部廃墟化していく街がなんとも切なく映り、そこにはかなり共感が持てました。

 あ、あと、ストーリーには関係ないけど九州弁で「猫」って言うとき──確かに「ねこ」の「こ」の部分にアクセントがくるんだな──って改めて気づいたりもw

映画『すずめの戸締まり』のワンシーン
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 ジャパニメーションはこの『すずめの戸締まり』だけでなく、もっと後半をいい意味で裏切ってほしい気がしますな──そう思うことがとかく多い気がします。せっかく映像が吸い込まれるほど綺麗なんだしね♪

 ちなみに新海誠監督『君の名は。(2016)』は過去に長めの感想を書いたことがありますが(こちらnoteの方にはまだ載せてません。いずれまた)あ〜れ〜は〜本当にラストで「裏切ってくれたな」と思った一本です(もちろん良い意味で)。なのでかなり好きな方ですね。


「飲みすぎたのは〜あなたのせいよ〜」「よ…………弱い女の〜」

映画『すずめの戸締まり』のワンシーン
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『すずめの戸締まり』のカラオケシーン。歌い出しの入りを間違える爺さんが絶妙で、あのシーンだけは何気に声出して劇場で笑っちまったのも覚えてますね、そういやw

 では、また次回に!

『すずめの戸締まり』

『君の名は。』

『竜とそばかすの姫』


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