円陣

ネガティブな意見を言う人を、敵にしていないか?

 連投175日目。

 パートナーとは、意見や考え方が一致していると、ゴールにたどり着くためのスピードも早くなるし、問題が発覚しても即座に話し合いがもたれ、建設的に解決していけますね。

 ところが、チームの中にネガティブな意見を言う人がいると、やりづらさを感じる人も少なくないでしょう。

・いくら言ったってどうせ会社は取り合ってもらえないしね
・また新しいことを始めようっていうけど、業務量が増えて困るよね
・上層部は数字ばかりで、現場の実態をなにもわかろうとしないよね

 あなたが中間管理職なら、社員からこうした声があがっていると、やりづらいですね。
 会社の新しい方針を伝えても不平不満が出てきそうだし、そんな社員の不満を解消するために提案する業務改善にさえもネガティブな反応が起きそうだしね。

 それに、なんだかそんな想像を膨らませていると、ちょっと声をかけるのもかけづらくなって、日によっては、会社にいくのもちょっと憂鬱になってきたりもする・・・。

 だから、ネガティブな意見を言う人を、「対処が必要な相手」に思えてくるし、それが高じれば「敵」にさえ思えてくる場合もあるでしょう。会議始まる時点で、ふてくされた態度をとっているように見えたり、挨拶しても返事が返ってこなかったりしたら、なおさらです。

 ただ、ネガティブな意見を言う人はやりにくい相手に感じるかもしれませんが、確かにそのチームの中で、そういう意見を持つ人がいるという現実は否定のしようがありません。仮に、どんなに受け入れがたくてやりづらい意見であったとしても、その意見を持つ人が現れるコンテクスト(器)がそこにあるーという見方ができますからね。

 だからこそ、ネガティブな意見は、ちょっと面倒に感じるかもしれないし、潰したくなる意見かもしれないけれど、それが起きてくる背景を探ることで、見えてくることが必ずあります。

 例えば、「いくら言ったってどうせ会社は取り合ってもらえないしね」という意見の背景には、過去の提案がことごとく取り合ってもらえなかったという体験があるのかもしれません。そうすると、提案が通るために必要な準備や観点がしっかり整っていたかどうか?を振り返り、次の提案を通すためのポイントを紡ぎ出すこともできるでしょう。

 あるいは、「また新しいことを始めようっていうけど、業務量が増えて困るよね」という意見の背景には、業務の効率化を図れずにいる閉塞感があるのかもしれません。それなら、その閉塞感を打開するような策を検討し、一つでも変化を起こすことから始める覚悟を示すこともできるでしょう。

 また、「上層部は数字ばかりで、現場の実態をなにもわかろうとしないよね」という意見の背景には、上層部の方針をうまく伝達できていない中間管理職のプレゼンに問題があるのかもしれないし、現実に予算を達成するだけの組織がつくれていないのかもしれません。それなら、それらを一つ一つ検証していくことが必要でしょう。

 いずれにしても、ネガティブな意見は、組織が前進していく上での「警鐘」とも捉えることができます。自分がいる組織ですから、組織を後退させよう、停滞させようとか、潰してやろうなんてことを狙っているわけでもないでしょうからね。

 もちろん、変化を嫌ってネガティブな意見を言う人もいますが、それをそう扱えば「敵」にみえてくるし、「敵」に見えれば、潰すか、排除するか、服従させるか、みたいな発想しかでてきませんからね。

 ネガティブな意見が示している“不安”を“安心”に、“懸念を“安堵”に、“恐れを“希望”に、“あきらめ”を“信頼”に変換する方向のコミュニケーションがあれば、ネガティブな意見を言う人を最強のパートナーにすることだって可能です。

 そこにネガティブな意見があるなら、「敵」として戦うか、「パートナー」として味方につけるかは、自由に選べるということだけは、心に留めておいてくださいね。
    
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