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進撃のアキタブキ

2024.05.02
ぺぎんの日記#32
「進撃のアキタブキ」


数年前、この地に悪魔が降り立った。赤茶の細長い体に毛むくじゃらの白い翼を携えて。そっと降り立った悪魔はそこを生涯永住の地と決め、地面深くに根を張った。その日以来、悪魔は毎年のように兄弟を生み出し続けた。悪魔とその兄弟は周辺の地から栄養を吸い上げ、徐々に勢力を拡大していった。
そしてついに今年、魔の手はチューリップにまで伸びてきたのであった。
(書きたかっただけ)

私の家には小さな家庭菜園の畑がある。毎年ジャガイモやトマトを植えて生活費の節約を図っている畑だ。とは言っても実用的なものばかり植えても面白くないので、チューリップやマリーゴールドなどの花も畑の端っこの方に植えている。

で、今回書きたいのはその畑に植えたチューリップと、勝手に生えてきたアキタブキの話。

【基礎情報】
チューリップ:
球根植物。多年草(放っておけば次の年も咲く)。
アキタブキ:
白い綿毛の種を飛ばす。地下茎で増殖する(地下に根を張り巡らせて、そこら一体に自分のクローンを生やす)。多年草。花は「フキノトウ」と呼ばれ、山菜として食べられる。雌雄異株である。

私の畑に何年も前に植えたチューリップ。毎年綺麗な花を咲かすのだけれど、今年は増殖するアキタブキの攻撃を食らっている。

我が家の畑にて。
トトロにも出てきた、よく見る形のヤツがフキの葉。
黄緑色で花を咲かせているのがフキノトウ。
これら全てがひとつの株で、クローン。

数年前、種が電柱の付近に落ちたらしく、電柱の傍からアキタブキが生えてきた。最初は「こんなところまで種が飛んできたんだね〜。近くのは生えてないもんね〜」なんて笑いながら話していた。でも今年、その勢力が一気に拡大して、チューリップを飲み込んだ。つまりはアキタブキの地下茎がどんどんとチューリップ側に伸びてきたのだ。

別に実害があるわけでは無いのだけれど、見栄えが悪いし、なんかチューリップも可哀想に思えてくる。じゃあアキタブキを抜いてしまおうかという話になるのだけれど、何せ根がチューリップの下を通っているのだ。少しでも根を残せばもう一度生えてくるし、かといって根を文字通り根こそぎ取ろうとすると、それはすなわち一緒に生えているチューリップの死を表す。チューリップごと抜かないと地下茎が処理できないのだ。

いやぁどうしたものか。このまま放っておけば本命の畑の方にも侵入しかねない。唯一希望があるとすれば、アキタブキが雌雄異株であるという点。今畑に生えているものが雄なのか雌なのかは分からないが、とにかく異性が近くに生えてくれない限り、新たな株が生えることは無いのだ。おそらくこの株は、一人でクローンを増やし続け、子孫を残せないまま死んでいくだろう。なんかそう考えると情みたいなものも湧いてくるが、心を鬼にして対処せねばならない。

うちの畑に生えているアキタブキへ。警告。それ以上畑側に進撃して来ないでください。もしこれ以上地下茎を伸ばされた場合は、掘り起こしてちょん切るなど、適正な対処を取らせていただきます。

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