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隠キャがすーぐ好意を勘違いすることについて、隠キャ当事者が考える。

 オッス、オラ、平成の理系隠キャ!

 朱に染まれば赤くなる?
 郷に入ってはなんとやら?
 歴代の所属コミュニティも、男尊女卑のごった煮みたいなヲタク×理系=ド隠キャ集団であった。

 …と言っても、当時は別段隠キャ集団だとは思っていなかった。髪にワックスをつけたり、ニューバランスのスニーカー、keenのサンダル履いてる男も2、3名はいたからだ(今思うと、この基準の低さが既に隠キャすぎる)。その他大多数の男性は、寝癖がついたまま、部屋干しの生臭い匂いがする謎の英字が書かれたTシャツを着ていたが、男という生き物は通常そういうもの、見た目に気を遣っている男の方が天然記念物並みに珍しいものなのだと思い込んでいた。

 それが、「エッッッ、世の中の普通ってこうなん…!?!?」と、目から鱗がボンロボンロ落ちたのは、20代半ば、就職してからのこと。

 とにかく、同期の男たちが陽の者だったのだ。

 床屋ではなく美容院に通い、その上毎日ヘアセットし、パルコやZOZOTOWNで、自分の金で!服を買う男たち。
パッ パタゴニア………!!!!!!!!パタゴニアのフリースを、マジで着てる奴がいる………!!!!!インスタグラマー以外で初めて見たッッ
 ニューバランスのスニーカーを履いているだけで「あいつはめっちゃおしゃれ!モデルか何かか?」と称えられる集団にいた自分にとっては、彼らは正におとぎ話の世界の住人だった。

 そして、彼らの陽な部分は見た目だけでなかった……。

とにかく、とにかくめちゃくちゃ紳士で優しいのである。

 先日、たまたま同期の一人とお茶する機会があった。

「はいこれお土産〜」
「えっそんな、いいよいいよ…!私何にも買って来てないし…」
「いや実はね、先週よそで配る予定だったんだけど延期になっちゃって。その時どっさり買ってしまってたから、むしろもらってくれた方が助かる!(笑)
相手に気を遣わせないための、このフォロー…!
カフェのドリンクも、彼は当然のように奢ってくれた。
「え?これくらい全然いいよ〜。忙しいのに、わざわざ時間作って来てくれたんだから」

ありとあらゆる行動の端々に、優しさと気遣いがダダ漏れてしまっている。

私の方が前を歩いているのに、わざわざ後ろから手を伸ばしてドアを押さえててくれるところとか。
エレベーターに乗るときは、必ずさりげなく後ろに立ってくれるところとか…。

 しかもそれらの振る舞いに、私に好かれたいとか、男としてカッコイイところ見せたいとか、そういう下心が一才感じられない。金銭的にも性的も、押し付けがましさが微塵もないのである。

……うううう、うわああああああぁ。

 お互い既婚にも関わらず、内心こんなに「うわあああ」ってなるんだから、お互いフリーだったら…私、絶ッッッ対勘違いしてる。

「こいつ、私のこと好きなんか?」と。

 優しさとかレディファーストの基準が、私のそれと彼のそれとで天と地ほど差があるせいだ。
 陽の彼らの振る舞いは、私的には「そんな少女漫画アクション、愛する女にしかしないでしょ…!」レベルの神・紳士アクション。それを、職場の同期レベルの浅い関係でも爽やかにやってのけるんだ、奴ら…グハッ。

彼らにとっては人間として当たり前の振る舞いかも知れないが、私にとっては全然当たり前ではない。これまでのコミュニティ基準でいえば最最最上級にイケてる男が、これまでの人生で一番優しく丁重に扱ってくれるのだ。そんなん、舞い上がるし、好きになってしまうやろがい。

 しかしこれって、裏を返すと私にとっての「“普通の男”とは、身なりに気を使わず、思いやりもない上に、ケチな生物である」ってことだよね…。
 だから、普通じゃない男=身なりに気を遣っていて、紳士対応で、気前がいい男性が現れると、一挙手一投足にいちいち反応して、舞い上がって「はわわわわ。。」ってなるんだもんね…?

 うーん、思いがけず男性への苦手意識問題につながってきたぞ、この話…。
 そりゃ、身なりに気を使わず、思いやりもなくてケチな人、わざわざ好きになるわけないもん。男性=そういうもの!って潜在的に思い込んじゃっているとすると、男性全体に苦手意識があるのも納得できる。
 しかし、私のこの男性に対する歪んだバイアスって、一体どこで生まれたものなんだろう?これまでの環境で出会った男性が癖強すぎたのか?そんなに特異な環境で育ったつもりはないんだけど…。

 なお、同期ガールズは同じようなシチュでも極々自然に同期ボーイズの厚意を受け入れていて、「アッ普通ってそういう反応なの…?」と喉がヒュッとなったほろ苦い思い出…。この集団、もしかして隠キャは私だけか?

 はー…。私だって、陽のオトコの優しさを恐縮せずに受け取れる、陽の女として青春を謳歌したかったヨォ!!!!!(ロストワンの慟哭)


おしまい。

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