見出し画像

変異株覇権レース(5)        

 変異株覇権レース(1~5)は、今日が最終回の予定です。前回例に倣って、2014/1/21識別データベース、変異株エリスとその後の患者数経過、各期間の国内変異株数上位順の推移、の3図表をまとめて載せます。
 識別データベースは、全経過を示す表では文字が小さくなって見ずらくなり、今日から対象を定点観測の20週目(2023/10/~2023/10/8)以降の16
週と少なくして表1としました。場合によっては全経過を俯瞰する必要もありますので、状況に応じて定点観測開始からのデータベースに戻ることもある予定です。

                   表1:2024/1/21識別データベース(20~35週)

*赤数字は前週患者数より増えたか等しかったことを表します。
*20週目は2023/10/1~2023/10/8の定点観測下による平均患者数です。
*グラフ左端列は都道府県名、右端列は都道府県平均患者数。最下段行は週平均患者数、
*都道府県名は人口順に下降。赤は大都市圏、青は中都市圏、黒は小都市圏を表します。

                  図1:変異株エリスとその後の患者数経過
 
表1は、図1左のエリス波下降部分から右端までとなります。表2によれば、2024/1/10現在未だピロラ波は覇権レースを制してはいませんが、図1右端の赤の線グラフは急上昇しています。来るべきそのピークは、エリス波を上回りそうな勢いを感じます。

*全患者数と都市規模別患者数の両スケールは、左右グラフで同じです。
*左グラフ下方矢印棒線より右端部分が表1に相当します。
*覇権レースは、JN.1株が国内変異株首座を占めた時点でピロラ感染となります。

      表2:各期間の国内変異株数上位順の推移

*JN.1型変異株が1位を占めない限り、ピロラ波の覇権確率には至らずと判断しています。
*もしかして、HK.3型変異株はJN.1型と同じくらいの感染力があった可能性があります。 

 表2に示した覇権レースに、次トップを狙う変異株群の激しい争いを想像しています。以前ならいよいよピロラ第10波かと喧しいマスコミですが、最近は醒めたスープのような扱いです。当シリーズでも、前週(2024年1月中旬)辺りに日本もピロラ波ではと思っていたのですが予測は外れました。例によって都健安研センターの変異株ニュースを要約しますと(表2)、JN.1型は、HK.3型の後塵を拝し、おまけにHK.3型の子孫であるHK.3.2型までが3位に浮上してきました。けれども、東京都ではJN.1型が変異株第1位となり、HN.3型は後退しているようですから、ピロラ波は間近の感じです。

 これも健安研センターによる世界の変異株紹介からですが、中国のピロラ波も、HN.3型、HN.3.2型によってブロックされているようです。日本や中国、そして韓国も、JN.1型が変異株第1位にならない限りピロラ波の覇権は未だということになります。まさかHN.3型とJN.1型の二頭体制にはなるまいと思っていますが、詳報は次回の報国待ちということになります。

 それにしても、中国系変異株 HK.3型 の感染力は、想定外です。ニュースやネットで、同国内の2023年秋~冬にかけて焼却場が満杯ニュースを見聞きしていたので、なるほどと思い返しています。厳しい情報統制で知られる同国のことですから真偽のほどは不明ですが、それにしても肝心要の情報量が驚くほど少ない国であることは、期間内ゲノム解析報告数を見ても確かです。そんなことが己に利するとは思えないのですが、こればかりは仕方ありません。中国正月が間近で、日本を訪れる同国人も多いと聞きますが、お互いに気をつけましょうよね。
                  
                   2024/1/30
                   精神科 木暮龍雄















この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?