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現代の本当の悪党はきっとこういう奴ら 韓国映画【MASTER/マスター】

2016年公開作品(日本公開は2017年)。韓国では714万人の観客動員数を記録したというから大ヒットですね。とにかくイ・ビョンホンの悪者っぷりが最高!彼はマルチ商法の会長で、演説が異常に上手い稀代の詐欺師で、人を騙すことになんら罪悪感を持たず、際限のない金への欲求を満たそうとする大悪党なのです。ロマンスグレーと黒光った肌がこの役にピッタリでした。

あらすじは、映画.comさんのを引用します。
「マグニフィセント・セブン」のイ・ビョンホンが極悪非道なカリスマ詐欺師役を演じたクライムアクション。韓国犯罪史上最大規模の金融投資詐欺事件と言われる実在の「チョ・ヒパル詐欺事件」を題材に、「監視者たち」のチョ・ウィソク監督がメガホンをとった。金融投資会社の会長をつとめるチンは華麗なテクニックで多額の投資金を集めて裏金を増やし、権力者たちに賄賂をばらまいてビジネスを拡大してきた。チン会長の悪行を追う知能犯罪捜査班のキム・ジェミョン刑事は、チンの側近である天才ハッカー、パク・ジャングンに司法取引を持ちかける。しかし裏切り者の存在を察知したチン会長は、大金を持って行方をくらませてしまう。1年後、チン会長の遺体が海外で発見されたというニュースが報道されるが……。「華麗なるリベンジ」のカン・ドンウォンがキム刑事役、「二十歳」のキム・ウビンが天才ハッカー役を演じる。

イ・ビョンホン(詐欺師)、カン・ドンウォン(警察)と正統派二大俳優の共演だけでもすごいのに、とにかくストーリーが秀逸。投資詐欺事件と一括りにするにはあまりにも大きすぎる犯罪が行われていきます。会員を騙して金銭を奪うだけでなく、権力者たちに巨額の賄賂を渡して法律まで変えさせて事業を成立させようとするのとか、もう実際に韓国でも日本でも起こっていそうで、はらわたが煮えくり返りそうになりました。

この映画でイ・ビョンホンがどれほど演技の上手い役者なのか思い知られたし、このにっくき悪党役が新境地になったんだろうなと感心してしまうのですが、この映画を一番面白くしてくれたのは、実はイ・ビョンホンの部下の天才ハッカー役である3番目の男、キム・ウビンだと思うのです。

刑事であるカン・ドンウォンに司法取引を持ち掛けられ(というか半ば脅し)、キム・ウビンはイ・ビョンホンの情報を渡そうとするのですが、その経緯での子悪党ぶりがまた面白くて。本当に警察に協力するのか、彼の裏切りはイ・ビョンホンにバレているのかいないのかとハラハラさせられるし、同僚でもあり友達でもある眼鏡君とのコンビっぷりもいい感じなのです。
会社のアジトでもある眼鏡君の居住地に1年ぶりに出向いた際に、「お土産持ってけよ」と持たされたものが大瓶に入ったハチミツって(笑)。それを文句を言いながら持って帰るキム・ウビンも笑えます。

キム・ウビンの愛嬌とイビョンホンの悪党っぷりがこの映画をけん引したと思います。もちろんカン・ドンウォンも、揺るぎない正義を安定感のある演技で表現していて良かったです。

後半はこれまた展開がガラリと変わるのですが、舞台になったマニアの風景も圧巻だったし、アクションシーンもふんだんに組み込まれてオーシャンズ11のような展開もあったり、脇役のキャラもさすがで(オ・ダルスとか)、これこそ映画!的な、めちゃくちゃ楽しい映画でした。

韓国ノワールという括りの映画ではないので最後にカタルシスはないけれど、派手な映画を観たい時におススメの一本です。

極私的好き度 ★★★★★★★★(8)



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