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昨夜の失言

夏の曙、6時12分。家族は寝ている

二度寝をしたらさぞ気持ちいいことだろう。

しかし今日はそんなことは出来ない。

あの長女(3歳)が二度寝を許すばずがない。

心の中で「よしっ」と気合いを入れ立ち上がる。


足音を立てずに支度をする。慣れたものだ。

デキる父の定義に「生活音の無さ」は欠かせない。


ボサボサの寝癖を「santamonica」の刺繍が入った

浅めのキャップを被り、無かったことにする。

車の鍵を音を立てずに取り、ドアも静かに閉める。


目的地までは片道7分程。寝起きには遠く感じる。

「なんであんなことを言ってしまったのだろう」

道中、昨夜の失言を悔やむ。だが仕方ない。

言ったことは守るパパでありたい。


目的地に着いた。

「ハッピーセットで」

「パンケーキとハッシュポテトと〜、」

「ドリンクはオレンジで。」

妻と自分のメニューも、選ぶ。

朝から元気の良い声と商品を受け取り、家に帰る。

家に着く。誰も起きていない。


父は娘のリアクションが楽しみで仕方がない。

5分ほどして、長女が起きてきた。

こんな日に限って、死ぬほど不機嫌ではないか。


私が必死に言う「朝マック!!!これ!!」


「ハッピーなおもちゃ」の袋を開けろと娘が言う。


私はそれを0.2秒で引きちぎる。渡す。


様子を伺う。少し嬉しそうだ。よかった。

事なきを得た。

大好きなハッシュポテトも両手で食べている。

ママも次女(0歳)を抱っこしながら微笑む。


「マクドナルド、ありがとう。」「I'm lovin'it」


「明日、たまには朝マックにしようぜ〜!」

昨日のあれは失言では無かった。早起きが出来た。

風呂に入り髭を剃る。


1日が始まる。











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