コミケの戦利品を紹介していく4 C99

戦場におけるストレスコントロールの本

2000年代に起きたイラク戦争時に作成された米軍のストレスコントロールマニュアルを翻訳したもの。

命を脅かされるその戦場で、兵士達が精神的ストレスが蓄積されれば、様々な不都合な行動を起こしてしまう。それを我慢しろというのは、無茶な精神論であるし、しかし、この状況を見過ごしておく訳にもいかない。

太平洋戦争時の米軍も日本軍との戦いの中でフィードバックを受け取り、少しずつ戦い方を変えてきた。特別な人材や精神論に頼らず、結果にたどり着く合理的な方法を常に模索してきた。

ストレスによる反応と識別、そして、予防と管理にコントロール。部隊指揮官のアクションや睡眠不足による影響や対処など、ストレスの対処だけでなく起こるであろうストレスの予防法についても、スケジュールの立て方やカフェインの利用法などにも事細かに対応している。

このストレスコントロールマニュアルは、平時の我々にも活用できる箇所は少なくないだろう。自分たちも、生き抜くために社会の中で戦っているのだし、ストレスと感じている人がなんと多いことか。


サワラケットの雪 フィンシュハーフェンの朝日

1943年9月、ニューギニアの東にあるラエで米英軍に包囲されていた日本海軍は4300メートルもの高さのあるサワラケット山脈を越える撤退作戦を敢行する。赤道の近くとはいえ、4300メートルは富士山よりも高い。30日の行程を10日分の食料で乗り越える。

サワラケット山脈を単身で登頂、疲労困憊の中で出会った兵士達は食料を求めて仲間に刃を向ける


米軍の攻撃をくぐり抜け、足を失いながらラエにたどり着くも、
山越えの撤退作戦が始まるところだった

同撤退作戦において、負傷兵を一緒に連れて山を越えて行くことは不可能に近い。1人の負傷兵を連れて行くのに4人の兵士が必要になるから。負傷兵は自決用の手榴弾を渡される。しかし、鈴木元明参謀は残された大発動艇ほかをかき集めて、米軍に包囲された海のど真ん中を夜のうちに脱出する大胆な作戦を計画した。

物量で圧倒的に負けていた日本軍の唯一の撤退戦における勝利。こういう戦史ものは、テキストや記録にはあってもコミカライズにはなかなかならないので、貴重な作品だ。コミカライズがあれば、戦史クラスタの入り口にもなるから、もっとこういう作品が増えてほしいと思う。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?