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変わりゆく「あたりまえ」。女だから、男だからではなく、“私だから”の時代へ

日本のジェンダーギャップ

日本にある男女の格差は、社会やそこで生きる私たちに大きな影響を及ぼしています。男性と女性の給与水準を比較したとき、男性を100とすると、女性の給与は74.3(令和2年度のもの。令和3年度男女共同参画白書より)。

この賃金格差は、様々な選択に影響を及ぼします。一例として育児休業取得にかかわる選択を見てみましょう。下図は育児休業の男女別取得率です。

育児休業は、女性男性を問わず子どもの養育のために仕事を休める制度。育児に参加できる機会を平等にする制度は整ってきているものの、現状ではこれほどの大きな男女差をみせる数値に留まっています。

男性が取得したいと考える(申請する)には、会社や上司からの理解、親戚や友人など周囲からの理解が選択を後押ししてくれるものになるでしょう。

しかし、「子育ては女性がするものだ」という性別への役割の押し付けが社会に根強くあるために、選択を遠のかせるのかもしれません。このようなことから生じる男女の差は「ジェンダーギャップ指数2021」(男女格差の大きさを国別に比較したもの)にも表れています。

ジェンダーギャップ指数の調査項目は、健康・教育・政治・経済の4項目。 経済は156か国中117位、政治は156か国中147位です。意思決定の場に女性が少ない、機会が均等でないという現実は、女性が何かを選択する際にいろいろな影響を及ぼします。そして、男性の選択には責任が課せられることが多くあり、性別による不自由さを感じさせているのではないでしょうか。

変わりゆく「あたりまえ」

自分で決めたはずのことが、実は社会や周囲からの影響を大きく受けているとき、そこには「アンコンシャス・バイアス」(無意識の偏見)がひそんでいます。社会のジェンダー観は時代によって少しずつ変化を見せています。

例えば、CMがあります。かつては家事に関するシーン(例えば洗剤のCMなど)は、登場するほとんどが女性でした。最近では男性や家族が家事をしているシーンが描かれることも増えました。

働く人の描かれ方について見てみると、1980年代「24時間戦えますか」というキャッチフレーズで有名になった栄養ドリンクのCMでは、男性サラリーマンたちが徹夜で仕事することを推奨するような感じにもとれます。

今そのフレーズを見ると驚いてしまいますが、当時はこのキャッチフレーズが大流行し、1989年の流行語にも選ばれました。最近の缶コーヒーのCMでは、働く人は男性だけではなく、女性やあらゆる性の人がいて、男性も子育てをしながら打ち合わせに参加しているシーンが描かれました。

ディズニー映画における「プリンセス」の描き方も変わってきています。シンデレラ(1950年)や白雪姫(1937年)では、王子様を待つプリンセスの姿が描かれています。しかし、「アナと雪の女王」(2013年、2019年)では、闘うのは女性、男性はサポートという役で描かれていました。男性が強い存在で、女性は守られる存在という設定はなくなってきています。

かつての「あたりまえ」「ふつう」は時代とともに変化したり、更新されるもの。ということは「今のあたりまえ」も変わるかもしれないし、変えていくことだってできるってことですよね。

「私だから」って何だろう

何かを選択する時、私たちは自分が置かれた環境や時代、そして性別など様々な影響を受けているものです。自分がどんな影響を受けているのか、一度考えてみることは、次のよりよい選択につながるかもしれません。

性別に関係なく好きなことを選んでもいい。男らしく、女らしくを大切にしたい人がいてもいい。何を選ぶか迷うこと、変わること、やめることがあってもいい。「そうしたい」と思うことを「自分で選ぶ」こと。そして、自分と違う人も尊重すること。それが「私だから」なのかもしれないですね。

パラソルは、国立市の条例が目指す「一人ひとりが性別に関わらず自分らしくあるための社会づくり」の拠点として開設された、男女平等参画ステーションです。各種相談の他、出前講座や情報発信を行っています。なお、今回の記事は、情報誌vol.07で紹介した内容の転載となります。

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