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陰キャの君へ


はじめまして。

ようこそ。

友達が少ない君。
恋人がいない君。
SNSのアカウントを沢山作って顔を使い分けている君。
趣味は?と聞かれて返事に困る君。
エロにだけは知識が深い君。
次元の向こうに推しが沢山いる君。
学校では話せるのに、休みの日には遊びに誘えない君。
休みの日に何も産み出さず、ただ消費し、消費された君。
一つの事に熱心に打ち込んだ事がない君。
自分が何者か分からない君。
布団の中で今日の反省会に苦しむ君。
全てにおいて自身がない君。

君は何も持ってないかもしれない。

何もないから自分が何者か分からないかもしれない。

そんな君だから、自信がなくて、友達にすら見せない顔があるかもしれない。

友達と意見がぶつかりそうになると、ぶつかることを避けて、ぶつかる一部ができてしまった友達の事も避けて、何度も何度もひとりになったかもしれない。孤独な自分を見る度に、陰キャだから、と自分を納得させているかもしれない。

友達が欲しくて、友達と趣味の話がしたくて、どこから話せばいいか分からず、行き過ぎたこともあっただろう。

行き過ぎた君はまた自信を無くして、そんな趣味を持ってる自分は陰キャだと、また自分を納得させたかもしれない。

それでもその趣味を辞められず、素直に大好きだと言えず、好きなものを汚い言葉でしか表現できないかもしれない。

君は衝突して傷つきたくないから避けているかもしれない。

いや、思い返して見れば君はもう傷だらけだったのかもしれない。

クラスの誰か、職場の誰か、家族の誰か、道行く誰かですら、君より上手く傷付かず生きているように見えるかもしれない。

そんな卑屈な君の悩みを見て、君のことを矯正しようとする人間は、無責任に自分の生き方を語ってくるだろう。

人の気も知らないで、歩き方も歩幅も歩いて来た道すら違うのに、まるで君にとっての正解は俺と同じ道を歩いて俺になることだ、とでもいうような言い草で。

そんな君に話がある。


君は陰キャかもしれない。

君は過去に傷を負って、ずっと痛みと戦っているかもしれない。

小さい頃はもっと話しかけられたのに、友達もいたのに、笑えたのに、楽しかったのに、輝いていたのに、キラキラした子供時代だったのに、今は汚れてひとりになってしまったと思っているかもしれない。

厳しい事を言うが、君はもうあの頃には戻れない。

君についた汚れも傷も、もう取れない。

君はもうここまで来てしまった。


だから、君は君の汚れも傷も受け入れて愛するしかない。

汚れた君はキラキラしなくなったんじゃない。
年季が入って味が出たんだ。

傷ついた君は完璧だった頃を失ったんじゃない。
そんなに大きな傷にも耐えてまだ動けてるんだ。

他人にはない酷い汚れと大きな傷を背負ってなお、君は懸命に歩き続けている。

僕はそんな君を尊敬する。
君は僕にはない、素晴らしい汚れと傷を持っている。

僕には君の汚れも傷も輝いて見える。
君は誰の目にも美しく見える真珠ではない。
無骨な見た目の内部で荒々しく歪に輝くジオードだ。

君は君を誇ってくれ。
そんなに汚れて、こんなに傷付いてもまだ折れずに立ってる君を、まず君自身が見付けてあげてくれ。

痛い思いをしただろう。嫌な事もあっただろう。その度に悩んで、傷付かないように頭を捻ってきただろう。

それが今の君だ。

キラキラしてなくても、完璧じゃなくても、人に嫌な思いをさせないように気遣えるようになった君だ。
多くの知識を得て色んな楽しみを知った君だ。
他人と自分を見比べられるのは、君が他人の良い所を見抜く力があるからだ。
比較で明らかになるのは君の汚点じゃない。他人の美点に気付く君の美点だ。


あの頃にはなかった、君だけの多くの荷物を抱えて生きている君。

君の素晴らしさを理解できない奴の言葉になんか耳を貸す必要はない。

どうせそいつらには君の輝きなんて何一つ見えちゃいないから。

君はもう、誰かの言いなりにならなくていい。
君は自分の輝きを知っている。
輝く君はどこにでも行ける。
君なりの輝きで何にでもなれる。

どこかに行き、何かになろうとする君は傷だらけになるだろう。
だが新しい傷は、君を更に歪な美しさで輝かせる。
君に自信がまだなくても、僕は君を信じている。
もし君の上に乗っかかり輝きを押さえつけようとする無粋な奴が現れたなら、大した奴じゃないから梯子を外してやれ。

これから更に輝く君へ。
僕は君の美しさを知っている。
君ならできる。
君にしか頼めないことが沢山ある。
誰よりも君を信じている。
僕に君の輝きをもっと見せて欲しい。
大袈裟じゃなく、君の輝きで世界を変えてくれ。
僕の言葉で君の心が少しでも動いたなら、君にも同じ事ができる。
手の届くところから世界を変えよう。

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