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源氏物語とフラワーエッセンス〜六条御息所



六条御息所について書くことと自己受容


先日、葵の上に渡すフラワーエッセンスについて書いたので、「葵の上ときたら、やはり六条御息所でしょう」ということで今回は六条御息所について書くことにしました。

実は昔からわたしはあまり六条御息所が好きではありませんでした。

劣等感強く、嫉妬深い。
でもなまじ美しく教養も深いゆえプライドも高く、嫉妬心や劣等感を抑圧し続けた結果、それらが『物の怪』という形で自他を苦しめる。

にも関わらず、自分を大切にしてくれず、ここまで苦しめる光源氏から離れることがなかなかできず、ますます苦しむことになる。

そんな彼女がわたしは好きではなかったんです。でもそれはわたしが他ならぬ『劣等感強くて、嫉妬深くて、でもプライドだけは高い』一面を持っているからで、と同時にそんな自分の一面を嫌い、受け入れることが出来なかったからだったのだろうと今は思います。

 改めて源氏物語に関する様々な方の書籍を読んだり、情報に触れることで、そんなドロドロした感情まみれの六条御息所はまさに『泥中の蓮』のような女性だったのだと思うようになってきました。

こうして、六条御息所に渡すエッセンスを選ぶことは、自分の中にも確かにそんな『狂気にも近いおどろおどろした感情』が在ることを認め、そんな自分ごとより受容するプロセスであるように思います。

六条御息所はどんな女性?

六条御息所がどのような姫君だったのか、どういう出来事が彼女を苦しめたのかについての詳しい説明は以下リンクの外部サイトを頼らせていただきます。

先ほども書きましたが、とにかく彼女は嫉妬心に苦しみます。
そして結果的に彼女の苦しみは『物の怪』にまでなってしまい、源氏の正妻である葵の上の命を奪ってしまうことになります。

そんな自分にますます自己嫌悪を深める六条御息所。
彼女をそこまで追い詰めたのは、光源氏の責任でもあります。
でも彼女は光源氏のことが好きなので彼のことは責められず、自分を責めてしまいます。

プライドの高さも劣等感の裏返しで、ただ温かな愛を求めた心の美しい女性だったのだと思います。

そして自分が恋に苦しんだ人生だったからこそ、娘をそこから守ろうとした母親としての強い一面も忘れてはいけないと思います。


六条御息所に手渡したいフラワーエッセンス

 そんな彼女に手渡したいフラワーエッセンスは「チコリ、チェリープラム、ブリーディングハート」です。

チコリ

Observation © (Savvas Zafeiriou) https://www.inaturalist.org/observations/101286031

チコリ、といえばバランスが崩れている状態のキーワードとして『束縛、独占欲』などが思い浮かびます。
そういったキーワードが、光源氏を独占できない苦しみ恨みのあまり生き霊まで飛ばしてしまった六条御息所にピッタリと至極単純に感じたのはもちろん、チコリのエッセンスの説明の中でよく見かける『母性』という言葉も彼女にとって大切なキーワードになると感じました。やはり彼女が光源氏より年上であるということ(藤壺の宮にもチコリは選んでいます)、そして彼女の『秋好中宮の母』としての様子が源氏物語には印象的に描かれており、嫉妬に狂って生き霊になる女としての六条御息所、だけでなく娘を思う母としての彼女も掬い取りたいという思いが、わたしにそう感じさせたのだと思います。

 六条御息所は、女としても母としても、本当に愛情深い人です。
彼女が光源氏との関係に猛烈に苦しんだのも、彼女の愛情深さゆえで、それはそもそも彼女の美点に他なりません。
彼女は最期、残される自分の娘の『後見(世話役)』になってもらえるよう光源氏に頼みます。しかも自分のように娘には苦しんでほしくないとの思いから、娘を色恋の対象として見ないよう釘を刺すことも忘れません。
プライドも何もかも捨てて、ただ娘の将来を思い自分を苦しめた男性に頭を下げたときの彼女の最期は娘への無償の愛と、光源氏への『諦観』の中にいるようで、作者の描写の力も相まって本当に儚く美しいです。
愛とは相手の幸せを願い自由にすること。最後は彼女も少しその境地に近づいていたのかなと思いつつ、チコリのエッセンスなら、もっと早くに生き霊なんかになる前に、『束縛や独占』を『無償の愛』に昇華することを手伝ってくれたのではと思います。まぁそれでは話は終わってしまうのですけれど。
 

チェリープラム

Observation © Denis Davydov https://www.inaturalist.org/observations/82170204

バッチ博士はチェリープラムについて、こう述べています。

自分の心が極限を超えて張り詰め、理性の制御がきかなくなり、恐ろしく酷いことをしてしまうと恐れる。
そういったことを望んでおらず、間違っているとも分かっているのに、その行為について考えたり、やってしまいたい衝動に駆られる

まさに、嫉妬に苦しみ、理性の制御がきかなくなり、そんな自分が怖くなってしまっていた六条御息所。
嫉妬にさえ疲れ切ってまどろんでいる間に、女の首を絞める夢を見たことを起きた時に思い出し、そんな自分を恐ろしく思う六条御息所。

彼女は賢く教養の溢れた理性的な「わきまえた」女性であるからこそ、そうではない自分が許せず、コントロールしようとしました。

でも、感情は抑圧すればするほど肥大化し暴走する。

白く輝くような満開のチェリープラムの光は、そんな抑圧された感情=物の怪、生き霊に眩いばかりの光をあて、その『闇』を許すことで、彼女が安らぎを取り戻すことを助けてくれたのではないかと思います。

ブリーディングハート

Observation © nesask https://www.inaturalist.org/observations/26953614

こちらはFESのフラワーエッセンスです。
ブリーディングハートとい呼び名は英語で日本語にすると、『血の流れるハート』。
光源氏との恋で思い悩み苦しみ、生き霊にまでなってしまった六条御息所の心はまさに血が流れるほどズタズタだったのではと思います。
王由衣さんのフラワーエッセンス辞典にはこのエッセンスについて以下の通り解説されています。

このエッセンスが助けになるのは、相手の中に自分のすべてを注ぎ込むような愛し方をする人。つねに相手といっしょににいたい、つながっていたいという強い欲求を持っている。
〜中略〜
不健全な関係であっても、その関係を何とかしようとしがみつき、そして関係が終わり、相手が去ってしまった時には、激しいハートの痛みと傷心を感じる。

王由衣 フラワーエッセンス辞典

まさに六条御息所にぴったりです。
この時代は今とは価値観が全く違い身分の高い男性は愛人や妻を複数人持つことが当たり前でした。それでもそれに心から女性が納得していたわけではなかったことは、平安文学に触れていると感じます。
とりわけ愛情がとても深い六条御息所には耐え難いことだったでしょう。
このエッセンスは関係に『没入』していた彼女の視点をそっと広げ、自分の心が苦しまない方へ自分を導く選択をしていくことを助けてくれたのではと思います。

最後に

源氏物語の中で女性たちは身分というものに苦しみます。

現代、身分というものに関して『制度』としては表面上ありませんが、身分の差は存在していると感じています。そして1000年前より格段に自由な世の中ではありますが、この身分差というものに、意識的にではなく無意識的に多くの人が絡み取られているのではと感じることがよくあります。
1000年後には一人一人が真にのびやかに生きられる時代であることを願ってやみません。



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