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【業界研究】国際物流業界のプレイヤーを知る。

こんにちは!
今回のテーマは、国際物流業界にはどんなプレイヤー(事業者)がいるのかをご紹介をいたします。


はじめに

海外に荷物を送る時、その荷物がどのような過程で、どのような会社や人が携わっているのか想像をしてみると、飛行機や船で運ばれている事はなんとなく想像できそうですよね。日本は島国なのでズバリその通りです。ただ、航空会社や船会社が一貫でお客さんの手元に貨物を届ける仕事をしているかというと、実は違います。荷物が私たちの手元に届くまでには、多くの会社・人が関わっています。今回は、そのプレイヤー達がどんな仕事をしているのと合わせてまとめてみました。

輸送業者編


① キャリア

ズバリ、航空会社と船会社の事を指します。
例)JAL、ANA、日本郵船、商船三井、川崎汽船などです。
キャリアは、自社で輸送機材(飛行機や船)を保有し、それに荷物を載せて空港/港間を輸送する飛行機・船の運転や運航管理をしております。途方もない物量を有する世界的な大手メーカーさんとかは、キャリアと直接輸送の契約を交わすこともありますが、多くの会社さんはフォワーダーを介して、貨物の輸送を委託してます。


② フォワーダー (NVOCC : Non Vessel Operated Common Carrier)

日本では、貨物利用運送事業者と言います。
自社で輸送機材を保有しておらず、キャリアから荷物の輸送スぺ―スを購入し、そのスぺ―スに荷主から集めた荷物を搭載し輸送します。輸送スぺ―スの再販売でお金を稼いでいます。また、国際輸送に関わる作業 (集荷、梱包、通関等) を"ほぼ"すべて請け負う事ができますし、時には国際物流のプロとしてコンサルティングも行います。
「NVOCC」とは、主に海上輸送に従事しているフォワーダーの事を指すことが多いですが、「フォワーダー」のもう一つの呼び方と理解して頂いても差し支えないでしょう。日系大手フォワーダーさんだと、日本通運、近鉄エクスプレス、郵船ロジスティクスなどがあげられます。


③ インテグレーター

主に航空輸送に特化した事業展開をしていますが、「自社の輸送機材を保有したフォワーダー」という説明がイメージ湧きやすいかと思います。国際小口貨物輸送をしているクーリエ会社がこれにあたります。有名どころだと、Fedex、DHL、UPSなど欧米系が多いですし、日系だとOCSが有名どころですね。この後に国際物流に関わる事業者を紹介していきますが、キャリア・フォワーダー経由の場合は、色々な業者に業務を委託しながら手配が進んでいくので、取次などでどうしても時間が掛かってしまいます。しかし、インテグレーターは、基本的に自社のファシリティを利するので不要な取次などが無く、輸送スピードが抜群です。価格設定も「キロ」あたりで設定されている等料金体系もわかりやすいのではないかと思います。


④ トラック・ドレージ業者

日本の場合には、国内輸送限定でサービスを展開していますが、陸続きのアジアや欧州では、国境間をまたいで貨物を陸送する「ダブルライセンストラック」(2国間の国を通行できるライセンスを保持している車両。ナンバープレートが2つ付いてる事が多い。)を運行して国際物流を担うトラック業者も多く存在しています。
「ドレージ」とは、海上コンテナをけん引する大型トレーラーの事です。
コンテナで届いた貨物は、コンテナのままドレージに積み込んで、物流倉庫や工場まで配達します。管理費用が掛かる自社ドレージを保有するフォワーダーはあまりおらず、(日通さんくらい?)フォワーダーは国内配送を基本的にトラック・ドレージ業者さんへ委託をしていますので、国際物流の最後を担う重要な事業者さんです。最近では、ドライバーさんの高齢化などにより市場に出回っているドレージの数が減少傾向にある事は、日本に限らず世界中で問題になっています。

空港・港湾物流業者編


① 空港上屋・グランドハンドリング業者

空港で貨物の荷役作業を担っている業者さんです。航空機への貨物積み下ろしや貨物専用物流倉庫(上屋:うわや)で、貨物の一時保管と航空機へ搭載する為に貨物の荷造り作業をしています。また、外国貨物(通関前貨物)を取り扱うにあたり、保税蔵置場としての機能を併せ持っています。
上屋・グラハン業者社は、Swissportのように空港荷役を専門に世界中でサービスを展開している会社や航空会社さんのグループ会社などがあります。キャリアもフォワーダーも、彼らのサポートなしに航空機への積み下ろし作業ができません。

② 港湾運送業者

港で貨物の荷役作業を担っている業者さんです。船への貨物積み下ろしと一時保管をするターミナル(コンテナヤード:CY)、倉庫(コンテナ・フレート・センター:CFS)を運営しています。同じく、外国貨物を取り扱うので保税蔵置場としての機能を持ち合わせているのは、空港上屋とも同じです。
日本の大手だと、上組、三菱倉庫、宇徳などが有名です。あと、○○港運とか社名についてる会社さんが多い気がします。
世界を見るとDP World(UAE)、Hutchison(香港)、PSA International(シンガポール)などが大手の会社です。

その他


① 通関業者

日本で輸出入の通関業務を専門にしている業者さんです。古くから国際貿易の主流は海上輸送でしたので、昔からの名残で通関業者さんは港湾運送業やドレージ配送も運営している事が多く、海上貨物に関係している業者さんが多いです。

② 倉庫会社

その名の通り、貨物を保管・管理する倉庫を運営する業者さんです。これも昔からの名残で海上貨物に関わるが多い業者さんが多く、大手どころだと三菱倉庫、三井倉庫、住友倉庫、日立物流などがあげられます。荷物が拠点に到着した後の管理も最適化できるように倉庫会社さんも、フォワーディング業務を行っているところが多くあります。ドレージを自社保有していたり、港湾施設を運営していたりと、海上貨物における足回りは特に強みがあると思います。また最近では、大和ハウスのようなディベロッパーも参入し、首都圏の郊外などにどデカい物流施設をどんどん建設してもいます。


おわりに

少し長くなってしまいましたが、以上のように国際物流業界には沢山の事業者が存在し、お互いに協力しあいながら荷物を運んでいます。国際物流の難しい所の一つに、一個の荷物を動かすだけでも会社や国が違う色々な人が関わっている事だと思います。荷物が確実に荷主さんの手元に届くのは、当たり前のように思うかもしれませんが、その背景には物流を止めない為に物流業界にいる一人一人の仕事が繋がった結果、と思うと少しロマンを感じてしまいます。笑
 
フォワーダー目線の話になってしまいますが、上記の通り、フォワーダーは国際貨物の輸送機材や施設を基本的には保有していません。長年培ってきたキャリア、港湾事業者、国内トラック業者との繋がりと国際輸送におけるノウハウを組み合わせてサービスを荷主さんへ提供します。

フォワーダーの強みは、航空・海上などのモードに限定されることなく、また、様々なキャリアとタイアップして多様なサービスをオーダーメイドで荷主さんに提供できる事です。一方で、基本的に業務を委託するのでとにかく取次ぐことが多く、トラブルに合うとすぐに色々な面で板挟みにあいます。

どの仕事もそうかもしれませんが、特にフォワーダーで仕事ができる、と評価されている方は、どんな時もうまく立ち回って、話をまとめられる人だと常々思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました!

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