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ブラジルから再び日本のピッチへ!三都主選手とプレーできる夢のソサイチリーグ

読者の皆さんこんにちは。
ラーメンが大好きなアントラーズサポーターの五十嵐メイです。前回の「カシスタが友達のいない女子高生に教えてくれたこと」を書いてから、2ヶ月ほどが経過してしまいました。

その間に、天皇杯、ACLプレーオフ、ルヴァンカップ、Jリーグ開幕戦など、私が観戦した全ての公式戦で鹿島アントラーズが敗戦を喫するという、ショックな出来事が起こっていました。

OWL magazineの「ふくろうのふりかえり 2020 1月」でも、編集長の澤野さんから「五十嵐は天皇杯決勝での敗戦のショックからか今月の記事の掲載がないのですが、ツイッターを見ると、三都主アレサンドロ氏と会っている!!これは、来月に期待したいと思います。」と愛のあるコメントを頂いておりました。

Twitterでも、「次の記事を楽しみにしています!」とコメントを頂いていたのですが、長らく期間を空けてしまってごめんなさい……。

実はその間に、取り組んでたこともあります。
宇都宮徹壱さんの「Jリーグ観戦に立ち寄りたい、お勧めラーメン店ベスト20」という動画に登場させて頂きました。
こちらの記事は、私が今までサッカー観戦時に食べた大好物のラーメンから、お勧めのラーメン店のベスト10を発表させて頂いているものです。是非ご覧ください!

今回の記事は私自身が書く記事としては、久しぶりとなります。
今回も気合を入れて書いたので、最後までお付き合い宜しくお願い致します!

今回私は、とある有名Jリーガーが出場するという噂を聞きつけて、愛知県安城市で行われたソサイチ東海リーグの試合を観に行ってきました。

そもそもソサイチってなんだろうか?

ご存知の方も多いかもしれませんが、ソサイチとは1950年代にブラジルのリオデジャネイロで発祥したスポーツです。ソサイチの語源は、ポルトガル語での社交的を意味する「Society」に由来していて、ブラジルにはプロリーグも存在するほど盛んです。2011年には初のワールドカップも行われたほどで、南米や欧州を中心に行われています。

ソサイチは原則的にはサッカーのルールに基づいて行われますが、ソサイチ独自のルールもあります。

1 ゴールキーパーを含めた7人制
2 オフサイドはなし
3 交代自由で一度アウトした選手も再度出場が可能
4 ゴールキックは無く、キーパーからのゴールスローで再開する
5 フリーキックの際の壁は5m離れる

日本ソサイチ連盟公式HP
http://j-society.com/society/

関東リーグの2部には2018年からSC相模原のチームが所属しています。
Jリーグチームでは初のソサイチリーグの参戦という事で話題になりました。

私が何故ソサイチリーグに興味を持ったのか、お話させていただきたいと思います。

2018、2019年とサッカー日本代表のオフィシャルフォトブースのお仕事をさせて頂く機会がありました。ものまね芸人のMCしんご君 と何度かご一緒させていただいたのですが、そこでお互いサッカーが好きという事で意気投合します。

その後しんご君がMCをしているラジオ番組にゲストで呼んでいただいたり、V・ファーレン長崎の現監督である手倉森誠氏とちょいまねJAPANの出演イベントなど、何かと一緒にお仕事をする機会がありました。

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しんご君がソサイチ関東リーグでプレーヤーとして参加していることは知っていましたが、ソサイチを実際に見たことはありませんでした。
会うたびにソサイチの魅力について、何度も何度も力説されていくうちに、一度見に行ってみたいという気持ちが私の中で湧いてきたのです。
話を聞いているだけでは、人が少ないだけで、しんご君が言うような熱いスポーツになることが想像できませんでした。

丁度Jリーグがオフシーズンの1月18日に東海リーグの開幕戦が行われるということで、この機会に現地まで見に行ってみようと思いました。

**三都主アレサンドロ選手が再び日本でプレーする事になった

**

今回、ソサイチ東海リーグでプレーをする事になった選手は、三都主アレサンドロ選手です。

皆さんは三都主選手がプレーをしたところを見た事はありますか?

三都主アレサンドロ選手といえばドレッドヘアーで清水エスパルスのユニフォームを着た見た目がとても個性的な選手というイメージでした。
三都主選手が出場していた日韓W杯の2002年は、私は小学校6年生でした。
当時はまだ、帰化選手という言葉をしらなかったので、ハーフなのかな?と思っていました。

三都主アレサンドロ
当時珍しかったドレッドヘアなど、奇抜な髪型がトレードマーク。
主に左サイドを主戦場とする選手で左利き。
1977年7月20日 ブラジル・パラナ州マリンガ出身で、明徳義塾高校に留学生として来日する。高校を卒業後は清水エスパルスに入団、その後2001年に帰化申請が認められ、日本代表に選出される。日本名の「三都主」は、自身にとって思い入れのある「ブラジル・高知・清水」の三つの都市を意味している。2002年の日韓W杯では本大会メンバーにも選出される活躍をみせる。代表選出期間は5年間と短いが、代表でのキャップ数は82にのぼる。
浦和レッズ、名古屋グランパスなどJリーグのビッククラブを渡り歩いた選手。

その三都主選手が7人制サッカー・ソサイチという競技でプレーをするようです。アマチュアリーグにも関わらず、北海道、東北、関東、東海、北信越、関西、九州の地区ごとに行われ、地区代表同士が戦うチャンピオンズカップも行われるという本格的なリーグ戦なのです。

東海リーグは、愛知県安城市にある「BRINCAR FOOTBALL PARK」で行われるとの事で、食いしん坊の私は名古屋めしに期待を膨らませながら1月18日を待ちました。

当日は5:45に都内から、しんご君の車に便乗させて頂いての出発です。
関東は生憎の雨。天気にかなりの不安を残しながらの出発となりましたが、
初めての競技を見に行くというワクワク感に期待で胸を踊らせていました。

静岡のハンバーグレストラン「さわやか」、浜松のうなぎなど、道中に食べる事ができそうなグルメに期待を膨らませて出発したものの、出発して早々胃の痛みに襲われ胃薬を飲む羽目になってしまい……。

結局行きの道中で何箇所かサービスエリアに寄ったものの、なに一つ食べる事ができずに試合会場に到着しました。

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東京都とは違い、愛知県は快晴で絶好のサッカー日和です。
綺麗な人工芝のピッチには、フットサルよりサイズの大きなソサイチ用のピッチが用意されていました。

・国際規格では縦が45~55m、横が25~33m
・ペナルティエリアは、ゴールポストから左右に5mずつの幅、ゴールライン中央からは縦に8mのサイズ

アマチュアリーグという事で、ギャラリーはほとんどが関係者のようです。
試合は前半20分、後半20分に分かれて行われます。
第一試合は、三都主選手が所属するARUKO Mundo da bola(アルコ ムンド ダ ボラ)vs 尾州SFC

どちらも、参加選手のほとんどがブラジル人で、2チーム合わせても日本人選手は2人だけでした(日本国籍を持っている方は他にもいたかもしれませんが)。

ギャラリーは20人ほどでしょうか。両チームの選手も含めると、この会場にいるだけでもざっと50人は超えるブラジル人の方が集まっていました。
これほど多くのブラジル人が集まるコミュニティーを目にしたのは初めてでした。都内のコンビニなどで働く外国の方は、アジア圏の方が多い気がします。
ソサイチの本場はブラジルとはいえ、どこからこれだけのブラジル人が集まってくるのだろうか?飛び交うポルトガル語に圧倒されながらそんな事を考えていました。

11:30 いよいよキックオフ!

なんだこれは?

キックオフ直後から、球際で激しくぶつかり合う選手、試合中に飛び交うポルトガル語に圧倒されてしまいました。通常のサッカーのピッチよりも狭いので、スピード感に溢れている。ゴール前へ持ち込むまでの展開も早く、試合開始早々からあっという間に引き込まれます。食い入るように見ていると、しんご君からソサイチの解説が入ります。

ソサイチには大きく分けて、2種類のチームがあるそうです。

フットサルのように全員が流動的に攻めるチームと、サッカーの様にある程度ポジションを固定して攻めるチーム。Mundoはどうやら後者の様です。

前半開始早々に、尾州に先制されてしまいました。
そして遂に、前半7分過ぎにピッチにいよいよ三都主選手が登場です。
角刈りのような、期待を裏切らないインパクトのあるヘアースタイルでの登場。三都主選手の登場に、試合を観戦していた他のチームの選手からも歓声が上がりました。

ソサイチリーグに参加している選手の多くは学生時代に部活動でサッカーをしていた経験者が多いそうです。自分たちが現役だった頃のヒーローである、三都主選手のプレーを間近で見ることができ、更に一緒に試合ができるとなると選手たちのテンションが上がるのも頷けます。

15分過ぎに、三都主選手からパスを受けた7番の選手がゴール前で綺麗なオーバーヘッドを決めました。ソサイチ連盟のTwitterに動画が残っていたので、是非読者の皆さんもご覧ください!こんなに綺麗なオーバーヘッドを見たのは人生で初めてかもしれません!

一度パスを受けた7番の選手は、ワンタッチで三都主選手に返すと、するすると相手ディフェンスの合間を縫ってゴール前でフリーに。
その一瞬を見逃さない流石の三都主選手。

あれ?7番の選手よく見るとどうやら日本人だぞ?

なんと、現役のビーチサッカー日本代表の大場崇晃選手だそうです。

ビーチサッカーの日本代表といえば、ラモス瑠偉監督の元で2019年にパラグアイで行われたワールドカップでベスト4という素晴らしい結果を残したチームです。

現役代表選手のスーパーゴールを目の前で見れるなんて、なんて幸運なんだろうか。見に来て良かった!!

試合会場に着いて早々から、テンションは上がりっぱなしです。

通常のサッカーよりピッチが狭いため、ゴール前まで攻め込む回数も多く、スピード感があり目が離せない展開が続きます。
フットサルとサッカーの中間と言ったらいいのでしょうか?
とにかく展開が早く、前半20分はあっという間に終わってしまいました。

後半が始まると、両チームのギャラリーがヒートアップします。
ギャラリーからも日本では中々聞きなれない、ポルトガル語が飛び交っています。選手、監督も全員ポルトガル語で指示を出し合い、ここが日本だということをうっかり忘れてしまいそうになります。

日本で行われている試合なのに、聞き取れるのは審判が発する言葉だけでした。聞きなれない外国の言葉が飛び交う空間は、どこか異国の地にサッカーを見に来たようで、とてもワクワクしました。

後半にARUKO Mundo da bolaが1点を追加し、2-1で勝利しました。

あっという間の40分でした。
観戦前は普段見ているサッカーと、さほど変わらないだろうなと思っていました。しかし想像以上にギャラリーが熱く、私も負けずに夢中になって観戦していました。

試合後に、スーパーゴールを決めた大場選手と少しお話をさせて頂きました。なんと大場選手は短期間ではありますが、ブラジルでのプレー経験があるということでした。

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3年前から東京ヴェルディのビーチサッカーチームでプレーをし、昨年の途中で退団した後は、単身でブラジルに渡り現地のビーチサッカーチーム「ボタフォゴ」でプレーをしていたとのことでした。現地でプレーした経験から、ブラジル人に混ざりプレーをする際の言葉の壁などはないそうです。
(本田圭佑選手が所属するボタフォゴと、ビーチサッカーのチームの関連性は聞きそびれてしまいました。ごめんなさい……。)

現在は「レーヴェ横浜」に所属してプレーしている大場選手。
ブラジル人に混ざり一歩も引けをとらずに戦う姿は、まさにサムライそのものでした。

ゴールはもちろん素晴らしかったのですが、その他にも試合中、大場選手のプレーに何度も目を奪われる瞬間がありました。テレビでは配信されていない試合を現地で観戦することで、大場選手のような魅力的な選手に出会えるのも現地観戦の魅力です。

大場選手ありがとうございました。

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ただどうにも、日本においてのソサイチリーグの立ち位置が理解できない

このソサイチリーグに加盟するチームの中に、関東リーグには加部未蘭選手、九州リーグには古賀誠史選手が所属しているチームがあるのです。今回私が観戦した東海リーグもアマチュアとはいえ、かなりハイレベルな戦いに感じました。私は、ソサイチリーグは日本において、プロ化を目指しているのだろう。勝手にそう思い込んでいました。そのあたりを日本ソサイチ連盟の照井さんに詳しくお伺いする事ができました。

照井さん プロリーグにしないんですか?とか結構そのあたりはよく言われますね。けど、僕らとしては、現状、そこを目指すことはないです。

一体どういうことなのでしょうか?
この後、照井さんには日本ソサイチ連盟が目指す未来のビジョンを詳しくお話して頂きました。そしてなんと、三都主選手にも、「再び日本でプレーしようと思ったきっかけと日本への思い」を直接お伺いする事ができました。

OWL magazineでは月額700円で読み放題になります。
毎月15〜20程度のサッカー記事や、旅記事が掲載されています。
普段私たちが目にする機会の少ない海外リーグなどの記事も掲載されています。日本では到底起こり得ないような、海外のエピソードなども盛り沢山なので、興味のある方は、是非ご購読よろしくお願いします。


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