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プレイの様子(HackMaster4版PHB収録)

これはHackMasterのPHBの冒頭に掲載されているプレイ例の翻訳+αです。TRPG初めての方を対象とした入門用リプレイ・・・などでは決してなく、殺伐とした、古きAD&Dの流れを汲むブラックジョークに溢れたハックマスターとは何かを説明していると感じます。

「HackMaster4版はこのように楽しいゲームです」と紹介していると思いきや、パーティが半壊して終わるというシビアさを示してしまっているあたり、システムに正直で良いと思います。


登場人物紹介

GM:ハックマスターのGM。何気にヒドいことをさらっとこなす。

ファイター:トーチベアラーの主人

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シーフ:決して自分の発言の矛盾を恐れない! 

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マジックユーザー:「安心しろ、まだマジックミサイルが残ってる」

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クレリック:パーティ唯一の良心「キュアが残ってる、あきらめるな」

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プレイ風景

GM:古びたドアを押し破ると、そこは真っ暗闇だった。日の光で、入り口から30ftまでは見通せる。

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ファイター:OK。俺はトーチベアラーを剣で突付いて先に進ませるぜ。こいつは1日銅貨5枚で必ず俺の前を歩くんだ。俺の近くで、しっかり松明を掲げるように言いつけておくぞ。

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シーフ:僕は皆の後ろについてるよ。アーバンガーが僕たちの匂いをかいで追ってこないか、しっかり後ろを見張ってなきゃね。あの矢で死んだとは思えないし。そうだ!僕はドアを開けるたびに釘で床に固定して、閉じ込められないようにする!

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マジックユーザー:それが良い。私はまだマジックミサイルを残しているからな。しかし、嫌な感じがするな。『準備万端』って感じがする

クレリック:あなたたち・・・パラノイアね・・・

GM:松明が揺らめきながら前に進んでいくと、荒削りな花崗岩の壁が見えてくる。君たちの足音は引きずったような音を立て、遠くからねずみが小走りに走り去る音が聞こえてくる・・・

ファイター:ねずみだと?んーーー逃げ去ってるなら野性のねずみの動きじゃないのかもな。よし、ゆっくりと前に進もう。壁と床を見て、隠し扉やトラップを探すぜ

GM:OK。誰が見てるんだい?

シーフ:間違いなく僕だね。40%でトラップや画し扉を見つけるよ。何か変なものはあった?

GM:お前はパーティの後ろを見張ってたんじゃなかったのかよ!

シーフ:ええっと・・・僕はトラップを探してたよ!?マジックユーザーが嫌な予感がするとか言ってたから、そのときからトラップを探すことに決めてたんだ!

GM:あー、そーかいそーかい。(コロコロ)OK 40ft先の床が何か変だって気づいたよ。そこにピットトラップがあるなんてことは馬鹿でも分かるさ。隠し方の下手な奴もいたもんだ

シーフ:へへっ。計算とおりだ♪迂回できるかい?

GM:廊下の壁にへばりつけばギリギリ迂回できるね。でも誰にでも簡単に出来るわけじゃない。Dex判定だ

ファイター:OK。俺はトーチベアラーを先に進ませる。良い光源が道案内してくれるぜ。俺が判定振れば良いのか?

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GM:いや、GMが振る(コロコロ)OK。松明を持ったハーフリングは問題なく渡れたよ

ファイター:じゃあ次は俺だな(コロコロ) 問題ないな。慎重に渡るぜ

クレリック:(コロコロ)私も問題なしね

シーフ:(振る準備をしている)

GM:ちょっと待った。シーフがピットを避けて渡ろうとすると、後ろのドアの方からしわがれた深いうなり声のような音が聞こえてくるよ

シーフ:うぉ、本当に?アーバンガーだなんて言わないよね?僕たちを追いかけてきたのかな?

GM:ご名答! 奴は明らかに仲間の仇を討ちたがってるよ。喜んで距離を詰めてくるぞ!

シーフ以外一同:急げ!ジャンプしろ!

シーフ:(GMを向いて)悪くないね。出来るかな?

GM:そうだな、ピットの向こう岸まで距離はたっぷり10ftはある。お前さんは鎧も着ていて、バックパックも持ってるよな・・・

シーフ:忘れちゃ困るよ!僕はジャンプの技能を持ってるんだ(キャラクターシートを指しながら)

GM:結構だ。ダイスを振って計算しなさいな

シーフ:(コロコロ)よし、僕は24ft飛んだぞ。ピットを跳び越すには十分すぎるね♪

GM:待てい。ジャンプには20ftの助走が必要なことを忘れているぞ。それに奴の移動速度は12だ。お前さんは6だよな。つまり、奴はお前さんがジャンプすると同時にお前さんに追いつくぞ!

シーフ:どういう意味?

GM:つまりだな、奴の爪がお前さんのバックパックに深く突き刺さり、お前さんの移動がそこで止まってしまうんだ。となると、2人(まぁ1人と1匹だな)の移動の方向と体重を考えると、お前さんとアーバンガーは一緒に逆さまになってピットに落ちることになるね

シーフ:何だって?GM、君は何を言ってるんだい?だいたい奴は傷ついていたんじゃないの?僕の矢はあの虫にダメージを与えてたんだ。きっと矢の傷が痛んで移動速度を落としてたはずだよ

GM:残念だが違うんだなぁ、これが。君の矢はチクッと刺さりはしたものの、それだけだったんだ。怒って君を追い掛け回す動機を作っただけだったんだよ

シーフ:あーあー、わかった、わかったよ。僕はショートソードを構えてたんだ。僕たちが一緒になって落ちるんであれば、衝突のショックでショートソードが奴の腹の一番柔らかいところに突き刺さってもおかしくないよね

GM:それは拡大解釈しすぎじゃないか?

シーフ:僕は命をかけてここに来たんだよ。モチベーションも高い。パーセンテージくらいの確率はあるんじゃないかな

GM:OK。だったら20%の確率をあげよう。それと同時にアーバンカーも落ちる間に噛み付き攻撃をするよ。これらは全て同時に起こっているとして処理するからね(コロコロ)あちゃ、奴ははずしたよ。君の番だ

ファイター:俺は剣をしまって弓を抜くぜ。ピットの際まで来て、撃てるようになったら撃つ!

シーフ:(コロコロ)99!何だってこんなときにこんな数値が出るんだろ!

GM:OK。君は10fのピットを下まで落ちたよ。そしてこのピットにはスパイクがついていたんだ。アーバンカーは丈夫な外骨格があるからスパイクのダメージは受けないよ。

シーフ:え!?スパイクがあるの?死んじゃったかな・・・

GM:スパイクは君を貫き・・・8点のダメージだ!

シーフ:うわぁ・・・8点だと残りHPは2点だよー

クレリック:心配しないで、くじけちゃ駄目よ。私はまだキュアライトウーンズが使えるわ

GM:落下ダメージを忘れてはいけないなぁ。(静かに)OK,(自分のd6を見つめながら)ルーシー、俺をがっかりさせないでくれよ。(コロコロ)よし!

マジックユーザー:良い感じではないな・・・

シーフ:ひえー

GM:(くすくす笑いながら)5点のダメージだ!

シーフ:あ~あ、串刺しだ。シシカバブになっちゃったよ

マジックユーザー:おい、モンスターに入ったダメージも忘れるんじゃないぞ!

GM:(ため息) アーバンガーは良く頑張ったよ。虫も一緒に死んだね

クレリック:私にはロープがあるわ。ハーフリングを下ろして、シーフにロープをかけてもらって引き上げましょう!

マジックユーザー:まぁ、待て。落ち着け。このダンジョンは入って出て行くだけのショートダンジョンだ。だったらシーフの死体は帰り道に回収すれば問題ないではないか。

シーフ:何なのお前!?

ファイター:おお、そいつはマジックユーザーが正しいな。重たい死体をかついでダンジョンを回ることは無いぜ

シーフ:おいおい、だったらせめてこの臭いピットからは運び出してよ

マジックユーザー:君の声は聞こえないんだ。君は死んでるんだろ、忘れたのか?

クレリック:わかったわ、私はロープを回収しておきます

ファイター:また剣を構えて前に進むぜ

シーフ:ありがとう、みんな! この仕打ちは忘れないよ!

マジックユーザー:諸君、何か聞こえたかね?

クレリック:いえ、何も聞こえなかったわ

その後の冒険者の結末は悲劇的だった。マジックユーザーは煙草入れに潜んでいたルーカーに殺された。

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ファイターとクレリックが彼の死体を引きずりながらピットまで戻ってきたところ、ピットの底にあるはずのシーフの死体はネズミたちのせいで悲惨なことになっていたそうな・・・

このマップを進んでます、とか言いながら廊下のピットのところまでしかやってないという素っ頓狂なリプレイである。

ただ、これでHackMaster4版の無茶っぷりのいっぺんくらいは見えたのではあるまいか。


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