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石神井の地下飲食街

 阿佐ヶ谷にあるラーメン店「麺処 一笑」に行ったことがある。ここも人気店で人が並んでいるが、修業元は「石神井公園 井の庄」らしい。井の庄が有名な店ということは聞いていたし、実際に何度も頂いているが、いくつかある井の庄のひとつだと思っていて、原点が石神井だとは知らなかった。情報はあやふやだったが、地元としてはうれしい。「麺処 井の庄」があるのはライオンズマンションの地下飲食街「ライオンズプラザ」内だ。

「麺処 井の庄」のつけそば

 石神井公園駅は高架化とともに隣接して商業施設が出来た。入れ替わりつつも、テナントで埋まっている。付近は高層建築を建てて上に伸ばすのに忙しいが、新しい駅舎を建設した時も地下までは想定しなかったようだ。
 ライオンズプラザはささやかな広さの飲食街で、抜け道にもなっていて解放感がある。駅のこちら側はいい意味で古臭くて、新しい駅前とは対照的に、少し前の石神井が残っている。

 井の庄はまず入り口の前で並ぶ。入店後、食券を買うと、今度は座って順番を待つ。スタッフがきちっと誘導してくれるし、待っている間も窮屈な感じはしない。
 味の方はすでに様々なところで語られている。「辛辛魚(からからうお)らーめん」が有名だが、食べた実感として、辛いものが得意な人向けだと思う。辛さは調節がきくものの、自分はそもそもが苦手で、選ぶのはもうひとつの看板商品である「つけめん」だ。
 ラーメンは好きだけれど、昨今は値段が上がって手軽な食事と必ずしも言えなくなっている。ネットの情報も多く、「趣味はラーメン」と胸をはるにはよほど食べ歩かないといけない。

「まぜそば」は、ライスが欲しくなる

 その他で、ライオンズプラザで何度も訪れているのが「居酒屋とおるちゃん」だ。店名はご主人の名前からだが、豊富なメニューと営む仲良し夫婦のキャラクターから、すっかり地元の愛され酒場になっている。
 お二人は五月十二日をもって店を離れ、後任を迎えるとのことだ。先日から名残を惜しむ人たちが続々来店し、いつにもまして盛況である。

「とおるちゃんハイボール」と

 開店からの九年は、間にコロナ禍があり、テイクアウトに切り替えられた際は、通路にファンたちの長い列が出来た。居酒屋なのにノンアル営業を余儀なくされるなど、思うように行かなかった時期も長かったと思う。ここ一年ほどは、石神井公園通りで「ケーキ屋とおるちゃん」を兼業されるなど、チャレンジもされた。
 とおるちゃんでは、その日のおすすめの料理を選びながら、刺盛や串揚げを注文することが多い。シメにケーキという手もある。ここは「地元で飲もう」を体現する店のひとつだと思う。

こだわりの「シロコロホルモン」

「スタッフ募集」の貼紙を見て、再開発のあおりで退去した「鳥梅葡酒」が、五月半ばに一階に移転して来ることを知った。駅前で炭火の煙を漂わせていた焼鳥店だが、このエリアにはふさわしい気がして、楽しみだ。
 ディベロッパーが描いた駅前再開発のイメージパースは明るく、眩しいくらい。未来予想図としてはそうなるのも分かるが、望むらくは、人いきれでむせかえるような場所も残って欲しい。

「ライオンズプラザ 石神井公園」の様子


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