⭐️心の学び:リアリズムと絵を描くこと
リアリズム(写実主義)というのがある。想像力を使わずに平凡であっても身近にあるものをありのままに精密に再現しようとすることだと理解しておけばいい。
絵を描く際には写真を見て描くことがよくあるが、写真のように描いてはいけないとか、絵と写真は違うともいう。
しかし、写真を見て描くなら写真のように描かなくてはならない。それが写実ではないだろうか。
実物をありのままに描くなら変化を含めて描かなくてはならないはずだ。
もちろんそんなことは不可能である。
描き終わる頃には初めに見たものとはだいぶ違うものになっている。
朝描き始めた風景画は夕方には別の色彩に変わっているはずだ。
リアリズムを言葉で定義することは簡単だが、実践するとなると難しい。
ぼくは、この度依頼されて猫を描いた。その際、リアリズムとは何なのかを強く考えさせられた。
この際、細密に描くことよりも飼い主が見て「あっ、ウチの猫だ!」と言ってもらうことがリアリズムなのではないだろうか。
いくらうまく描いたとしても「これどこの猫?」という絵はリアリズムではないと考えている。
秋の風景画を描けば「あっこれは秋の風景だ」と言われなければリアリズムではないということだ。
人物を描くなら解剖学的に説得力がある絵でなければリアリズムとは言えないとぼくは考えている。
思い込みや期待を取り除いたものが現実だとしたら、絵は理想や空想を排除した世界を描きたいとぼくは思っている。
何をしていても現実を前にすると、それをとらえるために思考が始まる。
現実と理想は一致することもあるが、ほとんどの場合反目しあっているように感じる。
頭の中で考えていることを視覚でとらえることが出来ないかと実験してはいるが難しいと痛感する。
何をやってんだろうと嫌になることもある。