見出し画像

春恋し。

桜が散って
もう気温30度近い

庭の木々たちは
四季を超えないので
日々弱ってる

蔵の前の
温室の花々も
元気がない

気象病のある
ボクと叔母さまは
2人して日々
鬱々として
元気がない

大切な
朝学や読書の時間も
ベッドで伏せってる

「パコちゃん!
紅茶入ったわよ」

おばあちゃまの声が
中庭を通り抜けて
聴こえてくる

ミントティだろうな
根拠もなく想像する

ハーブを育て
なかでもミントが
お気に入り

おばあちゃまの
育てた茶葉は
特に香りがいい

ボクの保護者らは
夜あまり電気をつけない

夏でも
7時過ぎるころには
部屋も薄暗い
間接照明やキャンドル

そもそも
スマホもテレビ画面も
パソコンも
音が出るであろう
あらゆるものが
消音だ

多くのおばあちゃま
おじいちゃまが
20時頃には就寝

叔母さまや
叔父さまたちも
21時までは
滅多に起きていない

廊下のきしむ音
扉を閉める音

中庭に面した部屋は
カーテンも無い
だから
森の中で眠るみたい
月明りが木々におち

窓ガラスに
反射する
ベッドの白色のシーツ
肌の色は藍色に見える

冷たい床に
素足をそっと伸ばしながら
ブラブラさせて
叔母さまが微睡んでる

ボクのいる
離れからよく見える

しばらく月を眺め
夜の音を楽しむと
おばあちゃまが
湯たんぽの
ぬるいのを足元に
入れに来た

おばあちゃが
そっと
声をかけて出てゆく

「ふくらはぎと
おなかは
冷たくないかしらね」

ボクはもぞもぞしながら
羽毛布団に
くるまってるフリして
足を全部外に出してみせた

「おやあ?
だれかなぁ?」

おばあちゃまが
ゆっくり戻ってきて

羽毛布団を畳んで
もっともっと薄い
羽毛布団の小さいのを
ボクのお腹にかけた

「春はどこいったかなぁ」

おばあちゃまの
独り言に
くすくす笑いを
堪えながら
ベッドの中に潜る

キルトケットより
柔らかい
コットンケットを
いとこから
もらったので
それを出してきてくれた

不思議と
おばあちゃまが
お世話してる間に
ボクは眠りに
落ちてしまった

気が付くと
おじいちゃまが
ボクを起こしに来た

「パコちゃん!
散歩いくぞ」

「じいじボクまだ寝てない」

「おお?そうか
昨日は何時だった?」

「8時ぐらいかなぁ
忘れちゃった」

「いつもと同じだけど
寝たりないなら
おやすみだよ
散歩から帰って
朝食ができたら
起こすから
2時間ぐらいは
眠れるよ」

おじいちゃまは
4時の新聞配達に
出かけてしまった

しばらくして
騒がしさに
目覚めると

珈琲のいい匂いがした

おばあちゃまが
鼻歌をうたって
小躍りしながら
キッチンで準備してる

叔母さまが
叔父さまと
シャワールームを使ってる

2人のケンカの声が
響いてる

仲いいんだか
悪いんだか
いつもよくわからない2人だ

脱衣場から
叔父さまが
生まれたままの姿で
出てきて食卓の横を
通り過ぎてく

おばあちゃまが
悲鳴をあげる

「な、なにしてるのよ!!」

「下着忘れたんだよ」

部屋へと消えてゆく

叔母さまが優雅に
バスローブを巻き付け
洗い髪をタオルで乾かしながら

愛想をふりまく

「おさきでした~
着替えたら食事に来るわ」

おじいちゃまが
眼鏡をずらしながら
新聞越しに
「はよ着替えなさい!」

叔母さまは
そのままの姿で
娘達3人を起こしに
行ってしまった

「パコちゃん?!起きてる?」

「うん」

おばあちゃまが声をかけてくれた

「さあ。先に頂きましょう」

「ばあば春はもう過ぎたの?
夏なの?」

「本当ね暑いし驚いちゃうね」

玉子焼きの香り
ハムがのった
サラダ

小さいトマトは
庭から摘んできた

春が恋しい
早朝は梅雨のように
じめじめしてた

★上記名刺記事が自己紹介です★フォロー返しません★フォロー気軽に自由に外してください★コメント返信遅いです★コメント削除する場合あります★スマホもパソコンも保護者らに時間制限で借りるのでフォローしても読み切れません


みなさん
いつもありがとうございます
スマホがボクの利用できる
時間が少なすぎて
以前となんも変わりません

なんだか
便利なようで
不便です

文句言ってごめんなさい

それではまたあした

読了ありがとうございます 世界の片隅にいるキミに届くよう ボクの想いが次から次へと伝播していくこと願う 昨年のサポートは書籍と寄付に使用しています 心から感謝いたします たくさんのサポートありがとうございました